「勝者のゲーム」と資産運用入門

海外投資家が空前の買い越しで日本株上昇を牽引中。利益確定売りを急いだ日本の個人投資家も後悔。金融相場到来なら日経平均はバブル最高値更新も!太田忠の勝者のポートフォリオ 第86回

2023年5月31日公開(2026年3月18日更新)
太田 忠
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海外投資家は8週間連続で日本株を買い越し。その総額は3.63兆円

 海外投資家は8週連続で日本株を買い越しへ―。

 先週木曜日に東京証券取引所が発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は5月第3週に日本株を7476億円買い越した。海外投資家は3月31日の週から買い越しとなっており、日経平均株価が33年ぶりの高値更新となった5月19日(3万808円)まで8週連続の買い越しとの結果となった。買い越し総額は3.63兆円。買い越しが始まる前の3月24日の日経平均は2万7385円だったため、3400円の上昇を演出した主役である。8週連続の買い越しは2017年6月以来約6年ぶり、8週間の買い越し総額の規模は2013年12月以来の大きさだ。

高値に懐疑的な日本の個人投資家は売り優勢。インバース型ETFが人気

 一方、売り手は日本の個人投資家だ。日経平均が2万8000円を超え始めた4月14日の週から6週連続で売り越しとなっており、その金額は2.29兆円にも上っている。しかも5月第3週の売り越し額が9273億円と飛び抜けて多くなっており、3万円超え局面での売りのメインプレーヤーである。

 個人投資家はこれまで何度も上値を抑えられてきたマーケットに慣れっこになっており、日本株が上値を追う展開には懐疑的な姿勢だ。したがって、日経平均が3万円を超えてから市場と反対に2倍の値動きをするインバース型の上場投資信託(ETF)の人気が高まっている(代表銘柄はコード番号1357の日経ダブルインバース上場投信)。また、投資信託などを通じた積立型投資を見ても、日本株ではなく米国株や世界株が主流になってきている…というのが一般論的な説明だ。

しかし、個人投資家も本音は心境変化。早々の利益確定売りに後悔か

 しかし前回のコラムでも触れたが、個人投資家も本音ベースでは少し変化が見られるというのが私の考えだ。日経平均が2万8000円を超えたあたりから利益確定売りをしている個人投資家が多いが、「あー、早く売り過ぎた」という後悔の念の強い人たちが多数いる。いったん降りてしまうと、なかなか高値では買えなくなってしまうのがつらいところというのが現状ではないだろうか。それだけ大きな流れが日本株にやって来ているのを実感しつつあると思う。

 その証拠に米国株と比べた日本株の強さはこのところ際立っている。NYダウから日経平均を引いた単純株価格差は一時8000ポイントも開いていたが、今や2000ポイントを切るレベルまで接近している。あるいは、日経平均株価をNYダウで割った「ND倍率」は5月25日時点で0.94倍と2021年3月以来約2年ぶりの高水準だ。高インフレ、景気後退懸念、債務上限問題という三重苦の米国株に対し、日本株は金融緩和継続や東証の要請による資本効率改善の動きが評価されている。昨年末と比べるとNYダウは1%安なのに対して日経平均は18%高である。あまりにも違う景色である。

日経平均3万円台も「買われ過ぎ」ではない。バリエーションは適正水準

 では、これで買われ過ぎか? といえばそうではない。日本人にとっては、過去の高値だったバブル期とのバリュエーション比較をすれば明白だと思う。日経平均が4万円直前まで上昇していた頃のPERは80倍台に対し、今はまだ18倍台だ。さらに言えば、東証プライム市場のPBR1倍割れ銘柄数は全体の4割も占めているという現実がある。

 さらに外国人投資家からすれば日本人とは違う景色が見えてくる。前回のコラムにも書いたように、外国人が投資する際のドルで見た「ドル建て日経平均」だ。今ちょうど2021年9月のバブル崩壊後の高値を更新したものの、ドル建て日経平均だと株価はまだ20%も下のレベルにある。個人投資家もドル建て日経平均には常に注意を払っておくべきだろう。

外国人投資家の日本株比率見直し、新NISA拡充による流入増も期待

 現在、外国人投資家が所有する日本株の比率は30.5%。2000年当時は20%しかなかったが、小泉政権による構造改革期待から大きく増加して2007年には28%へ上昇、そしてアベノミクス相場で2015年には32%まで増加した。それが2019年には29%台まで低下して、今再び30%を超えるレベルになっている。グローバル投資家のアセットアロケーションにおける日本株比率は一貫して低位に置かれてきたため、その解消の動きも入ってきているようだ。何せ、世界でも珍しい金融緩和政策、東証の資本効率改善要請という好条件が揃っていることに加えて、もう一つのポイントが2024年から始まるNISA拡充による個人投資家の資金流入増への期待である。

 新NISAは従来のNISAとは枠組みが大きく異なり、個人の資産形成に格段に優れている点が特徴だ。非課税保有期間が無期限となり、非課税保有限度額が1800万円まで拡大され、当初の投資額の範囲内であれば保有銘柄の入れ替え(リバランス)も自由にできるメリットがある。仮に所帯を持った場合、夫婦2人でも3600万円の枠が使えて非課税保有期間が無期限なら、資産形成も本格的に取り組むことができる。中途半端な従来のNISAではなかなか投資意欲は盛り上がらなかったが、新NISAでは日本株にも大きなマネーの流入があると私は考えている。新たな潮流が起こりつつあると見るべきで、日経平均3万円は通過点に過ぎないだろう。今はまだ逆業績相場であるが、来たるべき金融相場になれば過去最高値の日経平均3万8957円をも超えていく可能性がある。

6月7日開催のWebセミナー「日経平均3万円後の投資戦略」は見逃すな

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週も日々ベースでの過去最高値を更新し、年初来高値は9銘柄となった。日経平均も7週続伸して年初来高値を更新。エヌビディアの好決算でアドバンテストと東京エレクトロンが大活躍である。

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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