投資信託おすすめ比較[2020年]
2013年4月19日 ザイ・オンライン編集部

【第9弾】「分配金が少ない毎月分配型ファンドは魅力がない」は正しいのか?

先日とある方(仮にAさんとします)から「深野さんの今度の本でおススメしている毎月分配型ファンドはどれも分配金が少なくって、魅力的じゃないですね」と言われました。

高い分配金を選んでしまう過ちの理由

どうしても高い分配金のファンドを選びがちだが……(イラスト/宗誠二郎)

 Aさんは本を買った後、前半部分を読み飛ばして6章の「おすすめできる健全な毎月分配型投資信託はこの8本!」を読んだようですが、その後、私がご説明を差し上げたところ「分配金の多寡で選んではダメですね」と納得をしてくれました。

 Aさんに話しをしていて、このくだりは一般の方にも役に立つのではないかと思い、今回の記事にしてみました。ちなみに私の近著『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』をすでに読まれた方は、内容が重複することをあらかじめお断りしておきます。

 まず、私がAさんにお話ししたのは「分配金の健全性」です。

 この連載でも何回も触れていますが、毎月の分配金はファンドの運用益から出来る限り支払うべきだと私は考えています。

 つまり、毎月の分配金が100円(1万口あたり)あっても、ファンドの運用益が50円しかなければ、差額の50円分はこれまでの積み立て分、もしくは元本を取り崩して支払っている計算になります(詳しくは連載の第2回をご覧ください)。

 「なんだ、当たり前の話しじゃないか」と思われるかもしれませんが、驚いたことに世の中に出回っている毎月分配型ファンドの多くは、取り崩しをしているのが実情です。

 聡明なAさんはこの説明をしただけでも「なるほど、そういうことか」と納得されましたが、私は引き続き、ファンドの運用益の算出方法(本に掲載されている方法と同じ)についてもご説明させていただきました。

投資対象のリスクを複数抱え込まないものがよい理由

 たしかに私がの中でおススメしているファンドの分配金は高くても60円ほどで、現在も人気の通貨選択型では100円、200円の分配金も珍しくありません。200円と60円を比べれば、200円に飛びつくのはある意味当たり前といえるでしょう。

 ただ、ここで考えて欲しいのが、毎月分配型に限らずファンドの運用では、ファンドマネジャーがいくつかのリスクを取って投資活動をしている、ということです。

 たとえば、通貨選択型は(1)投資対象(2)ヘッジ対象との金利差(3)ヘッジ対象との為替差益、の3つのリスクを抱え、その3つがすべてプラスになった時に高い分配金を支払える仕組みになっています。ただ、この3つが半永久的にプラスになることはありえず、少しでもうまくいかなければ「分配金の減額」となります。

 毎月分配型ファンドの購入者の多くはリタイア層であり、購入の目的は「安定的に分配金を受け取ること」です。その観点からすれば、通貨選択型のようなファンドをたくさん保有することはあまり望ましくないといえます。

 なお、今回の著書でおススメしている8本は、投資対象のリスクがひとつのものばかりで、さらに長期的に安定した分配金支払い実績があるものだけ。つまり「安定的に分配金を受け取ること」が可能なファンドです。

 もちろん、高い分配金の毎月分配型ファンドだからダメという理屈ではありません。次回にご説明しますが「毎月分配型ファンドのコア・サテライト戦略」に基づけば、通貨選択型も少しなら保有してもよいと私は考えています。

 ただ、繰り返しになりますが、リスクがファンドのどこに潜んでいるのかを知っておくことは重要なことです。私の近著ではその辺りも解説しているので、ぜひご一読いただければと思います。

*過去の記事
【第1弾】なぜ世界の株式市場が上昇しても、危険な毎月分配型ファンドがたくさんあるのか?
【第2弾】毎月分配型ファンドの良し悪しがわかるポイントを教えましょう!
【第3弾】毎月分配型ファンドの分配金が「減らされる危険度」の判定法
【第4弾】営業担当者に毎月分配型ファンドの買い換えを勧められたら?
【第5弾】毎月分配型ファンドを買っていい人、買ってはいけない人とは?
【第6弾】「買ってよい毎月分配型ファンド」の条件を考えてみた
【第7弾】一番人気のグロソブは買ってもよいかを分析してみた!
【第8弾】毎月分配型ファンドの「利回り」が意味のない理由

◎Profile
深野康彦(ふかのやすひこ)
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。クレジット会社を経て、1989年4月に独立系FP会社を経て独立。現在のファイナンシャルリサーチ(2006年設立)は2社目の起業。著者に『これから生きていくために必要なお金の話をしよう!』(ダイヤモンド社)など多数。