成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

FIREへ到達するための3つのエンジンとは?元手は50歳時点で3000万円。果たしてFIREは可能か?

2022年8月18日公開(2022年8月22日更新)
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

FIREという目標へ到達するための3つのエンジンとは?

 前回は、普通の日本人がFIREして経済的自由を得ることは可能なのか、大学を卒業したばかりの22歳という具体的な人物を設定し、考えてみました。

 その内容を3つにまとめれば、以下のようになります。

 (1)所得を増やす
 (2)生活費(主に住宅費)の削減
 (3)貯蓄を投資に回し、不労所得を得る

 FIREという目標は遠いと思えるかもしれません。しかし、上の3つのエンジンをうまくまわしていけば、資産増加の道を少しずつ上がっていき、ついにはFIREという目標へ到達することができるのです。

 (1)の所得を増やすことはできれば実現したいことです。ただし、デフレもしくは低インフレ的な環境下にある日本人にとって、所得を増やすことは共働きでもしない限り結構難しいことだと思います。

 けれど、(2)や(3)について、日本人は「いいとこ取り」ができるでしょう。

生活費削減というエンジンはFIREの土台になる

 特に(2)の生活費削減はFIRE達成に重要です。

 なぜかというと、生活費削減はFIRE時に必要なお金を減らすだけでなく、貯蓄も増やすことを可能にするからです。その貯蓄を投資しますので、生活費削減というエンジンはFIREの土台とも言えます。

 生活費削減に関する情報はたくさんあり、日本のメディアはこのことに関する情報をよくカバーしていますが、その次の(3)「貯蓄を投資に回し、不労所得を得る」については、あまりカバーできていないように思えます。

 前回は20代からがんばれば、40代でFIREできる話を紹介しました。FIREのことだけを考えれば、生活費の削減を始めるのは若ければ若いに越したことはないでしょう。ただ、人によってはそれがなかなか難しいということもあるかもしれません。

より地味で安い郊外に住み替えて投資の元手を捻出

 けれど、FIREは若い時の話だけでなく、40~50代からでも考えられるのです。その場合、年金がもらえるまでのつなぎ資金があればFIREを視野に入れられます。

 たとえば、より地味で安い郊外に住み替えて投資の元手を捻出することが考えられます。これは不動産価格が高い場所に住んでいるケースで考えられる策になります。都心、もしくはそこそこ人気のある郊外にあるマイホームを売って、より地味な郊外に住み替えるのです。

 ここで前々回に登場してもらったサラリーマン、Aさんに再び登場してもらいましょう。前々回は40代後半という設定でしたが、今回は少しだけ年上の50歳という設定にしたいと思います。

●Aさんの金融資産(不動産を除く)は1000万円。不動産も含めると2500万円。

・うち500万円は現預金、300万円が保険、200万円が株(日本株)。
・マイホームは3500万円で購入し、ローン残債を2000万円とすると、純資産ベースでは1500万円。
・資産の60%が不動産、20%が現金、12%が保険、8%が株。

 このAさんがたとえば、3500万円でマイホームを売り、住宅ローンは維持しつつ、より地味な2000万円の中古住宅に住み替えたとします。すると、1500万円の現金を捻出できます。

 この1500万円と現預金500万円、そして200万円分の株式を合わせると、手元の資産は合計2200万円になります。

保険の解約や地方移住支援制度の利用もあり

 会社を早期退職して、たとえば800万円の退職金がもらえれば合計3000万円の投資資金ができます。

 さらには思い切って300万円の保険の解約も検討してみましょう(住宅ローンで団体信用生命保険(団信)に入っていれば、それが保険代わりになります)。

 あるいは、日本なら地方への移住支援制度を利用することも考えられます。これは海外には見られないものです。利用するには各地方自治体が提示する条件を満たす必要がありますが、日本人ならこの地方移住支援制度を利用して、借り入れ金をゼロにしたうえで、1500万円の現金を得ることもおそらく可能でしょう。

イラスト :阿部モノ / PIXTA(ピクスタ)

元手は50歳時点で3000万円。FIREは可能か、シミュレーション

 このように今のやり方の延長線上だけで考えるのではなく、資産構成を大胆に変化させることで、FIREという目標を思ったよりも近づけることができたり、FIREなど考えてもいなかった人でも、その可能性に気づくことができます。

 日本人は国内の人口減を背景に住宅費を削減できる一方、海外投資で海外の経済成長の恩恵を受けることで、いいとこどりができるのです! 日本人はアーリーリタイヤ、セミリタイヤする環境に恵まれています。

 先ほど書いたとおり、保険の解約や移住支援制度の利用など、さらなるオプションもあり得るのですが、ここでは控えめに、その手前のシミュレーションで出てきた3000万円という数字を使って考えてみたいと思います。

 3000万円の元手をネット証券を通じて、長期成長が続く米国株に投資してみましょう。

 それによって、Aさんは50歳から、60歳の年金支給開始までの10年間をうまくつないでいくことができるでしょうか(※)。

(編集部注:現在の日本の公的年金は原則65歳から支給が開始されるが、繰上げ請求を行えば、60歳から支給を受けることも可能)

 元手は50歳時点で3000万円です。投資収益を年5~6%、年間250万円から300万円取り崩すと考えると、おおよそ1500万円~2000万円を手元に残しながら、年金をもらえる年を迎えられる計算になります。

年5~6%の投資収益を得るのに必要なのは米国株への投資

 日本の年金は比較的充実しています。おそらく、あと10~20年ぐらい、年金システムは健在でしょう。

 今後も年金システムが健在であれば、あと10~20年ぐらいで年金がもらえる人のFIREの目標は、ただ年金をもらうまでのつなぎだけで済むかもしれません。このケースでは10年間のつなぎ資金、たとえば3000万円を貯めるだけで、やや余裕を残し、アーリーリタイヤできるのです。

 ただ、先ほどのシミュレーションでは「投資収益を年5~6%」という数字をさらりと書きましたが、6%程度の年率平均リターンを得るには不可欠なことがあります。それは国際分散投資、とりわけ米国株を中心とした海外株への投資です。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイ 2025年11月号好評発売中!
ダイヤモンド・ザイのウェブ会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

株主優待
人気株500激辛診断
最新理論株価

11月号9月20日発売
定価990円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[株主優待/人気株500激辛診断]
◎巻頭特集
優待の達人へのアンケートでランキング!
目的別株主優待カタログ88
●桐谷さんは優待新設ラッシュをどうみる?&
実際に買った優待新設株35銘柄

●2大優待賢人ようこりん&桐谷さんが語る
暮らしも投資もトクする株主優待の魅力」
●ようこりんが大盤振る舞い!
株主優待BIGプレゼント
<家計応援優待>食品/日用品/買い物
●<プチ贅沢優待>グルメ/レジャー・エンタメ/リッチ雑貨

◎第1特集
買っていい高配当株は98銘柄!
<2025年秋>
人気の株500+Jリート14激辛診断
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
業績の初速好調で上ブレ期待/株価出遅れで上昇余地大/値上げが順調などインフレに強い
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
第1四半期の進捗率が高い/アナリストが強気/配当利回りが高い/初心者必見の少額で買える/理論株価より割安
●2025年秋のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株393/新興株86/Jリート10

◎第2特集
関税の影響は?AIってどこまで浸透?
人気の米国株150激辛診断[2025年10-12月]

●米国在住プロのリアルレポート
●GAFAM+αの8銘柄を定点観測

●買いの注目優良株&高配当株
●人気の124銘柄の買い売り診断
ナスダック49/ニューヨーク証券取引所
●株価10倍を狙う!米国IPO株

◎第3特集
大幅上昇を狙う!
未来を変える革新的な企業を買う投資信託

●テーマ型投信に投資するメリットと注意点
●最新テクノロジーはすべての土台!半導体/AI

●次世代を担う最有力テーマ!宇宙/ロボット
●いま勢いのあるテーマに乗る!暗号資産/エンタメ/サイバーセキュリティ

【別冊付録】
増益予想で割安な株は1501銘柄
上場全3889社の最新理論株価

◎連載も充実
​●読者参加型企画・1カ月で上がる株を当てろ!
「エア・ウォーターが1番!任天堂は利益確定売りで失速」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.14
「後払い決済のトラブルに注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.09
「大相場を生む『要人発言』」
●おカネの本音!VOL.39 小川コータさん
「マイクロソフトにフリック入力を売却した発明家の稼ぐ思考法」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.107
「添い遂げる!? 生成AIと米国企業」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「大幅値上げは不可避!日本の水インフラは深刻な危機」
●人気毎月分配型100本の「分配金」データ!
「株価上昇や円安で利回り10%超が16本と急増!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報