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スターバックス株が株主資本がマイナスでも買われる理由とは?米国株と日本株はどこが違う?

2023年4月27日公開
ポール・サイ
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 今回は米国株と日本株を分析する際に、注目ポイントが違う点などについて、いくつかのことをご紹介したいと思います。

米国株の情報開示はなぜ、日本株よりも大幅に進んでいるのか?

 米国は日本よりも、ビジネスのバリエーションが豊富で、さまざまな企業が幅広く上場しています。

 また、米国株の情報開示は日本株よりも大幅に進んでいます。

 なぜ、そうなっているのでしょうか?

 それは米国の株式市場の方がよく機能していて、会社にとって株価がより一層、重要だからです。株式市場が資金調達の重要な場であるという意味合いは日本よりも米国の方が強いです。株価が低ければ買収され、経営陣が交代させられることが十分あり得ます。

 米国株の情報開示のやり方は日本株と異なります。

 米国株は会社訪問しなくても、大きな情報格差が出てきません。日本株の場合、会社訪問しないと、結構な情報格差が出てきます。なので、英語がわかれば、海外からでも米国株に投資することは難しくないのです。

 米国株の情報開示はとてもいいです。決算説明会の動画、議事録などはインターネットで簡単に無料でアクセスできます。

日本株はなぜ会社訪問の重要度が高いのか?

 私はフィデリティ投信在籍時代に本部のボストンに出張すると、企業のIRミーティング、社長ミーティングに参加していました。そのようなミーティングで出てくるのは、業績の細かいことを積み上げていくような話より、会社の戦略・長期ビションなどがメインでした。新しい、開示されていない情報を得るよりも、会社の戦略のカラーを知り、開示情報をより良く理解するためのミーティングでした。

 米国はインサイダー情報などの規制が厳しいので、会社側も機関投資家側もインサイダー情報に触れないよう、かなり気をつけます。なので、米国株に投資するとき、会社訪問、会社との対話は役に立ちますが、必須でもないと思います。

 日本株の場合、会社訪問の重要度は高いです。まず、議事録はすべての会社が出しているわけではなく、決算説明会に参加していないと、情報格差が出てきます。特にQ&Aのところで情報格差が出ます。Q&Aでその会社を分析するための重要な話が出てくるからです。

日本のIRミーティング、その2つの種類とは?

 日本のIRミーティングには2つの種類があります。

 1つは米国と同じように、その会社の戦略など長期的なビションの話です。このようなIRミーティングは社長との間で行われることが多いです。

 もう1つのタイプは会社の業績の細かいことを積み上げていくようなIRミーティングです。そのような場では、IR担当者は会社のビジネスモデルも細かく説明してくれます。日本のIR担当者はかなり優秀で、ていねいに、細かく、なんでも教えてくれる場合が多いです。

 しかし、そういう細かい企業の情報を外部に広くは開示したくないようなので、会社訪問しない限り、手に入らない資料・情報が多いのです。個人投資家もIRに電話して、教えてもらうことはできますが、そのような時間がない人も多いだろうと思います。

 その点、米国株は会社の公式サイトや、議事録を集めて公開しているサイトだけで大半の情報が手に入ります。

株主資本がマイナス! それでもスターバックス株が買われる理由とは?

 企業分析をする上で、注目されるポイントにも違いがある程度あります。ここで1つの例を紹介したいと思います。

 日本株は株主資本と株主資本関連の指標、たとえばROEをよく使います。

 米国株は利益とキャシュフローをもっと重視します。米国では、PBR(株価純資産倍率)よりも、PER(株価収益率)、PCFR(株価キャッシュフロー倍率)、PSR(株価売上高倍率)、EV/EBITDA倍率をもっと見ます。

 米国株では資本と関連している指標を見るときに、株主資本より、時価総額の方が注目されます。

 たとえば、スターバックス(ティッカー:SBUX)とオラクル(ティッカー:ORCL)の株主資本はマイナスです。これではROEが一時的に計算できない状態です。しかし、それでも株価は上昇したりします。スターバックスは年初来10.7%上昇し、オラクルは17%以上、上昇しているのです。

スターバックス 日足スターバックス(SBUX)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
オラクル 日足オラクル(ORCL)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます

 日本株ではこういうことはなかなかありません。米国株式市場は成長市場なので、ストックよりフローを重視するのは合理的だと思います。

 結論を言うと、米国株は調べられないからといって、ハードルが高いと思われがちですが、実は情報開示がとてもいいので、英語を読むことがある程度できれば、海外からでも情報格差なく投資できます。

 それと、場合によって、米国株は企業分析で注目されるポイントが日本株とは少し異なるということに気をつけておけばいいでしょう。米国株は、個人投資家がプロの投資家と同じ土俵の上で投資できる市場だと思います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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