新年度がスタートしました。新社会人になったり、中学校や高校、大学に進学したり、異動などで引っ越しをしたりと、環境が大きく変わった人も多いと思います。環境が変わったタイミングで行いたいのが“決済手段の見直し”です。
生活スタイルや生活するエリアによって、最適な決済手段は変わります。たとえば、引っ越しを機によく足を運ぶ店が変わった場合、ポイントを貯めやすい電子マネーが、WAONからnanacoに変わった――なんてことは、よくある話です。
学生から社会人になれば、お金を使う機会は増え、金額もまた増えることになります。経費の立て替えなどで、まとまった金額を使う場面もあるかもしれません。そのため、社会人はクレジットカードを持ったほうがベターです。
また、進学に伴って活動範囲が広がったわが子に対し、どのような形でお小遣いをあげるのがベストか、悩んでいる親御さんもいると思います。住んでいる場所、学校のあるエリアによっては、現金だけだとかえって不便なケースもあるでしょう。その場合、現金と電子マネーなどを組み合わせてお小遣いとするのがよさそうです。
以下では、中学生・高校生、大学生、新社会人にそれぞれおすすめしたいキャッシュレス決済をピックアップしていきます。
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【中高生におすすめのキャッシュレス決済】
お小遣いの一部を電子マネーやコード決済にすれば、履歴をたどれる!
まずは、中高生におすすめのキャッシュレス決済を紹介します。
子どもが中高生になったタイミングで、お小遣いを増額する家庭は多いものです。中高生のお小遣い事情に関しては、さまざまな調査主体がアンケートをとっていますが、それらによると、毎月定額を渡す家庭が一般的で、金額は中学生が1000~3000円程度、高校生は5000円程度のようです。
子どもが中学生になったばかりの頃などは、お小遣いの使い方について、親が不安を覚えることもあるでしょう。当然ながら、お金を使うことに慣れていない子どもは、金銭感覚が未熟です。月初めにお小遣いをもらい、数日で使い果たしてしまうこともあるかもしれません。お金を使うことに慣れるまでは仕方ないですが、いつまで経ってもその調子で、「何に使ったかよくわからないけど、すぐなくなってしまう」という状態のようでは困ります。
そんなときにおすすめしたいのが、お小遣いの一部を電子マネーやコード決済(PayPayなど)で渡すことです。
原則として、お小遣いを使ったら、支出の内訳をお小遣い帳などに記録するのがベスト。そうすれば、何にどれだけのお金を使ったのかがわかります。今は無料のお小遣い帳アプリもたくさん出ています。ただ、固い意志を持って記録し続けることができるのは、恐らく少数派でしょう。大人でも、家計簿を継続できない悩みを持つ人が多いことを考えれば、それも無理のない話だと言えます。
その点、電子マネーやコード決済は、自動的に利用履歴が記録されるので、自分で記録する手間がかかりません。たとえば、交通系電子マネーのSuicaは、ネット経由やアプリのほか、駅の券売機でも利用履歴を確認できます。WAONであれば、イオン各店に設置の端末などで確認が可能。基本的に、お小遣いは子どもが自由に使っていいものですが、あまりにもすぐにお小遣いを使い果たしてしまう場合、親が利用履歴をチェックし、お金の使い方について子どもと話し合うのも手でしょう。
なお、お小遣い用の電子マネーとしては、SuicaやPASMOといった交通系電子マネーがもっともおすすめです。利用範囲が幅広く、多くの人にとって使い勝手が良いためです。その他、各自の利便性に合わせてWAONやnanacoなどを選んでもいいでしょう。PayPayのようなコード決済は、親子で持っていると送金が簡単なので、選択肢に入れてもいいかもしれません。
電子マネーの場合、決まったタイミングで定額をチャージして渡すルールにしますが、お小遣い初心者には、週1回ペースで渡すのもおすすめです(ただし、電子マネーの最低チャージ額は、500円単位などと設定されている場合が多いです)。
一般的に、月1回ペースでお小遣いを渡す家庭が多いですが、子どもがお金を使うことに慣れてきたら、少しずつ間隔を開けていくのもいいでしょう。たとえば、月に1回3000円のお小遣いを渡していたところを、2カ月に1回6000円のお小遣いを渡すようにする。子どもからすると、やりくりする期間が長くなるので、計画的にお金を使わないと、お小遣いがない期間が長くなってしまいます。
子どものうちからムダ遣いをせず、計画的にお金を使う習慣をつけてもらうために、こうした工夫をしてみるのも一案です。
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【大学生におすすめのキャッシュレス決済】
国内外で使える国際ブランドデビットでカード決済に慣れよう!
大学生になると、さらに行動範囲は広がり、お金を使う機会は多様化します。国内外へと旅行する機会も増えるでしょう。そうなると、決済手段は電子マネーのほか、割り勘などの機能が便利なコード決済や、国際ブランド付きのデビットカードを持つのがおすすめです。なかでも、国際ブランドデビットカードは、クレジットカードと同じような感覚で使えるので、クレジットカードを使う予行練習にもなります。
そもそもデビットカードとは、買い物で利用したお金が、銀行口座からタイムラグなしで引き落とされる決済手段のこと。発行元は銀行です。クレジットカードと異なり、デビットカードはそもそも銀行口座にお金が入っていなければ使えないので、無計画なムダ遣いで身をほろぼすリスクが小さくなります。
デビットカードには、J-Debitと呼ばれるタイプと、国際ブランドデビットの2種類があります。前者は、銀行のキャッシュカードを決済にそのまま用います。後者はキャッシュカードと一体化したタイプと、デビット単体のタイプがありますが、いずれも紐づけた銀行口座から決済した金額が引き落されます。さらに、Visaのようなクレジットカードの国際ブランドが付帯します。
J-Debitは利用範囲がかなり限られていますが、国際ブランドデビットは、利用範囲が広いのがメリットです。たとえば、Visa付帯のタイプの場合、クレジットカードのVisaが使える場所であれば、国内外を問わず使えます(一部を除く)。よって、使える場所がわかりやすいとも言えるでしょう。なお、国際ブランドが付帯していても、クレジットカードと違って信用力を問われるものではないので、15歳以上の高校生から持つことができます。
デビットカードの国際ブランドはVisa、Mastercard、JCBが一般的ですが、どれでも好きなものを選べばOK。今はメガバンクや主要ネット銀行など、多くの銀行が国際ブランドデビットカードを発行しています。
すでに利用している銀行でデビットカードを発行してもらうのが早道ですが、銀行によっては、国際ブランドデビットに年会費を設定している場合も。年会費は初年度だけでなく、永年無料の国際ブランドデビットを選ぶようにしましょう。
また、デビットカードで買い物をするとポイントが貯まりますが、ポイント還元率も、カードごとに異なっています。年会費無料でポイント還元率が比較的高い、ソニー銀行のSony Bank WALLETや、あおぞら銀行 BANK支店のデビットカード(ともに国際ブランドはVisa)あたりがおすすめです。
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そのほか、カードによっては、特定の場所で割引などの特典が受けられるものも。たとえば、イオン銀行が発行するデビットカードは、お客さま感謝デーに5%割引の優遇が受けられたり、イオンシネマが割引になったり、といった特典があります。よく利用する場所でお得になるかどうか、という観点も、デビットカードを選ぶうえでは重要でしょう。
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【新社会人におすすめのキャッシュレス決済】
年会費無料や高還元など、メリット大のクレジットカード3枚を紹介!
社会人になっても、後払い式のクレジットカードだとムダ遣いが増えそうで不安、ということであれば、国際ブランドデビットカードをメインで使うのもいいでしょう。ですが、前述のように経費の立て替えなどが発生しそうであれば、クレジットカードがあると便利です。
私が新社会人の方におすすめしたいのは、以下のクレジットカードです。
・Oliveフレキシブルペイ
・リクルートカード
・JCB CARD W
Oliveフレキシブルペイは、前回のこの連載でも取り上げた、SMBCグループの新しいキャッシュレス決済です。キャッシュカード、クレジットカード、デビットカード、ポイント払いの機能が1枚に集約されていて、切り替えは連動するアプリで行います。カードの枚数を増やしたくない人にうってつけなので、三井住友銀行のユーザーなら、クレジットカードを選ぶときの本命にするといいでしょう。
クレジットカードのタイプは一般カード、ゴールドカード、プラチナプリファードの3種類。クレジットカードを使ったことがない新社会人であれば、まずは年会費が永年無料の一般カードからスタートします。
ちなみに、クレジットカードを使い、遅滞なく返済することを繰り返すと、ユーザーの信用力が上がっていきます。信用力が高くなると、よりハイレベルなクレジットカードを作れるようになっていき、さまざまな特典を享受できるようになります。
Oliveフレキシブルペイを買い物に使うと、Vポイントというポイントが貯まります。一般カードの場合、ポイント還元率は0.5%と、そこまで高くはありませんが、Vポイントは近々共通ポイントのTポイントと統合する予定で、利便性の高さではほかのポイントに引けを取らないでしょう。
また、カード表面にカード番号などの重要情報が記載されない、ナンバーレスカードである点も魅力的です。
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続いて紹介するリクルートカードは、年会費が永年無料で、ポイント還元率が1.2%という高還元で知られる一枚です。じゃらんやホットペッパービューティーといった、リクルートのポイント参画サービスで決済すると、最大4.2%まで還元率がアップ。しかも、貯まったリクルートポイントは、使える場所が多い共通ポイントのPontaと交換できるので、非常に利便性が高いと言えます。
年会費無料カードの場合、ポイント還元率は1%あれば高いほうなので、1.2%は破格。新社会人になったら、ポイ活したい人におすすめです。
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■リクルートカード | ||
還元率 | 1.2% | |
発行元 | 三菱UFJニコス、JCB | |
国際ブランド | VISA、Master、JCB | |
年会費 | 無料 | |
家族カード | あり(年会費無料) | |
ポイント付与対象の 電子マネー |
モバイルSuica、nanacoモバイル、ICOCA、楽天Edy ※毎月合計3万円のチャージ分まで。ICOCAと楽天Edyへのチャージでポイントが付与されるのはVISA、Masterのみ。 |
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最後に紹介するのはJCB CARD W。申し込めるのは18歳以上39歳以下という、若い人向けのクレジットカードで、JCBのエントリーカードのような位置づけです。Oliveフレキシブルペイと同じく、スタイリッシュなナンバーレスカードである点も特徴と言えます。
年会費は無料で、基本の還元率は1%。ただし、セブン-イレブンやAmazonなどでは還元率2%となり、スターバックスでは「スターバックスカード」へのチャージをすることで、還元率は5.5%までアップします。還元率アップの場所やサービスをよく利用する人には、かなりお得な一枚です。
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■JCB CARD W(ダブル) | ||
還元率 |
1.0~10.5% ※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」に交換した場合の還元率。 |
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発行元 | JCB | |
国際ブランド | JCB | |
年会費 | 永年無料 | |
家族カード | あり(永年無料) | |
ポイント付与対象の 電子マネー |
QUICPay | |
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お店やサービスごとに、お得になるクレジットカードはさまざまなので、気づくとクレジットカードが増えていた、なんて事態も起こりがちです。保有するクレジットカードはメインカードとサブカードの2枚程度に抑え、使わなくなったら解約して持ちすぎないようにすると、無駄に年会費を払ったり、紛失に気付かず、いつの間にか悪用されてしまったり――といったリスクを回避できるでしょう。
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(取材/元山夏香)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。会社員だった26歳のとき、貯蓄80万円でありながら自宅用としてマンションを衝動買い。物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を開始。年間貯蓄額を一年で6倍まで増やす。その後、自身の体験を活かしてマンション販売会社に転職。年間売上一位の実績を上げる。2013年、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書は『超ど素人がはじめる資産運用』(翔泳社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『ケチケチせずにお金が貯まる法見つけました!』(王様文庫)など多数。日常の記録にお金の情報を織り交ぜる「FUROUCHI vlog」を更新中⇒https://www.youtube.com/c/FUROUCHIvlog/
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1年 | 3年 | 5年 | |
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