銀行株は追いかけない方がいい。その理由とは?
化学セクターを担当したあとは、銀行株と証券株を担当しました。
日本の銀行はいろいろなビジネスをやっているので複雑です。しかし、銀行株は簡略化して見ることができます。2つの要素さえ見れば、大まかな方向性がわかるのです。
その1つは利鞘と金利の水準です。これらが低ければ、銀行は儲けることができないのです。最近、銀行株が上昇しているのは、金利の上昇を見込んでいるからです。
銀行株で重要なもう1つの要素は与信コストです。企業の倒産が増えると、与信コストが高くなります。
この与信コストが銀行株の足元のリスクになります。金利の上昇は見えていますが、不確定要素として与信コストがどこまで上がるのかという問題があります。
私が今、予想しているのは、金利が思ったほど上昇しない一方、与信コストが上がるという展開です。なので、銀行株はここから追いかけない方がいいと思います。
銀行株も海運株もシクリカル銘柄なので、ずっと持つことはできないです。
あとは、今が利益サイクルのどこにあるかを把握することがとても重要です。PERなどのバリュエーションを見るよりも、利益の方向性の方が重要です。
日本の銀行株の株価はすでにここ10年の高値水準に来ていますので、ここがピークの可能性が高いです。
こういう株の特性は世界共通です。なので、情報の質が同じであれば、日本株、中国株、米国株とどの国の銘柄でも同じフレームワークを分析に利用することができます。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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