まず、「三大疾病保険」のメリットは次のような点です。
【三大疾病保険のメリット】
◆「がん」と診断されたとき、「急性心筋梗塞」や「脳卒中」で所定の状態になった場合には一時金がもらえる
◆「がん」以外にも現代人に多い病気に対応でき、医療保険より手厚い給付が受けられる
「三大疾病保険」も「がん保険」と同様に、「がん」と診断されたら診断給付金をもらえます。「急性心筋梗塞」や「脳卒中」は、いずれも突然症状が現れて、病院に担ぎ込まれることの多い病気ですが、これらは「がん」と違い、特定の状態になった場合のみ一時金がもらえます。
日本人の死因では「がん」の次に「急性心筋梗塞」や「脳卒中」が多いので、「三大疾病保険」に加入しておけば、「がん保険」だけに加入しているよりも安心感が得られると言っていいでしょう。
「三大疾病保険」の給付金の「支払い要件」に注意!
安心を買ったはずが給付金をもらえないケースも……
続いて、「三大疾病保険」のデメリットは以下のとおりです。
【三大疾病保険のデメリット】
◆給付金の支払い要件が厳しい
◆診断一時金は何度も出ない
◆保険料が高い場合がある
◆「がん」に関する保障には待機期間がある
「三大疾病保険」の一番の特長は、日本人の多くが悩まされる3つの大きな病気に対策できるところです。しかし、注意点もあります。きちんと対策したはずが、場合によっては「脳卒中になったのに給付金がもらえない!?」ということも多いからです。
「がん」に関しては簡単で、「がん(悪性新生物)」と診断を受けると、待機期間を過ぎていれば診断給付金がもらえます。しかし、「急性性心筋梗塞」や「脳卒中」は、“所定の状態”にならないと給付金が出ないのです。
その所定の状態の定義は保険会社ごとに異なりますが、たとえば「脳卒中」の場合は「60日以上、話せず、動けず入院」というような状態にならないと、給付金が出ないこともよくあります。ですが、「脳卒中」にしろ「急性心筋梗塞」にしろ、2カ月も入院することは稀です。2カ月入院するとしたら、かなりひどい状態ということになります。
つまり、重篤な症状にならなければまとまった一時金が出ず、「これなら保険、いらなかったかも?」となる可能性もあるのです。契約前に、その保険がどのようなルールを定めているかチェックしておくべきでしょう。
ちなみに、平成23年(現在公開されている中で最新)の厚生労働省「患者調査」によると、「三大疾病」の平均日数は以下のとおりです。
◆がん(悪性新生物、上皮内新生物)⇒19.5日
◆心疾患⇒21.9日
◆脳血管疾患⇒93日
「がん」は種類によって大幅に入院日数が変わり、乳がんなどのように、大抵10日程度で退院できるものもあります。脳血管疾患も病気の種類によって入院日数は大幅に変わりますが、一部長期入院を余儀なくされるものがあり、平均日数がずば抜けて長くなっています。
「三大疾病保険」の話に戻りましょう。「三大疾病保険」を選ぶときにもう一つ注意したいのは、「三大疾病」を発症したとき、診断一時金が「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」でそれぞれ1回ずつしか出ない保険が多いことです。「がん保険」は再発しても診断一時金が出る商品が多いですが、「三大疾病保険」はそうではない場合が多いのです。そのため、再発しやすい「がん」にかかった場合、やや不安と言えます。
また、「終身タイプの三大疾病保険」は、「がん保険」ほど掛け捨てタイプばかりではありません。支払った保険料の大部分が戻ってくるものもあります。「三大疾病」にかからなくても、死亡・高度障害状態になったときに「死亡保険金」「高度障害保険金」の形でお金をもらえるのです。このタイプは保険料が高いのでおすすめはしませんが、「三大疾病」に備えつつ、保険料をある程度取り戻せるため、掛け捨てがどうしても好きじゃない人には適しています。
さて、「がん保険」と「三大疾病保険」の良し悪しが掴めたでしょうか? 最後に、これらの保険を選ぶときのNG行動をおさらいしておきます。
【がん保険・三大疾病保険選びのNG行動】
◆家計がきついのに高い保険料の保険を選ぶ
◆家計がきついのに医療保険に上乗せして入る
◆終身保障を希望しているのに定期タイプを選んで更新する
◆一時的に保障がほしいだけなのに終身タイプを選ぶ
◆終身タイプで支払いを終身払いにする
◆やたらと特約をつける
◆保障の範囲を調べないで加入する
今回は、前回の「医療保険」に続いて、「がん保険」と「三大疾病保険」について解説しました。次回は、死亡保障の「生命保険」について詳しく解説したいと思います。
(取材・構成/元山夏香)
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