ザイスポ!
【第17回】 2012年5月20日 橘玲

[橘玲の海外投資の歩き方]
“歴史的”なカンボジアのIPO第1号を体験してきた

橘玲の海外投資実践編

カンボジアのIPO第1号を体験しにいった

 サイゴン川を見下ろすパブでビールを飲み、午後5時前にタクシーを拾ってタンソンニャット国際空港に向かう。夜8時過ぎには、トンレサップ川沿いのカフェでビールを飲んでいた。

 なぜいつもビールなのかというと、4月中旬の旧正月(タイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーの祝日。タイではソンクラーン=水かけ祭りとして知られる)前後は雨季に入る直前で、東南アジアでは1年でいちばん暑い季節だからだ。

 ホーチミンからプノンペンは長距離バスで6時間足らずの距離だが、今回の旅は日程が窮屈なので(10日間で5カ国)空路を使うことにした。ところが予定していた便がキャンセルになっていて、空港カウンターでチェックインするなり「とにかく急げ」といわれ、空港内を全力疾走して午後6時発の便に飛び乗った。

 45分後にはプノンペン国際空港に着陸し、トゥクトゥク(三輪タクシー)をつかまえてホテル・カンボジアーナに着いたのが7時半。部屋に荷物を置いて川沿いのカフェまで歩き、ホーチミンを出てから3時間後にはプノンペンでビールを飲んでいた、というわけだ。

トンレサップ川沿いのカフェ(Photo:©Alt Invest Com)

 もちろん、プノンペンまでわざわざAngkor Beer(王都ビール)を飲みにきたわけではない。今回の目的は、カンボジア初のIPOに参加することだ。

外国人顧客には慣れているが、書類は多い

 翌日(3月28日)の朝、アシレダ証券ACLEDA Securitiesに口座開設に行こうとして大事なことに気がついた。口座開設にはパスポートのカラーコピーと顔写真が必要なのだが、どちらも用意していなかったのだ。

 ホテルのフロントで相談すると、トゥクトゥクに乗せられて町の写真店に連れていかれた。カウンター脇にパソコンが何台か置かれ、奥が撮影室になっていて、店内は若い女の子たちで賑わっている。

 プノンペンでも若者の多くはカメラ付きの携帯を持っているから、彼女たちはただ写真を撮りにきたのではない。どうやら目的は、デジタル撮影した顔写真を見た目よく修整してもらうことのようだ。パソコンのモニターを見ながら、「まつげをもうすこし長くして」とか、「もっと色を白くして」とか、スタッフにいろいろ注文をつけている。こうして修正された顔写真は、就職のための履歴書やお見合い用に使われるから、彼女たちの表情は真剣そのもだ。 

 顔写真とカラーコピーで3ドル払い、待たせていたトゥクトゥクで証券会社に向かうが、運転手が道に迷ってしまう。そのおかげで(?)、プノンペンの街をあちこち見て回ることができた。