FP花輪陽子のシンガポール移住日記
【第15回】 2016年12月5日 花輪陽子

シンガポールの受験戦争は、妊娠中から始まる!?
生まれてから申し込んでも入れない幼稚園の存在や
年間数百万円も学費がかかる「お受験事情」を紹介!

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。今回は、シンガポールのお受験事情を紹介します。

 世の中には、妊娠がわかったらすぐに、生まれてくる子どもを入学させる学校を探さなければならない都市や地域があります。香港が代表例ですが、シンガポールも例外ではありません。

 シンガポールで人気のローカル幼稚園の中には、長蛇のウェイティングリストが存在し、妊娠中に申し込まなければ、順番がなかなか回ってこないところもあります。インターナショナルスクール(以下、インター校)でも、スタートは3歳からなのに、3年前からウェイティングを受け付けている学校があります。

 わが家では娘が2歳になり、幼稚園(人気の園ではなく、ごく一般的な幼稚園です)に通い始めてから、ようやく落ち着いて3歳以降に入るインター校を探し始めました。その際に、3年前からウェイティングを受け付けている学校の存在を知り、とても焦りを感じました。

妊娠中や0歳のときに行動しないと
合格しないとは限らないが、早め行動が有利なのは確実

インター校(幼稚園)見学に行ったインター校(幼稚園)にて。さまざまな遊具が充実していました。

 しかし、色んな学校を訪問(学校によっては何度も訪問)し、アドミッションオフィス(願書の選考をする部署)の人に質問をしてわかったのですが、その学校のスタートの学年(3歳スタートなら3歳児)を目指して早めに書類を出せば、かなり高い確率で入学が可能なようです。

 どれくらい早く出す必要があるかというと、学校にもよりますが、学校スタートの1年以上前から動き始めるのがベストです。

 例えばうちの子どもの場合は、2017年8月の学校スタート時から、3歳クラスに入学したいと考えています。そのため、2016年8月に学校訪問をし、すぐに「登録料」(学校にもよりますが、高いところは20万円前後で返還不可の場合も)を支払って申込みし、必要書類(身分証明書の他に子どもの成績表や推薦状や学校からの質問状への記入など)を2016年秋に送りました。一時募集、二次募集、三次募集などをかけている学校も多く、書類は一時募集で送ったほうが有利です。

 ポイントは、「その学校が生徒を受け入れる最初の年に、同時に応募するのが狙い目」ということです。3歳から開始であれば、3歳枠で数十名から百数名など、かなり大人数の募集をするからです。次の年以降は3歳枠で入った人が持ち上がるために、辞める人がいないと新たに入れません。

 シンガポールは世界のあちこちを飛び回っているビジネスマンが集っているので、学校の転出入は珍しいことではありません。しかし、人気のインター校だと、出て行く人以上に入りたい人が多いために、何年も待たなければならない場合も多いのです。途中入園がしやすくなるのは、駐在員が自国に引き上げやすい、リーマンショックなどの景気後退期くらいです。

どの国の子どもでも、まだ英語力にあまり差がない
「3歳」のときが、インター校入学のベストなタイミング

 途中入園が難しいもう一つの理由として、「英語力不足」という問題が出てきます。3歳児で申し込む場合、ネイティブの子どもたちでも子どもによってはまだ英語がハッキリと話せる状態ではない子もいます。そのため、英語力を求める学校であったとしても、英語の幼児教室などである程度準備をすれば、両親が日本人の子どもの場合でもインター校に入れやすいのです。

 ところが学年が進むに従って、それぞれの母国語で複雑な会話もできるようになります。英語力の差もかなりついているために、英語力を求めるスクールにいきなり入るのは大変になるのです。

インター校の図書館とあるインター校の図書館。子どもの遊び場のような楽しい雰囲気でした。

 具体的には英語の入学テストがあり、それにパスができないと受け入れてもらえません。学校によっては3歳児(申し込みの時点では2歳の子ども)や4歳児などに対しても英語テストが必要なところもあるようです。

 そのため、入学時にはそれほど英語力を求めないインター校(前回紹介)などにいったん入って、補講などで英語力を鍛えてから編入という道が現実的になってくるのです。

親の英語力は「ほどほど」でもOK
日本人は「重要なお客さま」と見なされることも多い

 さて、具体的にインター校に申し込む方法や注意点などを、私がわかる範囲でお伝えさせていただきます。

 多くのインター校は、願書をホームページのフォームやメール、FAXなどで提出することができます。日本の幼稚園のように、学校に何回も足を運んだり、願書をもらうために並んだりする必要はない場合がほとんどです。

 海外赴任が決まっている人は、準備中で日本にいるときから問い合わせはできますし、書類提出も物理的には可能です(学校見学はできませんが)。なかには、学校側が日本に来て説明会を開くケースもよくあるので、そういった回に参加をしてみると学校のことがよくわかるでしょう。

 ただ、「インター校に応募するなんて、なんだかハードルが高い」と思っている人も多いかもしれません。親の英語力が見られるとも言われますが、ある程度英語ができれば(相手が話すことが概ねわかる、自分が伝えたいことをつたなくても話せるレベル)で十分なのではないかと思いました。

インター校のオープンキャンパスインター校のオープンキャンパス。学校のことを事細かに説明してもらえます。

 願書は英語で書く必要がありますが、自動翻訳やネイティブの友達の力を借りることもできます。私は前職場でアメリカ英語になじみがあったために、イギリス英語の聞き取りには苦労しました。

 学校の代表からのプレゼンテーションがあまり聞き取れないこともありましたが、担当の人にゆっくり話してもらったり、しつこく質問をしたりして何とかしのぎました。学校側もビジネスですから、顧客には丁寧に対応しますし、特に日本人は多くの学校にとって重要なお客様のようです。

願書を出す段階から高額の出費になるインター校
「教育投資」として10数年耐えられるか見極めが肝心

 願書を出すのにお金を支払う必要(学校にもよりますが、5万〜20万円前後)があり、その多くは返ってきません。複数の学校に願書を出すこともできますが、それだけ多くのお金が必要になります。

 また、受け入れが決まったら、すぐに入学金(学校にもよりますが数十万円なのが一般的)を支払わなければならないことが多く、学費の支払いも月払いではなくタームごと(年2回や3回)に支払う場合が多いので一度に100万円近くのお金がごっそりなくなることになります。

 さらに、お付き合いにもお金がかかる(クラスメイトのバースデープレゼントや先生に対してのクリスマスプレゼント、お茶代など)そうなので、子どもをインター校に入れると、よほどのお金持ちを除いては、家計がカツカツになるそうです。

 それを「教育投資」と捉えて耐え忍ぶかどうかは、判断が大きく別れるところかもしれませんね。