株の掲示板の書き込みを信じるな。売買の煽りや感情的な罵詈雑言の嵐
「太田先生、株の掲示板をどう思われますか?」
このような質問をたまに受けることがある。代表的なのは皆さんご存知のヤフー掲示板だが、人気沸騰銘柄などでは1日に千件を超える書き込みがなされることがあり、非常に活況だ。
冒頭の質問に対する私の回答は「掲示板の書き込みはあまり信じないように」である。そもそも掲示板は匿名での書き込み方式が多く、責任ある意見を表明する場になっていない。掲示板を読むと、自分の含み損や含み益にまつわるコメント、売り煽りや買い煽りなどが非常に多く、とにかく感情むき出しの書き込みが多い。たまに企業分析に基づく良質なコメントも見られるが、全体から見ればごくごく少数だ。マーケットに参加していればストレスがたまるので、このような形になるのも致し方ないと考えている。感情を吐露して何とか精神的バランスを取ろうという場が掲示板ではないかと思う。
「掲示板の書き込みはあまり信じないように」と書いたのは単なる感情の吐露の書き込みではなく、株価の上昇や下落の要因、あるいはその企業分析などが完全に誤った認識で書かれているケースがあるからだ。しかも決して悪意はなく、知識不足や憶測で書かれている場合が多い。そういう書き込みは百害あって一利なしである。特に投資経験の浅い投資家が不正確な情報に基づいて投資の参考にすると痛い目に合うので、できれば掲示板の閲覧は控えた方がいいと思う。
インフルエンサーなどの意見を信じた売買は危険。急騰後にストップ安も
だが、もっと気を付けないといけないことがある。それは当たり屋やインフルエンサーの意見を信用して売買することだ。例えば最近の事例では、ヘリオステクノ(6927)や海帆(3133)が急騰後にストップ安となり、売ろうにも売れない状況が発生している。いわゆる当たり屋やインフルエンサーが絡んでいると言われる銘柄だ。
彼らが儲けようと仕掛ける対象は、時価総額の小さい、流動性の低い、普段なら誰も見向きもしない、いわゆる投資価値の低い銘柄だ。一方、時価総額の大きな銘柄は決して対象にしない。なぜなら、そういう銘柄は当たり屋やインフルエンサーでは思い通りに株価を動かせないからである。価値があり、時価総額が大きい銘柄であれば、売買する投資家が極めて多く、当たり屋やインフルエンサーの出番などほとんどない。
「手っ取り早く儲けたい」と考えるビギナー投資家が格好の餌食になる
当たり屋やインフルエンサーがオススメする銘柄の急騰を見て飛びつくのは、主に経験の浅いビギナー投資家の人たちだ。「早くお金持ちになりたい」「手っ取り早く儲けたい」という人たちが値動きの激しい銘柄に引き寄せられ、急騰している銘柄に焦って飛びつく。そして、あっという間にお金を失うことになる。
投資価値のない企業を「買ってはいけない高値」で買って儲けるためには、さらに愚かな投資家に高値で買わせる必要がある。実に虫のよい考えだ。当たり屋やインフルエンサーがその銘柄から下りたら、それはすでに所有株を高値で売り抜けたということである。そんな銘柄を買おうとする人などもはやいない。すると、高値掴みされた投資家は慌てて売ろうとしても、売るに売れない状況になる。
勝ち組投資家はそうした事情をよく知っているので、この手の銘柄には決して手を出さない。「短期的には儲かりそうだ」と思っても黙って無視するのが普通だ。流動性がほとんどない銘柄は「束の間の急騰ゲーム」が終われば、浦島太郎のような状況になってしまう。そもそも株式投資において、運用資産が一瞬でドカンと増えることを求めるのはリスクが大きい。ゆっくり時間をかけて確実に育てていくのが王道であると思う。
株価下落で損失を抱え、痛いところを突かれて誹謗中傷に走る残念な構図
ところで、株の掲示板ではいろんな書き込みがあると言ったが、誹謗中傷ももちろんある。これはSNS全体の問題であり、社会的にも大きな問題になっている。例えば、私は7月11日のコラムで「ソシオネクスト(6526)急落から学ぶべき教訓とは?」という記事を書いたが、SNSではいろいろ誹謗中傷がなされていて、客観的な視点で見ると興味深い。
「太田忠とかいうチャラい穴リストが、“今後、高性能半導体はユーザーが自社独自で設計する可能性が高いからソシオは将来的に懸念”なんてド素人丸出しの講釈を垂れてる。少しは勉強してから書け、と言いたい。中国共産党並みのフェイク捏造もいいところで迷惑な話だ」
「“そのうち顧客の自社設計になる”コメント、それ自称アナリストの太田忠だろ。チャラいブロガーのいいかげんなフェイクを売り方は心の拠り所にしてるんだよな」
株価が下がって損失を抱え、おまけに痛いところを突かれて、誹謗中傷に走るという典型的な構図だと思う。このような誹謗中傷がSNSに溢れ返っているのだ。
匿名の誹謗中傷は無視するに限る。誰にも遠慮せず前向きに生きよう!
もし皆さんがSNSで自分に向けられた誹謗中傷を見つけたらどうすればいいか?もちろん、消去できるのならしたいところだが、雨後の筍のように湧いてくるので、なかなか簡単にはいかないケースがほとんどだ。アドバイスとしては、その無責任なSNSは正体の分からぬ匿名であれば無視すること。さらに大事なことは、いい加減なコメントを見たたくさんの人たちが自分を変な目で見る…という意識をもたないことだ。「自分が思っているほど、他人は自分のことは気にしていない」ものだ。次の言葉を送るので、もっと前向きになっていただきたい。
あなたは一体、誰に遠慮して生きているのですか?
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週の日経平均株価は87円安と冴えなかったが、ポートフォリオの年初来高値銘柄は3銘柄となり、週間ベースで過去最高値を更新した。
8月2日水曜夜にWebセミナー「テンバガー(10倍株)を求めて」を開催
8月2日(水)20時から毎月恒例のWebセミナーを開催する。今回のテーマは『テンバガー(10倍株)を求めて』。来たるべき金融相場に向けて「勝者のポートフォリオ」はすでにテンバガー候補の組み入れをスタートし、着々と準備を進めている。一段と大きな投資成果を上げるために積極的な投資戦略を展開していきたいと思う。
今回のセミナーでは、米連邦準備理事会(FRB)の利上げは最終局面&日銀はどう動く?、着々と準備を進めている投資戦略、今後大きなパフォーマンスが期待できる個別銘柄についても詳しく解説。セミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする。会員限定だが、10日間無料お試し期間中でも参加可能。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。誰でも参加できるのでぜひどうぞ。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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