「勝者のゲーム」と資産運用入門

2月FOMCでFRB議長がディスインフレを10回連呼。利上げ停止の楽観論と悲観論が交錯する市場心理。セミナーや講義動画で学び、投資観を確立しよう!太田忠の勝者のポートフォリオ 第70回

2023年2月8日公開(2023年2月8日更新)
太田 忠
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2月FOMCで利上げ幅を0.25%に縮小。利上げ停止を模索する局面に突入

 2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、ナスダック市場はお祭り騒ぎ ―。

 歴史的なインフレ退治の対抗策であった米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げが、いよいよ停止時期を探る局面に入ってきた。1月31日と2月1日に開催されたFOMCでは、予想通り利上げ幅を前回の0.5%から0.25%に縮小した。この結果、政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利はリーマン・ショック前の2007年10月以来の高水準となる4.50~4.75%となった。昨年3月にゼロ金利を解除してから8会合連続での利上げである。昨年12月のFOMCで2023年末の政策金利の中央値は4.6%から5.1%へと引き上げられたが、この5.1%を前提に考えると、次の3月に0.25%、さらにその次の5月に0.25%引き上げれば5.00%~5.25%となり、5月のFOMCをもって目標を達成する見込みだ。

 2月のFOMC終了後のマーケットも忙しい展開だった。発表された声明文で「継続的な利上げが適切」との前回表現が維持されたことが判明すると、NYダウは急速に下げて一時500ドル超の下落。次回3月のFOMCで利上げ打ち止めとの楽観的な観測を牽制したと受け止められたからだ。だが、パウエル議長の会見が始まると急速に下げ渋った。「金融引き締め効果で米経済の伸びは大幅に鈍化」「インフレ沈静化のプロセスが始まった」と述べたことで、ハト派的な発言と受け取られたからだ。

FRB議長の「ディスインフレ(インフレ沈静化)」連呼に、市場は安堵感

 FRBは物価目標として消費者物価指数(CPI)よりも個人消費支出物価指数(PCE)を重視しているのはご存知だと思う。直近のデータである2022年12月は前年同月比5.0%上昇となり、3カ月連続で鈍化した。これが「インフレ沈静化のプロセスが始まった」とパウエル議長が述べた最大の根拠であり、「ディスインフレ(インフレ沈静化)」という言葉を記者会見の席で10回も連呼したものだからマーケットに安堵感が広がった。「いよいよ利上げ停止時期を探る局面だ」、と。

 私がDFR(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ)で投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」では今回のFOMCの直前に次のコメントを会員向けに出していた。『ポイントはやはり「今後の利上げ停止時期」および「年内の利下げの可能性(パウエル議長はこれまで「その可能性はない」と否定)」がどの程度議論されるかという点である。記者会見の席でこの重要ポイントについて述べるか、述べないかによって相場展開が大きく変わってくる』

 結局、この点についてはほとんど言及されなかったが、ナスダック市場はお祭り騒ぎとなった。なぜならパウエル議長が「インフレ沈静化のプロセスが始まった」と述べたことを好感した形になって長期金利が3.3%台まで急低下したからだ。グロース株にとっての一番の大敵は高金利。それが是正されるのだから、グロース株特有の割高感が薄れる形になって買いが入った。一方、日本のグロース株の感応度はやや小さいという印象を受ける。

長期金利低下を受けて、ダメダメ決算のGAFAMの株価も巻き返し中

 ナスダック市場の代表格と言えばやはりGAFAM。お祭り騒ぎだから業績が良くなっているのか、といえば全くの逆でどれもダメダメ決算である。2022年10~12月期の純利益を見ると、グーグル(アルファベット)が前年同期比34%減、アップルが同13%減、フェイスブック(メタ)が同55%減、アマゾンが同98%減、マイクロソフトが同12%減となっており、利益だけでなく需要後退&競争激化でトップラインの売上高も大きく鈍化する傾向が出ている。通常、このような決算が出ると株価が暴落するのは1年前に見た景色だが、今やナスダックは単に長期金利との逆相関関係の市場となっているため、年初からのGAFAMの株価パフォーマンスはかなりの勢いで巻き返している。金融相場特有の動きが、今の逆金融相場&逆業績相場で発生していると言える。

 ところで先週金曜日の2月3日に1月の雇用統計が発表された。事前予想の+18.7万人を大きく上回る+51.7万人となり、失業率は3.4%と53年ぶりの低水準となった。労働需給のひっ迫から金融引き締め継続との見方でナスダック市場は下落して揺り戻される展開だ。

楽観と悲観が交錯する市場心理。Webセミナーに参加し投資戦略を学ぶ

 このところの株式市場は月替わり、週替わりでマーケット参加者の心理が揺れ動いている。すなわち、楽観論に傾いた時は「金利引き上げペースの鈍化→金融相場の先取りだ!」「景気や企業業績悪化→金融緩和でプラスだ!」「長期金利の低下→株式市場に追い風だ!」という理屈で上昇するが、悲観論に傾いた時は「金利はまだ上昇、当面利下げなし→金融相場は来ない!」「景気や企業業績が悪化→株は売られる!」「長期金利の低下→景気悪化で株式市場に逆風だ!」という真逆の解釈になる。楽観論と悲観論が目まぐるしく交互に入れ替わっている様相だ。まだしばらくは「楽観論」と「悲観論」が交錯するはざ間で「一体君は何を思う…?」「どう行動する?」が問われるのではないだろうか。

 さて、「勝者のポートフォリオ」では2月1日に恒例のWebセミナーを20時より開催した。テーマは「逆イールドを読む&現状の投資戦略」。平日の夜にもかかわらず241名の方々の参加があり、Q&Aが盛り上がり予定終了時刻21:30を1時間超過して22:30に終了した。次回は3月8日の開催予定であり、多くの皆さまのご参加をお待ちしている。

スペシャル講義動画を提供開始。あなたの資産運用力アップをサポート!

 また「勝者のポートフォリオ」ではWebセミナーの開催に加えて、スペシャル講義動画のコンテンツ提供をスタートした。第1弾として4本の動画を公開(1.「勝者のポートフォリオ」ご利用ガイド、2. 大半の個人投資家が犯す間違いとは?~ビギナーからベテランまでが陥るワナ~、3. 株式投資で成功するために大切なこと~ 積立型投資 vs 単発型投資 ~、4. マーケットサイクルを理解する)。1つ目のご利用ガイドは、会員以外の皆さんにもいつでも見ていただけるよう準備している。

 今後もスペシャル講義は、資産運用力アップのための『ポートフォリオ理論』や『ポートフォリオ運用の実践』といったコンテンツを中心に追加していく予定だ。さらに重要な『リスク管理』についても多角的な戦略を講義していく予定である。ご期待いただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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