「勝者のゲーム」と資産運用入門

5月のFOMC直前、米国株のVIX指数が上昇中!「ボラティリティが小さく、価格変動が小さい」銘柄に投資しよう!太田忠の勝者のポートフォリオ 第30回

2022年5月4日公開(2022年5月4日更新)
太田 忠
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

米国株の4月のパフォーマンスはNYダウが-4.9%、ナスダックが-13.3%と低調

 413ドル安、499ドル高、981ドル安、809ドル安、614ドル高、939ドル安…。これらの数字は4月のNYダウの値動きの大きい日を日付順に並べたものだ。NYダウは連日大きなボラティリティが継続中であるが、ハイテク株比率の高いナスダック指数はもっと凄まじい状況となっている。結局、米国株の4月の月間パフォーマンスはNYダウが1701ドル安の-4.9%、ナスダックは1885ポイント安の-13.3%で着地。ナスダックの下落率は2008年10月に記録した-17.7%以来の大きさとなった。

 ちなみに「FANNG」と呼ばれるメタ・プラットフォームズ (旧フェイスブック)、アップル、アマゾン、 ネットフリックス 、グーグル親会社アルファベットの時価総額が合計で1兆ドル(約130兆円)以上減少し、これまでのナスダックの株価成長のイメージが完全に崩れた形となっている。

株式投資をする上で理解が欠かせない「ボラティリティ」

 さて、今年の相場の先行きを占う5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を直前に控え、今回は「FOMC直前、マーケットのボラティリティを読む」をテーマに話をしたい。読者の皆さんはボラティリティ(Volatility)についてどれだけご存知であろうか? 個人投資家として株式市場に参加する以上、常にボラティリティを意識し相場の状況をチェックしていく必要がある。

 ボラティリティとは一言で言うと「価格変動の度合い」、すなわち値動きのことである。ボラティリティとリスクの関係は次の通りだ。                                 
・ ボラティリティ大 ➡ 価格変動大=リスク大
・ ボラティリティ小 ➡ 価格変動小=リスク小

 ボラティリティが大きい場合、期待収益率と実際のリターンには大きな相違が生じることがある。例えば、期待収益率が年間+10%のリターンが期待できるマーケットにおいて、徐々に上昇する(ボラティリティ小、価格変動小)のであれば、ほぼ期待収益率通りのリターンを上げられる。一方、ボラティリティが大きく常にガタガタするマーケットになると+10%の獲得が困難になるのだ。

 個別銘柄についても同じことが言える。「今後2年間で2倍のリターンを目指したい」と思った場合に、出発点から着地点までの株価が2倍になったとしても、ボラティリティの大小で実際に2倍のリターンを得ることができるかどうかは別物である。

ボラティリティが大きい銘柄と小さい銘柄、どちらに投資すべき?

 例えば、私が5月2日に開催した『勝者のポートフォリオ』サービスの会員限定Webセミナーにおいて検証したケースを紹介すると、マザーズ銘柄のサンバイオ(4592)は2016年6月~2018年8月にかけて株価が2000円から4000円になったが、その過程で安値1000円や高値4500円を付けており非常にボラティリティが大きかった。恐怖心から途中で売却したり、あるいは高値掴みをして損を抱えたりする個人投資家が続出したと思われる。

サンバイオ(4592)の株価推移(セミナー資料抜粋)

   一方、日本で一番時価総額の大きいトヨタ自動車(7203)は2020年3月~2022年1月にかけて株価は1200円から2400円になったが、非常に綺麗な上昇トレンドを描いており「バイ・アンド・ホールド」で2倍のリターンを獲得した投資家が多かったと推測される。

トヨタ自動車(7203)の株価推移(セミナー資料抜粋)

 あなたはどちらのタイプの銘柄に投資したいだろうか?「ボラティリティが大きいと価格変動が大きいから、それだけドカンと儲かる」というマザーズのような新興銘柄好きの投資家の考えは実は間違いだ。目指すとすればはやり「ボラティリティが小さく、価格変動が小さい」銘柄だ。それと大事なことは、マーケット全体が大きく変動する局面よりも安定したマーケットの方がリターンを上げやすいことをわきまえておくことである。

ボラティリティの大きさを知るために活用すべき「VIX指数」

 そこで、マーケット全体のボラティリティの大きさを知るために活用したいのが「VIX指数(Volatility Index)」である。S&P500のオプション価格を元に計算されるが、将来の株式市場に対する投資家心理を反映する指数であり、別名「恐怖指数」とも呼ばれる。

 VIX指数の値は 0~100%の間を動き、今後値動きが激しいと予想されればVIX指数は上昇、今後値動きが安定的と予想されればVIX指数は低下する。例えばVIX指数が30%の場合「株価が今後1年間に約7割の確率で上下30%の範囲で変動する」という意味である。数値の目安としては10~20%なら市場は安定、20~25%はやや不安、25~30%は不安高まる、30%~は警戒感台頭、そして40%を超えるとパニック状態である。

 実際に過去を振り返ってみると、リーマンショックでは89.53%、コロナショックでは85.47%という瞬間最大風速が吹いた。「今後1年間での変動幅が80%を超える」ということは「株価が暴落する可能性がある」ことを意味しており、いかにパニック状態であったかがわかる。「今後1年間なんてそんな長い期間を予想しても意味がない、これから1ヶ月間の値動きが知りたいんだ!」という投資家は多いだろう。実はVIX指数は今後1ヶ月間の変動幅も示唆してくれる。20%だと±5.77%、30%だと±8.66%、40%だと±11.55%、…80%だと±23.09%という具合である。

VIX指数が高い時に安易なトレードは禁物

 ちなみに過去1年間を見ると、ウクライナ情勢で緊迫した3月7日の36.45%が最高値であり、その後落ち着きを取り戻して4月4日には18.57%まで低下した。しかしながら、冒頭述べたFOMCを前にしたガタガタ相場で4月29日には33.40%まで上昇している。いわゆる「警戒感台頭」の状態にある。こういう時に安易な気持ちでトレードすると「買うべきところで売ったり」「売るべきところで買ったり」というリターン獲得からは真逆の投資行動を取りやすい。

 米国のVIX指数と同じく日本においても日経平均VI指数(Volatility Index)があり、こちらは日経平均の将来的な変動を教えてくれる。数値の見方はVIX指数と同じである。VIX指数および日経平均VI指数ともにネットで簡単に検索して調べることができる。株式市場を考える上でボラティリティのチェックは常に欠かせない。皆さんもぜひボラティリティを知ることでマーケットの考察を深めて欲しい。今後、私のコラムでは度々この恐怖指数を話題として取り上げていく。

 さあ、いよいよFOMCが発表される。『勝者のポートフォリオ』ではすでにその内容に応じた対処について会員に情報を発信済みであるが、皆さんは準備できているだろうか?

●太田 忠

DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。プロが評価したトップオブトップのアナリスト&ファンドマネジャー。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

 この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


「勝者のゲーム」と資産運用入門 バックナンバー

»もっと見る

ダイヤモンド・ザイ 2024年12月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
イオンカードに新規入会5%OFF!詳しくはこちら! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
イオンカードに新規入会5%OFF!詳しくはこちら! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

お金が減らない高配当株
NISAお悩み相談室
株トレ

12月号10月21日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[お金が減らない高配当株78銘柄]
◎第1特集
死ぬまで使える資産がつくれる!
お金が減らない高配当株 厳選78

●武藤十夢と一緒にマスター!高配当株なら資産がつくれてお金が減らない!
●優良高配当株を持ちっぱなしで増やす

・勝ち組のワザ!
立川一さん
「増配傾向の株に投資」
なのなのさん「利回り4%以上に注目」
・10年以上増配が続く株
・配当がド安定の株
・増益基調の増配株

●割な安高配当株を売買しながら増やす
・勝ち組のワザ!
御発注さん
「高配当株の人気化を待つ」
配当鳥さん「高配当株を逆バリで買う」
・高利回りの景気敏感株
・成長期待の高ROE株
・キャッシュリッチな中小型株


◎第2特集
オルカン積立続行でOK?
持ち株をズバリ診断!
NISAのお悩み相談室

●NISA人気NO.1投信「オルカン」積立て続けても大丈夫?
●NISAの使い方&投信お悩み相談
●アナタの持ち株ズバリ診断!
●今さら聞けないNISAのギモン14にすべて答えます


◎第3特集
NISAで買えて長く持てる!
注目テーマの好成績投信27

●テーマを選ぶコツ&注意点
●テーマ別好成績投信
ハイテク全般/半導体/インフラ・製造業/エコ・ESG/AI(人工知能)/ロボット・クラウド

 

◎第4特集
円安も円高もビッグチャンスに!
今すぐ儲ける!FX入門

●マンガでFXの魅力を理解!
●儲かる仕組み:為替差益/レバレッジ
●儲けるコツ:チャート/政策・指標
●FX口座の選び方


【別冊付録】
累計15万部のベストセラー
一問一答の株ドリル!買っちゃダメな株がスグわかる!

株トレ出張版 ファンダメンタルズ編

 

◎連載も充実!

◆NEWS:東京メトロが10月23日に上場!これから買うならいつが正解?
◆連載3回目:ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「年金だけで老後暮らせる? 老後にもらえる年金額を知ろう!」
◆10倍株を探せ!IPO株研究所「上場日集中で買いが分散!銘柄により明暗!」
◆マンガ恋する株式相場「大谷翔平銘柄!株価もSHO-TIME!」
◆マンガ「収入減の心配は無用!男性こそ育休を取ろう」
◆人気毎月分配型投信100本の「分配金」速報データ!
「9月も低調が続き100本中4本の分配金がダウン!」

 

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報