◆SBI証券 ⇒詳細はこちら(公式サイトへ) | ||||||
プラン名 | 口座管理料(月額) | 手数料 | 投資信託 | |||
加入時・企業型から移換時 | 他の運営機関から変更時 | |||||
セレクトプラン | 0円 | 0円 | 0円 | 37本 | ||
※どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料が合計171円(毎月)がかかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円がかかる(すべて税込)。 | ||||||
SBI証券で「iDeCo」口座を作る人は、「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」の2つのコースから、どちらか1つを選択する形だったが、2021年1月から、「オリジナルプラン」の新規申し込みを停止。新規に入る場合は「セレクトプラン」のみとなった。なお、「オリジナルプラン」から「セレクトプラン」への変更は引き続き、受け付けている。
口座管理料は「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」のどちらも無料で、2つのコースの違いは積み立てられる投資信託のラインナップのみ。すでに「オリジナルプラン」で運用している人は新しい「セレクトプラン」に乗り換えるべきなのか。2つのコースを徹底的に比較してみよう!
どちらのコースも口座管理手数料は無料!
口座を選ぶ決め手は投資信託の品揃えのみ!
「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」を比較する前に、SBI証券が「iDeCo」口座に2コースを設定した背景を簡単に解説しておこう。
SBI証券の従来の「iDeCo」口座(=オリジナルプラン)は、投資信託が63本、元本確保型が4本と、豊富な商品ラインナップを誇っていた。ところが、2018年5月に施行された「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律」によって、「iDeCo」の取扱商品数が元本確保型を含め35本までに規制されることになった。5年間の移行期間があるが、SBI証券は2023年までに、「オリジナルプラン」の運用商品を35本に絞らなければならなくなった。
現在の「iDeCo」の制度では、ラインナップに運用商品を新しく追加するのは簡単だが、外すのが難しい。いったんラインナップに加えた商品を除外するには、その商品を保有している人の3分の2以上の同意が必要だからだ。
SBI証券は、「オリジナルプラン」で商品除外の同意を得る手続きを進めていくが、このままでは新たに登場した良い投資信託があっても、ラインナップに追加することができない。そこで、投資信託を入れ替えるのではなく、新しい「iDeCo」のコース(=セレクトプラン)を設定するという策に出たわけだ(1つの金融機関が複数の種類の「iDeCo」のコースを設けることは可能)。
【※「オリジナルプラン」の除外予定商品等についてはこちらを参照】
⇒【SBI証券のiDeCo、手数料・メリットは?】投信のラインナップが豊富!口座管理料は、誰でもずっと無料!
そうして、SBI証券の「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」という2つの「iDeCo」のコースが誕生したわけだが、当然だが、2つのコースを同時に利用することはできない。また「オリジナルプラン」から「セレクトプラン」に変更する場合、乗り換えの手数料はかからず、積み立てていた資産も移管されるが、現在運用中の商品はいったんすべて売却して現金化しなければならない。資産の移管に2~3カ月という時間もかかる。
口座管理料は「オリジナルプラン」も「セレクトプラン」もどちらも同じ0円だ。したがって、比較のポイントは投資信託のラインナップとなる。「セレクトプラン」の投資信託は37本で、商品数では絞り込み後の「オリジナルプラン」の37本と同等だ(バランス型投資信託を1シリーズ1商品としてカウントすると、「セレクトプラン」34本、「オリジナルプラン」34本)。
そこで、用意されている投資信託を「インデックス型」「アクティブ型」「バランス型」に分け、投資対象ごとに詳しく比較してみよう(「バランス型」の投資信託は性質上、インデックス型とアクティブ型の区分が曖昧で、金融機関や評価機関によっても扱いが違うため、インデックス型とアクティブ型に分けずに比較する。また、元本確保型商品はどちらのプランも同じ「あおぞらDC定期(1年)」なので省略)。
インデックス型投資信託は信託報酬が最も安い
商品を揃えた「セレクトプラン」が明らかに優位!
まず、インデックス型から見よう。インデックス型投資信託の比較で最も重要なポイントは、運用コスト(信託報酬)だ。「セレクトプラン」は、「eMAXIS Slim」シリーズと「購入・換金手数料なし」シリーズを中心にして、ほぼ全カテゴリーで見事に信託報酬が“最安”水準の商品が揃っている。
さらに、1本で世界全体の株式に投資できる「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」や、1本で米国株式全体に投資できる「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など、「オリジナルプラン」にない種類の商品もある。まさに“いいとこ取り”のラインナップと言える。
特に「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」は、超低コストで世界の株式に簡単に分散投資ができる魅力的な商品だ(両投信の主な違いは投資対象に“日本を含む”か“日本を除く”か)。逆に「オリジナルプラン」にしかないものとしては、TOPIX100連動型やJPX日経400連動型の投資信託があるが、それらをどうしても買いたいという人は多くはないだろう。
というわけで、インデックス型投資信託を中心に運用するなら、「セレクトプラン」のほうが明らかにおすすめだ。
アクティブ型投資信託は「ひふみ年金」や
「ジェイリバイブ」はどちらのプランにもあり!
アクティブ型は、両プランで共通する商品が多く、それほど大きな優劣はない。ただ、「セレクトプラン」だけにラインナップされたユニークな投資信託もあるので、紹介しておこう。
「つみたて椿」は、「女性活躍応援ファンド(愛称:椿)」の後継ファンドで、女性の活躍により成長が期待される企業に投資する。足元での上位組入銘柄は美容や通販関連が多い。2018年6月に設定された投資信託だが、運用内容が同じ「椿」の直近3年の運用実績は、TOPIXや日経平均を大幅に上回っている。
「野村リアルグロース・オープン(確定拠出年金向け)」は、国内の成長性の高い企業に選別投資し、中小型株も積極的に組み入れる。
「セゾン資産形成の達人ファンド」は、日本を含む世界の株式に広く分散投資する人気投信。長期で見た過去の成績は良好だ。
「ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド」は、アジアの新興国に投資するアクティブ型投信。足元では、ベトナム、バングラデシュ、中国などへの投資が多い。同投信はもともと「オリジナルプラン」のラインナップにもあったが除外対象になり、「セレクトプラン」で復活した形だ。
「SBI‐PIMCO 世界債券アクティブファンド(DC)」は、2018年10月に設定された投信で、世界の債券市場に分散投資を行う。先進国と新興国の投資割合は原則7:3と、新興国の比率が比較的高く、社債やモーゲージ債も組み入れることで高い利回りを狙う。
両プランに共通、あるいは「オリジナルプラン」のみにあるアクティブ型投資信託の内容については、こちらの記事を参照してほしい。「セレクトプラン」には他にも好成績を期待できそうな商品が多い。新規設定の投資信託については今後の運用実績を見極める必要があるものの、アクティブ型投資信託の充実度は「セレクトプラン」がやや上かもしれない。
◆アクティブ型投資信託の比較 ※オリジナルプランは除外対象以外の商品 | ||||
投資 対象 |
オリジナルプラン | セレクトプラン | ||
ファンド名 | 信託報酬 | ファンド名 | 信託報酬 | |
国内 株式 |
ひふみ年金 | 0.836% | ひふみ年金 | 0.836% |
SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金>[jrevive<DC年金>] | 1.65% | SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ<DC年金>[jrevive<DC年金>] | 1.65% | |
フィデリティ・日本成長株・ファンド | 1.6834% | つみたて椿 | 0.99% | |
みのりの投信(確定拠出年金専用) | 1.705% 以下 |
野村リアルグロース・オープン(確定拠出年金向け) | 0.935% | |
スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド[対話の力] | 1.87%+ 実績報酬 |
ー | ||
全世界 株式 |
ー | ひふみワールド年金 | 1.1% | |
キャピタル世界株式ファンド(DC年金用) | 1.569% 程度 |
セゾン資産形成の達人ファンド | 1.35% ±0.2% |
|
朝日Nvestグローバル バリュー株オープン[Avest-E] | 1.98% | 朝日Nvestグローバル バリュー株オープン[Avest-E] | 1.98% | |
先進国 株式 |
ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け) | 1.463% | ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け) | 1.463% |
米国 株式 |
農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド | 0.99% | 農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド | 0.99% |
新興国 株式 |
ー | ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド | 2.124% 程度 |
|
世界 債券 |
ー | SBI‐PIMCO 世界債券アクティブファンド(DC) | 0.8294% | |
コモディティ | 三菱UFJ 純金ファンド[ファインゴールド] | 0.99% 程度 |
三菱UFJ 純金ファンド[ファインゴールド] | 0.99% 程度 |
バランス型では「オリジナルプラン」のラインナップが一歩リード
「セレクトプラン」のバランス型は内容を確認して理解する必要あり
続いてバランス型投資信託だが、実はこれが少々悩ましい。
信託報酬で見れば、コストが“最安”なのは「セレクトプラン」の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」と「iFree 年金バランス」。ただし、バランス型投資信託の比較ポイントはコストだけではない。資産の組み合わせ比率によってリスク・リターンの水準が違うため、自分に合ったタイプを選ぶのが重要だ。
「セレクトプラン」のバランス型投資信託のうち、超低コストの「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」と「iFree 年金バランス」は、資産配分から言うとそれぞれ、高リスク高リターン型、中リスク中リターン型にあたる。「SBIグローバル・バランス・ファンド」と「セゾン・グローバルバランスファンド」も中リスク中リターン型だが、海外資産比率が9割と高いのが特徴だ。
低リスク低リターン型のバランス型投資信託は、「セレクトプラン」にはない。もっとも、運用益非課税の節税効果を考えると「iDeCo」で低リスク低リターンのバランス型投資信託を買う意味は薄いので、これはさほど問題ではない。しかし、高リスク高リターン型が「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」のみというのは考えどころだ。専門家のあいだでは、均等配分は合理的ではない、という意見も少なくないためだ。
【※関連記事はこちら!】
⇒iDeCoでは「バランス型投信」に任せて“ほったらかし投資”が正解! メンテ不要&低コストの「バランス型投信」を賢く選ぶ4つの条件とおすすめの商品を紹介!
「セレクトプラン」のバランス型投資信託も悪い内容ではないが、前述のように高リスク高リターン型が8資産への均等配分しかない、というのは「iDeCo」のラインナップとしては物足りない。「バランス型」1本で運用をしたい場合には、「オリジナルプラン」の「DCインデックスバランス」シリーズの中から株式に投資する割合で選ぶほうが、シンプルでわかりやすく、かつ信託報酬も十分に安い。
バランス型投資信託の比較 ※オリジナルプランは除外対象以外の商品 | ||||
投資 対象 |
オリジナルプラン | セレクトプラン | ||
ファンド名 | 信託報酬 | ファンド名 | 信託報酬 | |
バランス型 | DCインデックスバランス(株式20) | 0.187% | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.143% 以内 |
DCインデックスバランス(株式40) | 0.198% | iFree 年金バランス | 0.1749% | |
DCインデックスバランス(株式60) | 0.209% | SBIグローバル・バランス・ファンド | 0.2869% 程度 |
|
DCインデックスバランス(株式80) | 0.22% | セゾン・グローバルバランスファンド | 0.61% ±0.02% |
|
iFree 8資産バランス | 0.242% | ー | ||
SBI資産設計オープン(資産成長型)[スゴ6] | 0.748% | ー | ||
野村DC運用戦略ファンド[ネクスト10] | 0.88% 以内 |
ー | ||
ターゲットイヤー型 | セレブライフ・ストーリー2025 | 0.6977% 程度 |
セレブライフ・ストーリー2025 | 0.6977% 程度 |
セレブライフ・ストーリー2035 | 0.6995% 程度 |
セレブライフ・ストーリー2035 | 0.6995% 程度 |
|
セレブライフ・ストーリー2045 | 0.7002% 程度 |
セレブライフ・ストーリー2045 | 0.7002% 程度 |
|
セレブライフ・ストーリー2055 | 0.6843% 程度 |
セレブライフ・ストーリー2055 | 0.6843% 程度 |
基本は超低コストで世界に投資できる「セレクトプラン」でOK!
ただしバランス型を買いたい人は「オリジナルプラン」もいい
さて、ここまでSBI証券の「iDeCo」口座の「オリジナルプラン」と「セレクトプラン」の2つのコースを、「インデックス型」「アクティブ型」「バランス型」の投資信託のラインナップで比較してきた。
資産形成のためには、世界の株式へ分散投資するのが基本。投資経験の少ない人でも、「セレクトプラン」で「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」1本を買えば、超低コストでそれが実現できる。他に個別株や投資信託などを保有していない投資初心者なら、「iDeCo」で全額を世界株に配分してもリスクの取り過ぎにはならないだろう。
日本株や先進国株のみなどに絞って低コストで投資したい、あるいは投資比率を自分で決めたいという中上級者も、「セレクトプラン」でいい。アクティブ型投資信託を中心に運用したい人は、買いたい商品があるほうのコースを選べばいいが、アクティブ型投信とインデックス型投信を組み合わせての運用を考えるなら、やはり「セレクトプラン」がおすすめとなる。
一方で、株式や債券、国内外への分散投資を1本のバランス型投資信託で行い、ある程度リスクを抑えた運用をしたいと考えている人には、「オリジナルプラン」のまま運用して、低コストでわかりやすい「DCインデックスバランス」シリーズを選択するのもありかもしれない。
いずれにしても、現在すでに「オリジナルプラン」で運用している人は、あわてて「セレクトプラン」乗り換えなくてもいいだろう。「セレクトプラン」のインデックス型投資信託は確かに魅力的なラインナップだが、「オリジナルプラン」の信託報酬も十分に安い。各カテゴリーの最も低コストの投資信託で比較すれば、新興国株式型や新興国債券型を除き、両プランの信託報酬の差は0.1ポイント以下で、誤差の範囲程度だ。
徹底的にコストにこだわりたい人、あるいは全世界株型など「セレクトプラン」にしかない商品で運用したいという人はコース変更も選択肢になる。ただし、その場合はこれまでに積み立てた商品をすべて売却して現金化する必要があるので、積立投資の継続性がいったん途切れてしまうというデメリットも考えて判断しよう。
【※関連記事はこちら!】
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