「勝者のゲーム」と資産運用入門

海外投資家が空前の買い越しで日本株上昇を牽引中。利益確定売りを急いだ日本の個人投資家も後悔。金融相場到来なら日経平均はバブル最高値更新も!太田忠の勝者のポートフォリオ 第86回

2023年5月31日公開
太田 忠
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

海外投資家は8週間連続で日本株を買い越し。その総額は3.63兆円

 海外投資家は8週連続で日本株を買い越しへ―。

 先週木曜日に東京証券取引所が発表した投資部門別売買動向によると、海外投資家は5月第3週に日本株を7476億円買い越した。海外投資家は3月31日の週から買い越しとなっており、日経平均株価が33年ぶりの高値更新となった5月19日(3万808円)まで8週連続の買い越しとの結果となった。買い越し総額は3.63兆円。買い越しが始まる前の3月24日の日経平均は2万7385円だったため、3400円の上昇を演出した主役である。8週連続の買い越しは2017年6月以来約6年ぶり、8週間の買い越し総額の規模は2013年12月以来の大きさだ。

高値に懐疑的な日本の個人投資家は売り優勢。インバース型ETFが人気

 一方、売り手は日本の個人投資家だ。日経平均が2万8000円を超え始めた4月14日の週から6週連続で売り越しとなっており、その金額は2.29兆円にも上っている。しかも5月第3週の売り越し額が9273億円と飛び抜けて多くなっており、3万円超え局面での売りのメインプレーヤーである。

 個人投資家はこれまで何度も上値を抑えられてきたマーケットに慣れっこになっており、日本株が上値を追う展開には懐疑的な姿勢だ。したがって、日経平均が3万円を超えてから市場と反対に2倍の値動きをするインバース型の上場投資信託(ETF)の人気が高まっている(代表銘柄はコード番号1357の日経ダブルインバース上場投信)。また、投資信託などを通じた積立型投資を見ても、日本株ではなく米国株や世界株が主流になってきている…というのが一般論的な説明だ。

しかし、個人投資家も本音は心境変化。早々の利益確定売りに後悔か

 しかし前回のコラムでも触れたが、個人投資家も本音ベースでは少し変化が見られるというのが私の考えだ。日経平均が2万8000円を超えたあたりから利益確定売りをしている個人投資家が多いが、「あー、早く売り過ぎた」という後悔の念の強い人たちが多数いる。いったん降りてしまうと、なかなか高値では買えなくなってしまうのがつらいところというのが現状ではないだろうか。それだけ大きな流れが日本株にやって来ているのを実感しつつあると思う。

 その証拠に米国株と比べた日本株の強さはこのところ際立っている。NYダウから日経平均を引いた単純株価格差は一時8000ポイントも開いていたが、今や2000ポイントを切るレベルまで接近している。あるいは、日経平均株価をNYダウで割った「ND倍率」は5月25日時点で0.94倍と2021年3月以来約2年ぶりの高水準だ。高インフレ、景気後退懸念、債務上限問題という三重苦の米国株に対し、日本株は金融緩和継続や東証の要請による資本効率改善の動きが評価されている。昨年末と比べるとNYダウは1%安なのに対して日経平均は18%高である。あまりにも違う景色である。

日経平均3万円台も「買われ過ぎ」ではない。バリエーションは適正水準

 では、これで買われ過ぎか? といえばそうではない。日本人にとっては、過去の高値だったバブル期とのバリュエーション比較をすれば明白だと思う。日経平均が4万円直前まで上昇していた頃のPERは80倍台に対し、今はまだ18倍台だ。さらに言えば、東証プライム市場のPBR1倍割れ銘柄数は全体の4割も占めているという現実がある。

 さらに外国人投資家からすれば日本人とは違う景色が見えてくる。前回のコラムにも書いたように、外国人が投資する際のドルで見た「ドル建て日経平均」だ。今ちょうど2021年9月のバブル崩壊後の高値を更新したものの、ドル建て日経平均だと株価はまだ20%も下のレベルにある。個人投資家もドル建て日経平均には常に注意を払っておくべきだろう。

外国人投資家の日本株比率見直し、新NISA拡充による流入増も期待

 現在、外国人投資家が所有する日本株の比率は30.5%。2000年当時は20%しかなかったが、小泉政権による構造改革期待から大きく増加して2007年には28%へ上昇、そしてアベノミクス相場で2015年には32%まで増加した。それが2019年には29%台まで低下して、今再び30%を超えるレベルになっている。グローバル投資家のアセットアロケーションにおける日本株比率は一貫して低位に置かれてきたため、その解消の動きも入ってきているようだ。何せ、世界でも珍しい金融緩和政策、東証の資本効率改善要請という好条件が揃っていることに加えて、もう一つのポイントが2024年から始まるNISA拡充による個人投資家の資金流入増への期待である。

 新NISAは従来のNISAとは枠組みが大きく異なり、個人の資産形成に格段に優れている点が特徴だ。非課税保有期間が無期限となり、非課税保有限度額が1800万円まで拡大され、当初の投資額の範囲内であれば保有銘柄の入れ替え(リバランス)も自由にできるメリットがある。仮に所帯を持った場合、夫婦2人でも3600万円の枠が使えて非課税保有期間が無期限なら、資産形成も本格的に取り組むことができる。中途半端な従来のNISAではなかなか投資意欲は盛り上がらなかったが、新NISAでは日本株にも大きなマネーの流入があると私は考えている。新たな潮流が起こりつつあると見るべきで、日経平均3万円は通過点に過ぎないだろう。今はまだ逆業績相場であるが、来たるべき金融相場になれば過去最高値の日経平均3万8957円をも超えていく可能性がある。

6月7日開催のWebセミナー「日経平均3万円後の投資戦略」は見逃すな

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週も日々ベースでの過去最高値を更新し、年初来高値は9銘柄となった。日経平均も7週続伸して年初来高値を更新。エヌビディアの好決算でアドバンテストと東京エレクトロンが大活躍である。

 6月7日(水)に毎月恒例のWebセミナーを20時より開催する。テーマは『日経平均3万円後の投資戦略』。今後大きな上昇が期待される注目銘柄についても詳しく解説。セミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする形で進めていく。会員限定だが、10日間無料お試し期間中でも参加可能。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。毎回大きな盛り上がりを見せているが、今回も多くの皆さまのご参加をお待ちしております。誰でも参加できるので、興味のある方はぜひ一度顔を出していただきたいと思う。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


ダイヤモンド・ザイ 2025年10月号好評発売中!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強日本株
第1四半期絶好調株
ふるさと納税

10月号8月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[2025年夏の最強日本株]
◎巻頭特集
人気20銘柄の最新判断も!
初速がスゴイ!第1四半期絶好調株
●2025年後半の主役はコレ!快進撃の人気株
●配当&値上がりの両狙い!即買い高配当株
●業績好転で上昇に弾み!急騰狙いの逆襲株

◎第1特集
高利回りも大化けも!
買いの105銘柄を一挙紹介
2025年夏の最強日本株
●買い時は9~10月!日経平均は4万8000円
●強気派VS弱気派の戦い方
●安心して持てる人気株!大型優良株

1位:ソニーグループ 2位:NEC
●配当利回り4%以上がズラリ!高配当株
1位:伊藤ハム米久HD 2位:INPEX
●優待+αが狙える!株主優待株
1位:サイバーエージェント 2位:ラウンドワン
●お手ごろ価格で買え分散も!10万円未満株
1位:ソフトバンク 2位:野村不動産HD
●まだ上がっていない割安株!出遅れ株
1位:SRE HD 2位:ウエストHD
●大化け期待の中小型株!新興市場株
1位:Aiロボティクス 2位:タイミー
●リスクをとって資産増を狙え!1年で2倍株
1位:インティメート・マージャー

◎第2特集
サボったら家族がこんなに困る!
投資家のための終活大全

●「口座情報の共有」が第一歩!財産の一覧表を作ろう
●信用取引やFXは特に注意!株の相続の基本を知ろう

●子どものいない夫婦は要注意!30代でも遺言書は必要!?

◎第3特集
☆☆☆の数を見るだけでOK!
NISAで売れてる投資信託をズバ斬り!
投信格付240

●見直し!NISAで買う投資信託の選び方
●NISAで最安投信!インデックス型
●大きな利益を狙う!アクティブ型
●リスクを抑えられる!バランス型

【別冊付録】
ポイント還元終了の駆け込み直前!
ふるさと納税45品

●ポイント還元が終わる前におトクなサイトで寄附を!
●10月以降はどのサイトで寄附する?
●肉/魚介類/果物野菜/お菓子/日用品

◎連載も充実
​●NEWS:「ホームラン級の爆騰も⁉ 大谷翔平スポンサー株本命3選」 
●次の1カ月何が起きる?プロが今の株式相場のポイントを解説!
「米国の値下げ狙いで再び4万円台が定着か」
●ZAi編集部の新人・ザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人
「車は買う? 借りる?」
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年7月編
「初値4倍超の銘柄も! ただし過熱感に注意」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略
「セル・ザ・ファクトには要注意!」
●連載・おカネの本音 レンタルなんもしない人さん
「令和の新しい生存戦略。“なんもしない”で家族と生活していく!」
●マンガ恋する株式相場「100g175万円! 恋のゴールドラッシュ」
●マンガ「デメリットの回避策も! 事実婚のお金事情」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報