パウエルショック!? ジャクソンホールでのパウエル議長講演後、米国株は大幅下落したが…
乱高下する株式市場は、いい会社の株を安く買う機会を提供してくれます。
8月26日(金)、米ジャクソンホール会議でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演があり、市場の注目を集めました。
パウエル議長の講演内容を聞くと、FRBの利上げは市場が想定していたよりも長く続きそうでした。米国株は大きく下落し、各種の市況解説記事では“パウエルショック”といった言葉が飛び交っています。
これから乱高下する相場が続くでしょう。しかし、トレンドは回復方向のままだと私は思っています。
直近のデータはインフレがやわらぎ始めたことを示唆。これが大事なポイント
その理由/考え方は以下のとおりです。
(1)今回特別なのは、供給が足りていないことです。したがって、世界的にインフレになっています。
(2)需要を減らして、供給とマッチングさせ、インフレをコントロールしようとしています。
(3)利上げは効き始めました。直近のデータはインフレがやわらぎ始めたことを示しており、これは大事なポイントとして押さえておきたい点です。
(4)ただ、インフレ率は一直線に低下するものではないと思います。けれど、インフレ加速のトレンドが変化し、インフレが減速し始めた可能性は大きくなったと思います。
インフレの元は新型コロナにあったが、時代はもうポストコロナ。リーマンショックや1970年代のハイパーインフレのようにはならない
(5)今回のインフレは元をたどれば、新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)によって引き起こされたことです。世界はすでにポストコロナの時代に入っています。需要は抑えられながら、供給が正常化し始めています。新型コロナは池に落ちてきた石であり、その石が作った波は供給の障害、需要の乱高下、景気刺激策、インフレ、金利上昇、株式市場乱高下などです。時間が経てば、波はおさまっていき、正常に戻ります。
(6)今回はリーマンショックのようにバブルがはじけるわけではないでしょう。金利が上昇しても、最悪でも緩やかな景気減速まででしょう。
(7)データを見ると、今回は1970年代のハイパーインフレのようなことにはならないと思えます。ハイパーインフレになると、長い間、株式市場は冴えない展開になりますが、今回はそうではないでしょう。
今は株を売る時期ではない! 有望な企業の株を安く買えるチャンスが来ている!
(8)利上げが終わったら、中期的にみて、来年は過去の上昇トレンドに戻るでしょう。
今は株を売る時期ではありません。成長への滑走を行っている企業の株が安くなったところをピックアップするチャンスが来ています。
株、為替の分散によってリスクを抑えながら海外へ投資して、FIREする資産を作っていきましょう。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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