前回は「医療保険」の必要性や選び方を詳しく解説しました。復習しておくと、医療保険は原則として“入院したとき”に給付金が出る保険です。特約をつけていない限り、通院では何ももらえないのが普通です。
最近は大病を患っても入院日数は短くなっていて、医療保険の給付金があまり出ないことも珍しくありません。さらに、健康保険の「高額療養費制度」などもあるため、医療費については公的な保障と多少の貯金で十分カバーできる人が多く、必ずしも医療保険に加入して対策する必然性はないと言えます。よって、貯金があまりない人以外は、医療保険に加入しなくても問題ないでしょう。
(関連記事⇒「医療保険」は健康保険や労災保険があれば不要!? 保険商品や保障内容を見直して、高額な保険料を大幅にカットする「保険料」の節約術を伝授!)
ただ、「将来、貯金ではカバーできないくらい、医療費が莫大にかかるかもしれない」と不安に思っている人も多いはずです。たとえば、「身内に『がん』を患う人が多い“がん家系”だから、自分も心配だ」という人。あるいは「周囲で若くして『心筋梗塞』や『脳卒中』で倒れた人がいて、自分も不安になった」というような人もいるかもしれません。
確かに、「がん」や「急性心筋梗塞」「脳卒中」などで重篤な状態になると、治療費がかさんだり、仕事ができなくなって生活が困窮したりするケースもあります。もし、病気全般ではなく、比較的かかる人の多い「がん」のような重病を特に不安視しているのであれば、医療保険以外の保険を検討するという選択肢もあります。それが「がん保険」や「三大疾病保険」などです。
ちなみに、「三大疾病(さんだいしっぺい)」とは、先ほどから出てきている「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」を指しています。これらは、日本人の死因のワースト3を独占しています。
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保険会社によっては、これらの「三大疾病」に対策する保険を「特定疾病保障保険」などの名称で販売していることもあります。また、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」に加えて、「高血圧症」や「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」「慢性膵炎」などの生活習慣病にも対応する「十大疾病保険」などの商品もあります。ただし、ここからは便宜上「三大疾病保険」に統一してお話を進めたいと思います。
確かに、大きな病気は心配ですし、医療費がどれくらいかかるか予想がつかないので、保険に入っておけば安心です。世の中には、安心を求めるあまり、「医療保険」と「がん保険」と「三大疾病保険」の3つの保険に入っているような人もいます。ただ、これはNGです。言うまでもなく、保険料が高くなりすぎてしまい、家計に大きな打撃を与えかねないからです。また、似たような保険にいくつも入ると、ムダに保障が重複することになります。
かつては、まず「医療保険」に加入し、それに上乗せする形で「がん保険」「三大疾病保険」に加入するのが一般的でした。しかし、今は「医療保険」に加入するのが“常識”とは言えなくなっているので、「医療保険」に加入せず、「がん保険」だけに入るなどの選択もあり得ます。
そこで、ここからはどのような考え方を持って「がん保険」や「三大疾病保険」を選べばいいのか、詳しく解説していきたいと思います。
「がん保険」の「定期タイプ」と「終身タイプ」は
何を基準に、どうやって選べばいいのか?
「がん保険」や「三大疾病保険」とはどんなものなのか、という基本のお話から始めましょう。
まず、「がん保険」とは、文字どおり「がん」を患った場合に備える保険です。「医療保険」は病気やケガ全般に備えるものですが、「がん保険」は「がん」に一点集中で備えます。その分、保険料は「医療保険」よりも相対的に安く、実際に「がん」になったときの保障は手厚いのが特徴です。
「がん」に備える方法としては、「医療保険」に「がん特約」をつけることもできます。「がん保険」のほうが保障は手厚くなりますが、料金は「医療保険+がん特約」のほうが安い場合が多いです。すでに「医療保険」に入っていてやめるつもりのない場合は、新たに「がん保険」には入らず、「医療保険」に「がん特約」をつける形でもいいでしょう。ただし、特約をつけすぎると保険料が高くなるので、むやみにつけすぎないようにしてください。
一方、「医療保険」に加入しておらず、とにかく「がん」だけが不安な人は、新たに「がん保険」に加入しましょう。貯金がない人は、なるべく早く入っておいてください。余裕資金は十分あるけど、お守り代わりに入りたいという人であれば、別に急ぐ必要はありません。
「がん保険」には、一生涯保障が続く「終身タイプ」と、保障期間が決まっている「定期タイプ」があります。「定期タイプ」は、年を負うごとに保険料が上がっていく「更新型」が主流です。
一生「がん保険」が必要だと考えるなら「終身タイプ」を選んだほうがベターです。「定期タイプ」の「がん保険」でずっと更新を続けていくと、高齢になってからの保険料が月々何万円にも上ることがあり、年金暮らしの家計を圧迫しかねないからです。
とはいえ、30代までに「がん保険」に入りたいと考えた場合、「終身タイプ」よりも「定期タイプ」のほうが、保険料ははるかに安くなります。たとえば、10年更新タイプだと、診断一時金が100万円以上もらえるものでも、最安の保険なら月々の保険料が1000円を切ります。わずか数百円で「がん」への備えができるとなれば、飛びつきたくなるかもしれません。
これに対し、「終身タイプ」は、診断一時金が100万円以下のものを除くと、保険料が安くて保障が薄めの保険でも、月々3000~4000円くらいはかかります(60歳払い済みにする場合)。終身払いにすれば、月々1000円台で入れる保険もありますが、やはり一生涯家計を圧迫することになるのでおすすめできません。
「がん保険」の「定期タイプ」を選ぶのか、「終身タイプ」を選ぶのかは、まとめると次のようになります。
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