前回は、『株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書』の著者、公認会計士の足立武志さんによるアベノミクス相場に乗れなかった個人投資家についての説明でしたが、第2回の今回は、個人投資家とプロはどこが違うのか、個人投資家がプロと互角に戦うにはどうしたらいいのか、に加えて、減益予想を発表後、日経平均が暴落する中でストップ高になったクスリのアオキ(3389)を例にとって株価トレンドの見方についてもレクチャーしてもらいます。
個人投資家はプロ投資家より情報量も時間も限られている
株式市場とは面白いところで、個人投資家(言うなればアマチュア)とプロ投資家が同じ土俵でしのぎを削っています。
個人投資家とプロ投資家の違いを一言でいえば、「情報量と時間の差」です。プロ投資家は個人投資家に比べて圧倒的に情報量が多いですし、各銘柄を分析するための時間も多く割くことができます。でも、普段日中は仕事をしている個人投資家の場合はそうも行きません。
そのため、個人投資家がプロ投資家を真似てファンダメンタル分析をしてみても、どうしてもその精度はプロ投資家と比べて低いものになってしまいます。
個人投資家のファンダメンタル分析は「本物」とはいえない

個人投資家のファンダメンタル分析は、会社が発表する業績予想や会社四季報に掲載されている予想値をもとに行うことが多いと思います。でも、会社や四季報の予想をそのまま鵜呑みにするのでは、本物のファンダメンタル分析とはいえません。
例えば、決算発表時に企業が発表する来期の業績予想が減益の予想なのに株価が大きく上昇するケースはよくあります。逆に来期の大幅増益予想を発表したにもかかわらず株価が大きく下がってしまう銘柄も決して珍しくありません。
なぜ減益予想なのに株価が上がり、増益予想なのに株価が下がるのか、それはプロ投資家が、企業発表の業績予想とは異なる予測をしているからです。それを踏まえてプロが投資行動を起こした結果が、株価の反応として表れているのです。
ですから、業績予想が悪くても、プロ投資家が「本当はもっと業績が良いはず」と判断すれば株価は上昇し、絶好調の業績予想であってもプロ投資家が「そんな好調なはずはない」と判断すれば株価は上がらないのです。
会社発表や四季報の数字をみて業績を「想像する」のが個人投資家のファンダメンタル分析、会社発表や四季報の数字を鵜呑みにせず自らが業績を「予測する」のがプロ投資家のファンダメンタル分析なのです。そして、両者にはその精度に大きな差があるのが現実です。
プロとの精度の差を埋めるための方法の1つが「株価トレンド分析」
もちろん、個人投資家であっても、精度の高いファンダメンタル分析を行っている人はいます。でも、その域に到達するためには長い時間と沢山の労力、努力が必要です。多くの個人投資家にとっては難しい話ではないでしょうか。
そこで、私たち個人投資家としては、プロ投資家との差を補うための何かがどうしても必要となります。
筆者は自らが日々実践している「株価トレンド分析」を併用することで、プロとの差を補っています。
「株価トレンド分析」は拙著「株を買うなら最低限知っておきたい 株価チャートの教科書」にて詳細に説明していますが、ここで簡単に説明すると、移動平均線と株価の位置関係で株価のトレンドを判断し、株価が上昇トレンドの間は新規買いおよび保有継続をし、下降トレンドの間は保有株を売却し、新規買いは控えるというものです。
株価トレンド分析は非常に簡単で、ファンダメンタル分析の精度をプロ並みに高めようとするのに比べて時間も労力も努力も僅かで済むのが長所です。
例えば会社発表の業績予想や会社四季報の予想数値が増収増益だったとしても、株価のトレンドが下向きであれば、プロ投資家はこの増収増益予想を信用していない可能性が高いと考え、買いを見送ります。逆に、増収増益を続ける会社が来期の予想を減益と発表しても、株価のトレンドが上向きであれば、プロ投資家はこの減益予想は保守的すぎると判断していると考え、新規買いを実行します。
ファンダメンタル分析の精度を高めるのが理想ではあるが
最近の具体例をあげれば、クスリのアオキ(3398)は6月26日(金)の決算発表時に開示した来期の業績予想において、大幅増収ながら減益の予想と発表しました。ところが翌営業日(6月29日)の株価はストップ高、その後も株価は高値追いを続けています。これはまさに、プロ投資家が減益予想はあまりにも保守的すぎるとして信用していないことの表れです。
減益の予想にもかかわらず、かつギリシャ問題を嫌気して日経平均株価が約600円も下落する中での非常に強い株価の動き、そして株価が上昇トレンドを維持していることをもって、新規買いの絶好のタイミングであったといえるでしょう。

個人投資家も、最終的には精度の高いファンダメンタル分析一本で、満足のいく投資成果をあげるようになるのが理想ではありますが、やはり理想と現実は違います。常に理想形を思い描いて努力しつつも、ファンダメンタル分析と株価トレンド分析とを併用して、しっかりと利益をあげることができる投資スタイルをまずは確立するのがよいのではないでしょうか。
次回は、個人投資家が陥りやすい「ファンダメンタルの罠」とその対処法について考えてみたいと思います。
大好評の「株を買うなら最低限知っておきたい」シリーズ! | ||||
初心者からセミプロまで、幅広い層の個人投資家に高く評価されている『株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書』シリーズ第2弾。今回は、投資家からのニーズの高い「株価チャート」について、基礎から実践法、特殊なケースまでを一気に学べる。特にユニークなのは、クイズのページ。株価チャートについてサクサク進むクイズ形式のページがついており、楽しみながらチャート分析を復習できる。また、ソフトバンクなど人気銘柄については、著者が「自分ならこうする」という投資法を紹介。後講釈になりがちな株価チャートの使いこなし方をホンネで紹介する決定版。 | 公認会計士かつ、個人投資家の著者だからわかる、四季報、決算短信、有価証券報告書で株に勝つ方法。どん底からの「復活株」、業績好調の「成長株」、忘れられたひヒーロー「割安株」の探し方から、粉飾、倒産銘柄の回避法までがこの1冊でわかる。著者自身が本当に使っている方法を余すことなく公開。 業績・財務の知識なしに株では勝てない。会社四季報、決算書をフル活用した銘柄の選び方。銘柄選びにとどまらず、買いタイミング・売りタイミングについても詳細に解説。「銘柄を選ぶ→買う→売る」のすべてをサポート。 |
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◆三井住友カード(NL) |
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iD |
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◆Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード |
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1.875% (※1) |
4万9500円 | AMEX | - |
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【Marriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードのおすすめポイント】 2022年2月24日に誕生した「スターウッド プリファード ゲスト アメリカン・エキスプレス・カード(SPGアメックス)」の後継カード。SPGアメックスと同じく、通常100円につき3ポイントが貯まり、「6万ポイント⇒2万5000マイル」の高い交換レート(=還元率1.875%!)でANAやJALなどの航空会社40社以上のマイルに移行可能! しかも、ポイントの有効期限は「最後にポイントが増減した日から2年間」なので“実質”無期限でマイルを貯められるのも大きなメリット。また、世界的ホテルグループ「マリオット・インターナショナル」との提携カードなので、カードを保有するだけで上級会員資格「ゴールドエリート」が手に入り、客室のアップグレードや14時までのレイトチェックアウトなどの特典が利用できる。さらに、年間150万円以上を利用したうえでカードを更新すると、シェラトンやウェスティンなどの同グループのホテルに2名まで無料で1泊できる「無料宿泊特典」(※2)がもらえるほか、年間400万円以上を利用するとワンランク上の会員資格「プラチナエリート」が手に入り、最大でスイートまでの客室アップグレード、朝食無料サービスなどの豪華特典が利用可能に! 家族カード1枚は年会費が無料(2枚目以降は年会費2万4750円・税込)になり、夫婦や家族でポイントが貯めやすくなっている。 ※1 6万ポイントを一度にマイルに移行した場合。1マイル=1.5円換算。※2 交換レートで5万ポイントまでのホテルに宿泊可能。追加で最大1万5000ポイントを支払って、6万5000ポイントまでのホテルに宿泊することも可能。 |
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【関連記事】 ◆【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】「おすすめクレジットカード」を2人の専門家が選出!全8部門の“2023年の最優秀カード”を詳しく解説!(マイル系カード&プラチナカード部門) ◆「Marriott Bonvoyアメックス」のメリットを解説!「SPGアメックス」の後継の「プレミアム」なら、年400万円の利用で「プラチナエリート」資格を獲得できる! ◆【アメリカン・エキスプレス・カードを一覧で比較】アメックスが発行する15枚のカードの年会費や特典、還元率を比較して、自分にピッタリの1枚を探そう!(Marriott Bonvoy アメックス・プレミアム編) |
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還元率 | 年会費 (税込) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆JCB CARD W(ダブル) |
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1.0~5.5% (※) |
永年無料 | JCB | QUICPay |
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【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】 39歳以下の人だけが申し込める、年会費無料のうえに通常還元率1%のお得な高還元クレジットカード!(40歳以降も継続して保有可能)さらに「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」の「ポイントアップ登録(無料)」をすれば、Amazonやセブン-イレブンなどでは還元率2%、「スターバックスカード」へのチャージで還元率5.5%に! ※貯まったOki Dokiポイントを「JCB PREMO」または「nanacoポイント」に交換した場合の還元率。 |
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【関連記事】 ◆「JCB CARD W」は「楽天カード」などとほぼ同じ、年会費無料+還元率1~3%のJCBの入門用カード!Amazonやスタバをよく利用する20~30代は注目! ◆「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証! ◆JCB CARD W(ダブル)のメリットを解説!「年会費無料」「常に還元率1.0%以上」「ポイントの使い勝手が良い」と三拍子そろった高還元クレジットカード! |
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◆セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digital |
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0.5~2.0% | 初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※1) |
AMEX | Suica |
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【セゾンパール・アメリカン・エキスプレス・カード Digitalのおすすめポイント】 通常還元率は0.5%だが、QUICPay決済を利用した場合は還元率2%に大幅アップ!(※2)セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといったコンビニはもちろん、マツモトキヨシやツルハグループなどのドラッグストア、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店など、QUICPayを利用できる店舗ではいつでもどこでも還元率2%になるので非常にお得! 貯まるポイントは、有効期限のない「永久不滅ポイント」なので、ポイントの失効を気にする必要がないのもメリット! ※1 2年目以降1100円。ただし、年一回でもクレジットカードの利用があれば次年度以降も無料。※2 2022年10月31日までの利用分が対象で、2022年11月1日以降の還元率は未定。 |
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【関連記事】 ◆「セゾンパール・アメックス・カード Digital」は、QUICPayで2%還元と超お得! 最短5分で発行できる「SAISON CARD Digital」の申し込み方法も解説! ◆還元率が高い、おすすめのクレジットカードを紹介!クイックペイを利用すれば還元率2%になる「セゾンパール」など、年会費が実質無料で注目の3枚をチェック |
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◆三井住友カード ゴールド(NL) |
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0.5~5.0% |
5500円 (ただし、年100万円以上の 利用で次年度から永年無料) |
VISA Master |
iD |
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【三井住友カード ゴールド(NL)のおすすめポイント】 2021年7月1日に発行が始まった、券面にカード番号が記載されていない“ナンバーレス(NL)”のゴールドカード。年会費5500円(税込)だが、年間100万円を利用すると(※1)、次年度から年会費が“永年無料”になるうえに、1万ポイントが「継続特典」としてもらえるのが大きな魅力! さらに、通常還元率は0.5%と一般的なクレジットカードと同等だが、セブン-イレブン、ローソン、マクドナルドなどで「Visaのタッチ決済」または「Mastercardコンタクトレス」で支払うと還元率5%に大幅アップ(※2)するなど、ポイントも貯まりやすくてお得! ※1 対象取引などの詳細は、三井住友カードの公式サイトをご確認ください。※2 一部店舗では還元率5.0%とならない場合あり。また、一部店舗および一定金額を超える支払いでは「Visaのタッチ決済」および「Mastercardコンタクトレス」が利用不可の場合あり。 |
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【関連記事】 ◆「三井住友カード ゴールド(NL)」は、年100万円以上を使うと年会費が“永年無料”に! コンビニで5%還元、空港ラウンジや旅行保険などの特典も付帯してお得! ◆三井住友カード ゴールド(NL)のメリット・デメリットを解説! 同じく“実質”年会費が無料の「エポスゴールドカード」と付帯サービスなどを比較して魅力を解剖! |
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◆au PAY カード |
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1.0~2.0% |
初年度無料 次年度以降も 条件次第で無料(※) |
VISA Master |
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【au PAY カードのおすすめポイント】 通常還元率1.0%でPontaポイントが貯まり、マツモトキヨシやかっぱ寿司などの「au PAY ポイントアップ店」では還元率1.5~2.0%以上に達する、auユーザー以外も得するクレジットカード! さらに、スマホ決済の「au PAY」へのチャージでも1.0%分のポイントが貯まり、「au PAY(コード払い)」の利用時に0.5%分のポイントが貯まるので、合計還元率1.5%でPontaポイントを2重取りできる! しかも、初年度は年会費無料、2年目以降は年会費1375円(税込)だが、年に1回でもカード決済、もしくは携帯電話などのauのサービスを利用していれば次年度以降の年会費も無料に! ※ 2年目以降1375円。ただし、年一回でも利用した場合、もしくは「au ID」に「au PAY カード」を紐付けて、携帯電話などのauサービスを利用している場合は次年度無料。 |
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【関連記事】 ◆「auカブコム証券+au PAY カード」で積立投資すると最大5%のPontaポイントが貯まる! つみたてNISAも対象なので、これから投資を始める人にもおすすめ! ◆「au PAY カード」を使って、auカブコム証券で投資信託の積立投資をしてみた! 積立金額の1~5%分のPontaポイントが付与されるタイミングなどを検証! |
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