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私の歩んできた道(3)アメリカの名門投信会社フィデリティで経験したシクリカル銘柄の見極め方。銀行株はもう追いかけない方がいい。その理由とは?

2023年1月19日公開(2023年1月31日更新)
ポール・サイ
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米名門投信運用会社、フィデリティ投信の東京オフィスで、日本株、アジア株の株式調査部長、ファンドマネジャーとして活躍した後、40代でFIRE(早期リタイア)したポール・サイ氏。現在は、DFR(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ)アナリストとして、FIREするためのポートフォリオ作りや銘柄分析、推奨銘柄、投信の見極め方などを有料メルマガなどを通じて発信している。

 前々回の連載から、投資にまつわることを中心として、私が幼い頃よりたどってきた道をご紹介しています。前回はMBAを経て、戦略コンサルティング・ファームで働き、その後、フィデリティに入社したところまでを書きました。今回はフィデリティで経験したこと、シクリカル銘柄(循環株)の分析方法、銀行株の今後について書いてみたいと思います。

[参考記事]
●私の歩んできた道(1)ネットバブルに乗り、バブル崩壊前に株を売り切った! バブルを若いうちに実感できた方がいい理由とは?

●私の歩んできた道(2)9・11同時多発テロで株の暴落を経験し、株の絶好の買い時を学んだ。フィデリティ投信の入社試験でドン・キホーテを分析して合格!

中国スーパーサイクルに乗った海運株。需給バランスを見て、本当のピークを見抜いた!

 フィデリティは投資家を育てる会社と言えます。

 フィデリティのアナリストは数年で担当セクターをローテーションします。さまざまなセクターを経験することで、投資家としての目が磨かれていくのです。

 最初、私は運輸セクターを担当していました。運輸セクターには陸運、海運、空運会社が含まれていました。

 今振り返れば、当時、海運業界は中国スーパーサイクルの真っ只中にありました。私が海運業界を担当するようになった時点で、株価はすでにある程度上昇していました。ですが、PER(株価収益率)は1ケタ台と低いものでした。

 これが海運株のような循環株に対する市場の見方の定番です。循環株は景気循環株、景気敏感株と呼ばれたり、シクリカル銘柄と呼ばれたりします。

 循環株はかなりの好業績となっても、市場はこんなに高い利益水準が続くわけがないとみなし、株価は上昇するものの業績の伸びほどには上昇しないのです。その結果、循環株は利益サイクルのピークでPERが低くなるものなのです。

 しかし、私が海運株を担当していた頃、市場が思った利益のピークは本当のピークではありませんでした。本当のピークはまだ先でした。この時の利益サイクルは普通のサイクルではなく、中国の成長に牽引されたスーパーサイクルだったのです。このことに市場は気づいていませんでした。

 これに気がつくためには、船の需給バランス、鉄鉱石・商品の需給バランスなどを把握する必要がありました。

 スーパーサイクルに乗って海運株は大きく上昇したのですが、その後、需給バランスをよく見ていると、今度は利益が本当のピークにきたことに気がつきました。そこで株を売らなければいけないとわかったのです。

 それから、海運株はほぼ10年お休み状態でした。下落か、横ばいのトレンドが続きました。

 そして、10年以上経った2020~2022年にも同じことが起こりました。今回は海運株が上昇している最中、なんとPERは1倍台という異様な低水準にまでなりました。

日本郵船(9101)チャート/月足・20年日本郵船(9101)チャート/月足・20年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 この経験からの教訓は2つあります。

(1)シクリカル銘柄(循環株)の業績と株価は長いサイクルで動いています。まさに「歴史は繰り返す」ということが起こるのです。なので、過去のサイクルを理解することはとても重要です。

(2)株価が上がったから、これからはもう上がらないとは限らないです。シクリカル銘柄は特にそうです。

(3)シクリカル銘柄は上昇サイクルにあれば保有していていいですが、長期保有してはいけません。いつかは必ず売却しないといけないのです。

 以上のような教訓は、このあと、私が担当した化学セクター、銀行セクターでもうまく使えました。

 

ライバル企業、信越化学工業とSUMCOの株価チャートに表れている特徴とは?

 運輸セクターの次は化学セクターを担当しました。

 日本の化学業界には多様な会社があり、シクリカルなコモディティ・ケミカル(付加価値のそれほど高くない化学品)の会社もある一方、テクノロジーに牽引された成長性の高い会社もあります。

 コモディティ・ケミカルの会社は長期保有に向いていないですが、テクノロジーを持っている会社、強みを持っている会社はある程度のシクリカル性はあっても、長期保有に向いています。

 テクノロジーを持っている有力化学企業はたとえば、信越化学工業(4063)が挙げられます。同社のチャートを見てみると、ある程度のサイクルを描きながらも、強い上昇トレンドが2010年頃からずっと続いているのがわかります。

信越化学工業(4063)チャート/月足・10年信越化学工業(4063)チャート/月足・10年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 信越化学工業の競合、SUMCO(3436)もシリコンウエハーを作っていて、強みは持っていますが、SUMCOにはウエハービジネスしかないので、チャートを見ると、大きな上昇トレンドよりも、サイクルの強さが目立っています。そのため、SUMCOの場合はサイクルを見極めることが重要になってきます。

SUMCO(3436)チャートSUMCO(3436)チャート/月足・10年(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

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