不動産投資における不動産賃貸業にとって、空室とともにやっかいなのが「家賃滞納」です。
そのため、入居者と賃貸契約書を交わす際は、家賃を支払えなくなったときに代わりに支払い義務を負う「連帯保証人」を立ててもらいます。最近は、身内や親戚に連帯保証人を頼めないことが多く、管理会社が契約している「家賃保証会社」を利用するケースも増えていることも。入居者が家賃保証会社に保証料を支払うことで、連帯保証人代わりになってもらうのです。
今回は、不動産投資における、家賃保証会社・管理会社との付き合い方についてお話をしていきます。
激安高利回り"ボロ物件"投資のリストとは?
管理会社によっては、連帯保証人がいても、万が一のときに100%補償を得るために家賃保証会社と法人契約しているケースもあります。
私は「単身の男性会社員」を入居者として想定していますが、物件価格が破格の安さで家賃も極端に安いような古いアパートには手を出しません。そういう物件では何かとトラブルが多かったり、夜逃げするケースもあると聞くからです。
私が不動産投資をはじめたばかりの頃は、初期投資を低く抑えられる激安のワケあり“ボロ物件”への不動産投資が、ちょっとしたブームになっていました。物件価格がタダ同然から500万円程度で買えるような激安の1棟アパートだけに、利回りが20%以上も見込めるため、時間や労力をたっぷりかけられるなら高利回りを実現する選択肢としてもてはやされたのです。
ここにきてコロナ禍の影響もあって、初期投資の低い副業として“ボロ物件”が再び注目されました。そのため物件価格が高騰するという事態も起こったほどです。
私自身は、家賃滞納などのリスクが高いので、そうしたボロ物件には手を出しません。不動産投資は、目先の高利回りだけで判断すると落とし穴にハマることがあります。
実際、“ボロ物件”では、空室率の増加や家賃の下落でキャッシュフローがマイナスになる例が続出するようになりました。私は基本的に鉄筋コンクリート造か重量鉄骨造の物件で、単身の男性会社員を入居者として想定していますが、新しい入居者を審査するときも慎重に判断するようにしています。
これまで家賃滞納されたときもせいぜい1カ月で、退去をお願いしたり、内容証明付きの警告書を送ったりというほどの事態は経験したことがありません。
【ポイント:家賃保証会社を上手に利用する】
清掃はシルバー人材センターにお願いしよう!
大手の管理会社には、客付けは得意でも建物管理がいい加減というところもあります。管理会社をかえるべきか判断に迷うところですが、やはり客付けに強い会社は賃貸経営をするうえで大きな味方です。
地元の不動産会社に聞いても、「あそこを外すと空室が埋まらないよ」といわれることもよくあります。その場合、建物管理がいい加減でも契約は続けて、実作業をアウトソーシングする方向に発想を転換するのも一手です。
私は物件の清掃を、シルバー人材センターからの派遣さんによくお願いしています。お年寄りの方は仕事がとても丁寧なので、安心してお任せできるのです。
1棟の共有部分を2週に1回清掃していただいて、1カ月3000~5,000円と料金も抑えめ。高齢者の雇用を生むという意味でも、シルバー人材センターを活用するのはとてもいいことだと思っています。
管理会社に任せると、1カ月に1万円ほどかかる割には、清掃を適当に終わらせているケースも目立ちます。手抜きがあまりにもひどかったときには、現場の証拠写真を撮って、管理会社に改善を促したこともありました。
それくらい、「大家がちゃんとチェックしていますよ!」ということを伝えないと、ちゃんと管理してくれないケースも実際にあるのです。大手デベロッパー所有の高級マンションで、管理会社が契約している専門業者に高いお金を払って清掃してもらっているなら話は別です。
しかし、小規模の中古アパートでは、そういうわけにはいきません。大家が自分から行動しなければ、管理会社が優先的に扱ってくれることなど、まずないと思ったほうがいいでしょう。
私は物件管理を管理会社に委託していますが、所有している7棟の物件は定期的に見て回るようにしています。最初の物件の経験もいかして、特に購入後の半年間、現地調査は月1回のペースです。
場所が離れていてすぐに行けない物件も、大雨や台風の被害が心配なときは、必ず見に行くようにしています。空室もなく入居者からのクレームもない物件であれば、しばらく足が遠ざかることもありますが、近くに行く用事があれば必ず立ち寄っています。
このように、自分が所有している物件は気にかけて、何かあればすぐ駆けつける。そして、フットワークを軽くして行動することが、不動産賃貸業の成功には欠かせません。
火災保険や地震保険には満額で入って、最大限のリスクヘッジを
保有している不動産は、1棟ごとに必ず火災保険に入ります。
そのための保険代理店選びはとても重要で、どこを選ぶかで保険内容がけっこう変わるのです。たとえば、近年増えている台風や水害で建物が損害を受けた場合、保険料が出るかどうかも保険商品によって差があります。保険を申請するのはオーナーですから、損害の補償を認めてもらうための書類を用意しなければいけません。
金融機関に提出する書類と同じ要領で、ある程度の作文スキルが求められます。その申請作業の仲介会社もありますが、手数料が高額だったりしますから、私は基本的に自分自身で作成していますね。
私は「日本で一番、火災保険を下ろしてくれる」と定評がある保険代理店と契約しています。物件を買うたびに、その保険代理店と契約しているのですが、契約する際は必ずフルオプションの満額プランに加入します。なにか不測の事態が起きたときに保険料で対処できますし、保険料は不動産収入の必要経費として計上が可能です。
火災保険は特約も大事で、なかでも「電気的・機械的事故の特約」は必ずつけています。この特約があると、エアコンが壊れたり給湯設備が壊れたりしたときに保険でまかなえることがあるからです。
私が買ったテナント付きの物件も、給水ポンプが壊れてしまって、先に自分で支払った修理代をあとで補填してもらって助かりました。
保険でまかなえるといっても、エアコンが壊れたときなどは、ネット通販で取り替え用の製品を自分で検索してコストパフォーマンス(コスパ)のよいものを買うようにしています。管理会社が買い換える製品は、だいたいコスパが悪いので、面倒でも自分で探して「これに付け替えてください」と管理会社にお願いするのです。
保険代理店にしろ、管理会社にしろ、そうした細かいことをこまめに交渉する習慣が大事。「このオーナーはお金に細かいぞ」と思ってもらったほうが、相手も気を抜けなくなります。一方、地震による損害や倒壊は、満額プランに入っていても火災保険の金額の半額が補償の上限です。
地震は、どこに住んでいても被害に遭う可能性があります。だからといって、「不確定なリスクを怖れて、不動産投資をあきらめるなんてもったいない」というのが私の考え。
地震対策として投資家ができることは、購入する物件のエリアを、東京・千葉・愛知というように分けること。そして、どこかの物件が被害に遭っても、他の物件は問題なく維持できるようにリスク分散しておくことです。また、水害対策としては海沿いや河川の近くにある物件や、海抜が低いエリアにある物件は買いません。
災害リスクが高い場所を示す「ハザードマップ」も必ず調べて、災害危険度が高いエリアは避けます。
危険度が少しでもあるエリアの物件は、そのリスクを考慮して、買うかどうかを判断するのです。国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)がネットで公開されており、地名を入力すれば、そのエリアの「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」「道路防災情報」などを簡単に検索可能です。
自然災害は、いつ起こるかわかりません。火災や地震保険には満額で入って、最大限のリスクヘッジをする。このバランスが大事だと思っています。
今回は、不動産投資における、家賃保証会社・管理会社との付き合い方についてお話をしました。これから不動産投資を始めたい人は、「高利回りの“ボロ物件”には手を出さない」「物件の清掃はシルバー人材センターを活用」「いざというとき損しないための保険の条件」これらを、ぜひ頭に入れておいてくださいね!
●八木エミリー 投資家&事業家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。経済的自立を目指すお金ビギナーを救う活動を「マネ活」としてメルマガ配信などを行なっている。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。最新刊は、『放置しておくだけでふつうにお金が増える投資術』(ビジネス社)
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