株データブックWeb「記者が斬る!」
2012年4月17日 ザイ・オンライン編集部

キャッシュリッチ、好財務でも
株価低迷の摩訶不思議(フェリシモ)

 そこで、こうした好財務内容の裏の側面をみてみよう。

 まずROE(自己資本利益率)だが、2.5%。あきれるほどの低水準だ。これは過大な自己資本が裏目に作用しているため。また、資産の利用効率を示す総資産回転率も1.1倍の低水準にとどまっている。

 下図はフェリシモのバランスシートの形状を簡略化したものだが、いかにも一般的な形状とは異なることがわかる。

 株価を上昇させるには、収益性を向上させ、利益の成長力の高める以外にない。

 特に売上高が500億円にも満たない程度の企業であれば、積極的な攻めの経営姿勢が不可欠だが、「M&Aを含め、投資を行う予定はさしあたってない」(矢崎社長)と、積極策に打って出る腹づもりはないようだ。

消極的経営が株価低迷の根本原因

 ROEを高めるには、分子の利益を増加させる以外に、分母の自己資本を減らるという方法もある。つまり自社株買いだ。

 しかし、手持ちのキャッシュの使い道がないので自社株を買戻すというのは、言わば成長を放棄したきわめて消極的な戦略で、資金の調達ニーズがないのであれば、そもそも上場している理由がない。

 今後の株価を占うときのポイントは大きく次の3点だろう。

 まず、豊富なキャッシュを使って積極策に転じたときは、株価は好反応が期待できる。次に特に何も手を打たず、使い道のないキャッシュを貯め続けている場合、株価は現在の低水準から脱するのは難しい。

 最後に自社株買いなどの消極策に出た場合だが、株価は瞬間は好反応するかもしれないが、成長期待が一段と低下したと株式市場が判断すると同時に、株価も下落する危険性が大きい。

 いずれにせよ、潤沢なキャッシュ、自己資本が厚い良好な財務内容といったキャッチフレーズは事実とは裏腹の偽りの褒め言葉と言わざるを得ない。