前回(「なぜ世界の株式市場が上昇しても、危ない毎月分配型ファンドがたくさんあるのか?」)はこの好調な株式市場でも、危ない毎月分配型投信がたくさんあることをお知らせしました。今回はズバリ「毎月分配型投信の見分けるカンタンなポイント」についてレクチャーしましょう!
売れている商品が良い商品とは限らない
先日、某週刊誌に「投信を選ぶときの条件は純資産総額の大きいものから」とありました。
あらためて言うまでもありませんが、これはまったくの間違いです。たしかにある程度の資金ボリュームがないと運用に支障をきたしますが、それとて数十億円程度のレベル。
もっとも、ファンドを組成・運営する側にとっては資金が大きければ手数料がたくさん入ってくるので、「大きいことはいいこと」ですが、私の近著『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』で分析結果を掲載しているとおり、かならずしも「純資産総額の大きいファンド=いいファンド」ではないことは一目瞭然です。
そこで、よい商品を図るモノサシとして私が提唱しているのが近著や前回ご紹介した「分配金健全性」と「分配金余力」なのです。
収入を超える支出では長続きしない
この「分配金健全性」と「分配金余力」について詳しく解説することは本稿の目的ではありません。なぜなら、それでは本を出版した意味がなくなってしまうからです(笑)
冗談はさておき、せっかくこの記事をご覧いただいた方に、ひとつだけでも知っていただきたいのが、『ファンドの毎月の収入>毎月の分配金』という図式です。つまり「分配金の健全性」です。以下、詳しく解説していきましょう。
前回も家計に例えて説明しましたが、“毎月の収入が20万円なのに30万円の支出をしていないか”ということです。重複になりますが、収入=ファンドの毎月の収入、支出=毎月の分配金、となります。
往々にして金融機関は多くの資金を集めるために「高い分配金」を設定します。みなさんも毎月20円の分配金より100円の分配金の方が魅力的に映るでしょう。
私は100円の分配金が悪いと言っているのではありません。「無理なく分配金を支払っているのか」が重要なのです。「無理なく」の尺度が『ファンドの毎月の収入>毎月の分配金』です。では、どのように「無理なく」がわかるのでしょうか?
ファンドの毎月の収入はあっという間に計算できる
(1)毎月の分配金、(2)ファンドの毎月の収入の2つがわかれば、すぐに算出できます。毎月の分配金はHPや資料などに出ています。ファンドの毎月の収入も各ファンドのホームページに出ている“直接利回り”からわかります。
各ファンドは最新の運用状況などをホームページに掲載していますが、その中の「マンスリーレポート」に“直接利回り(年利)”が載っています。
基準価額×直接利回り(年利)÷12=毎月の収入(1万口あたり)
これだけで、ファンドの毎月の収入がわかるのです。
それでは、本書の掲載例で説明しましょう。昨年11月末時点で純資産総額が2位の短期豪ドル債オープン(毎月決算型)の数字は以下のとおりです。※数字は2012年11月末時点
・基準価額…6641円
・直接利回り…5.01%(年利)
上の数式に当てはめると 6641円×5.01%÷12=27.72円
1万口(6641円)あたり、27.72円の収入があることがわかります。
それに対して毎月の分配金は70円なので、27.72円-70円=▲42.27円
つまり、11月に支払った分配金のうち、半分も収入で賄えていないことになります。家計に例えると、手取りで27万円の家庭が70万円の出費をしているのと同じことです。大赤字ですね。
ただ、もしかしてこの月だけ、特別にファンドの収入が少なかったかもしれません。そこで、直近6カ月の収入と支出が出ている項目をチェックすれば、収入の凸凹がわかります。ここからはやや詳しい説明が必要となるので、本書(『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』)をご覧いただければと思います。本書に掲載している方法ではより精緻に診断することが可能です。
しかし、このカンタンな式だけでもファンドの良し悪しの一端がわかってしまいます。ぜひ、毎月分配型投信を保有中の方は計算してみてください。
本書では今回ご説明した「分配金健全性」に加えて「分配金余力」の2点で評価の高い8ファンドも掲載しています。そのうちのあるファンドは毎月40円の分配金に対して毎月の収入は42.54円という「黒字」の状態。
メディア等でよく見るファンドでは、なかなかこういった“黒字ファンド”にはありません。気になったら計算してみると、おもわぬ“お宝ファンド”を見つけられるかもしれませんね。
*本書で「分配金健全性」と「分配金余力」を評価しているのは純資産総額の上位80本(2012年11月時点)。上位21ファンドについては詳細な分析と評価を記載しています。
◎Profile
深野康彦(ふかのやすひこ)
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。クレジット会社を経て、1989年4月に独立系FP会社を経て独立。現在のファイナンシャルリサーチ(2006年設立)は2社目の起業。著者に『これから生きていくために必要なお金の話をしよう!』(ダイヤモンド社)など多数。
『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』
毎月分配型投信の良し悪しは「分配金健全性」と「分配金余力」の2つでわかる!シンプルな計算式と算出の仕方を本邦初公開します。また、人気上位20ファンドも詳細に分析。著者おススメの8ファンドも掲載しています。
第1章 あなたの持っている毎月分配型投資信託は安全か?
第2章 「こんな時はどうすればいい?」 7つのケーススタディ
第3章 投資家に人気の上位21ファンドを徹底分析&チェック!
第4章 毎月分配型投資信託の選び方・買い方の7カ条
第5章 知っておきたい毎月分配型投資信託のキホンの「き」
第6章 おススメできる健全な毎月分配型投資信託はこの8本!
巻末資料 純資産総額上位80ファンドの格付けを一挙公開
★Amazonでのお求めはコチラをクリック!(Amazonに再入荷しました!)
◆楽天ブックスでのお求めはコチラをクリック!(楽天に再入荷しました!)
※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2024年12月8日時点】 |
||||
順位 | 投資信託本数 ※1 | 最低積立金額 | ||
全体 | ノーロード (手数料無料) |
積立対応 | ||
1位 | ◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |||
2581本 | 2581本 | 2422本 | 100円 | |
【特徴・メリット】 投資信託の販売手数料はすべて無料! 投資信託の保有残高が一定の金額を超えるごとに「楽天ポイント」が貯まるサービスもお得。また「投信残高ポイントプログラム」の対象となる6ファンド(「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」など」)については、保有しているだけで一定のポイントが還元されるのでお得。さらに投信積立の際に楽天カードを使うと0.2〜1%分、楽天キャッシュを使うと0.5%分の楽天ポイントが付与される。ポイントは投資信託の買付や投信積立の代金にも利用できる。投資信託の最新事情がわかる「楽天証券レポート&コラム」や、最大5銘柄の基準価額の推移を比較できる「投信スーパーサーチ」など、投資信託選びのサポートもバッチリ。ロボ・アドバイザーが銘柄選択や売買タイミングまで判断してくれる「楽ラップ」や、スマホ専用のロボ・アドバイザー「ロボのぶくん」を利用可能。さらに、専用バランスファンドで手軽に積立投資ができるロボ・アドバイザー「らくらく投資」も登場。 |
||||
2位 | ◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |||
2547本 | 2547本 | 2362本 | 100円 | |
【特徴・メリット】 投資信託の販売手数料はすべて無料で、投資信託本数の取扱本数はネット証券でトップクラス! スマホアプリ「かんたん積立 アプリ」を利用すれば、投資信託をスマホで管理可能だ。また、投資信託の月間平均保有額に応じてVポイントやPontaポイント、dポイント、PayPayポイント、JALマイルなどが貯まる「投信マイレージサービス」もお得。保有額が1000万円以上なら獲得ポイントが2倍になる(通常銘柄の場合)ので、投資信託が本格的に資産形成を考えている人には、かなりお得だ。買付&積立が100円以上1円単位に引き下げられ、初心者でも気軽に始めやすくなった。投信の買付には、VポイントやPontaポイントが利用できる。投信積立は三井住友カードによるクレジットカード決済「クレカ積立」がお得で、最大で決済額の0.5%ものポイントが貯まる。最近では、低コストなiDeCo(個人型確定拠出年金)にも力を入れており、無条件で運営管理手数料を無料にしている。 |
||||
3位 | ◆松井証券 ⇒詳細情報ページへ | |||
1885本 | 1885本 | 1862本 | 100円 | |
【特徴・メリット】 投資信託の取り扱い本数を着実に増やしており、現在はランキング3位まで上昇。他社に先駆けて投資信託の販売手数料無料を打ち出したのも高評価だ。さらに投資信託の残高の最大1%分のポイントが貯まるサービスもお得。他社の類似サービスと比較しても、ポイント還元率は高水準に設定されている。投資信託ページは、人気の投信や好成績の投信がすぐにわかる各種ランキング装備、スマホでの見やすさ、直接発注など機能が充実。さらに、投資信託の組み合わせに頭を悩ませる人のために「投信工房」「投信提案ロボ」「投信見直しロボ」という3つの高機能ロボアドバイザーを用意。無料のロボアドバイザーとしては、どれも非常に高い機能を備えている。 |
||||
順位 | 投資信託本数 ※1 | 最低積立金額 | ||
全体 | ノーロード | 積立対応 | ||
4位 | ◆auカブコム証券(旧:カブドットコム証券) ⇒詳細情報ページへ | |||
1844本 | 1844本 | 1764本 | 100円 | |
【特徴・メリット】 投資信託の販売手数料はすべて無料! 信託報酬控除前のトータルリターンが見られるので、実態に合った取引コストや運用パフォーマンスがわかるのも魅力だ。また「プレミアム積立」は100円から可能。au PAYカード決済による積立なら1%ポイント還元、投資について気軽に話し合えるSNS「ファンドスクエア」も魅力。積立の銘柄選びに役立つ「セレクション」は、ジャンルごとの代表的な銘柄が複数紹介されている。ファンド探しはランキングやファンド検索から。投資信託の月間保有金額に応じて0.005〜最大0.24%分のPontaポイントがもらえる「資産形成プログラム」も上手に活用したい。 |
||||
【株アプリに慣れていない「株初心者」には特におすすめ!】 | ||||
5位 | ◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |||
1767本 | 1767本 | 1704本 | 100円 | |
【特徴・メリット】 投資信託の購入時手数料はすべて無料! もちろん、NISA口座での取引や「投信つみたて」による購入も手数料0円だ。クレカ積立のポイント還元率は業界トップクラスで、「dカード」や「マネックスカード」で投資信託を積立購入すると最大1.1%分のポイントがもらえる。さらに、投資信託の保有金額の最大0.26%分のポイントがもらえるのもお得。なお、貯まったポイントは投信信託の購入代金に利用できる。ファンド探しに迷ったら、自分のライフプランに合ったファンド選びを手助けする「投信ポートフォリオ診断」を参考にするといいだろう。ポートフォリオの分析やリターン予測、アドバイスなどの機能がある「MONEX VISION」も便利だ。ロボアドバイザーサービスは、1000円から始められる投資一任型の「ON COMPASS」と、最低投資金額が5万円で国内ETFで運用を行うアドバイス型の「Monex Advisor」が利用可能。 |
||||
※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。※1 投資信託本数は、各証券会社の投資信託サーチ機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合があります。 |