「勝者のゲーム」と資産運用入門

海外投資家は12週連続買い越し、累計6兆1000億円。
アベノミクス相場を超えるビッグウェーブが到来。
先物の売りに惑わされず、日本株の大波に乗ろう!太田忠の勝者のポートフォリオ 第90回

2023年6月27日公開(2023年6月27日更新)
太田 忠
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海外投資家は12週連続買い越し。買いペースはアベノミクス相場より速い

 先週木曜日に6月第2週の投資部門別売買動向が発表された。海外投資家は6414億円の買い越しとなり、これで12週連続の買い越し、その累計額は6兆1000億円となった。私は11週連続で買い越しした時点で累計額が5兆5000億円に達していたことに注目し、前回のコラムで次のように述べた。「11週連続はアベノミクス相場初期(2012年11月~13年3月)の18週以来の連続記録だ。この時の累計額は5兆7000億円で、金額ベースではほぼ同水準に迫っている」と。12週連続の時点で6兆1000億円になったわけであるから、抜き去ったことになる。要するに今回の海外投資家の買いペースはアベノミクス相場よりも速いということだ。

 アベノミクス相場の初期に何があったのかを今一度思い出していただきたい。「2012年11月は野田佳彦元首相が解散の意思を表明した月だ。要するにダメダメの民主党から自民党が政権を奪還し、安倍晋三元首相がアベノミクスを打ち出したのと同じタイミングだ」と前回のコラムで解説した。国民はかつての自民党の旧態依然とした政治運営にうんざりし、民主党に一度は政権を託した。ところが、やることなすことがダメダメのオンパレード。国民からのプレッシャーが大きくなり立ち行かなくなったのだ。「16日に解散をします。やりましょう」「それは約束ですね、約束ですね。よろしいんですね。よろしいんですね」。2012年11月14日の国会での二人の党首討論を鮮明に覚えている皆さんも多いだろう。「日本は大きく変わる」「今こそ日本株の買いだ!」という大きな転換の場面だった。その後の日本株上昇を強力に先導したのが海外投資家だった。

海外投資家の日本株買い需要は旺盛。目先の先物売りに惑わされるな

 あの鮮烈な場面よりも、今回のマーケットの方が勢いがあるのだ。「そもそもグローバルで割安な日本株、世界でも珍しい金融緩和策、日本企業の今後の資本効率改善期待、そして来年から始まる新NISAによる本格的な日本人の資産形成…となれば売る理由などどこにもなく、買う理由ばかりが目につく」と私は一貫して言っているが、海外投資家がこの大きなチャンスを逃すはずがない。「日本は大きく変わる」「今こそ日本株の買いだ!」となるのは当然のことである。なぜなら、彼らはこれまで「日本は成長しない」「日本企業は魅力がない」「割安放置は当然だ」との見方だった。日本株への投資比率はアンダーウェート。それが次々と投資比率の引上げに動いている。「中立のウェートにするにはあと10兆円ほどの買いが必要との試算もなされており、日本株買いは続くだろう」と前回のコラムで述べたが、先週は「過去の株高局面では海外投資家の日本株保有比率は1%ポイント前後改善」「いまの日本株ラリーがこれに匹敵すると、海外投資家によって約50兆円の買いが見込まれる」というモノ凄い見方をする外資系証券会社も出ている。

 「いやいや太田先生、海外投資家は売り越していますよ」という質問が飛んできたのでお答えしておこう。6月第2週の6414億円の買い越し額は現物株のみの金額である。先物を見ると6572億円の売り越しとなっており、現物・先物の合計では売り越しに転じている。だが、ちょっと待ってほしい。マーケットの大きな流れを理解する際は、先物の動きに気を取られていると判断を誤ってしまう。なぜなら、先物は短期目的の売買やヘッジ機能、あるいは投機目的として活用されているからだ。そもそも現物株のように無期限に保有できず、取引限月の決められた短期決戦である。日経平均は6月16日の時点で3月末と比較して20%も上昇しており、先物に利益確定の売りが出てもおかしくない。トレンドを正しく判断するためには、現物株の動きを見ないといけないのだ。

商社株を買い増したバフェットに習い、個人投資家も日本株に投資しよう

 一方、日本の個人投資家はどうか。5月第5週において8週ぶりに388億円の買い越しに転じたため、「日本株の大きな上昇トレンドにやっと気づいたか…」と私はコメントした。しかし、6月第1週は4819億円の売り越し、第2週も5777億円の売り越しである。この大きな上昇トレンドの中で再び売り手に回っているのが印象的だ。今のマーケットで早々にゲームから降りるのは残念である。それから何度も申し上げるように、相場上昇とは反対のポジションを持つ逆張りは厳禁である。大きな流れに逆らって、お金を失い、マーケットから消えていく人たちを私は過去たくさん見てきた。今損失がどんどん膨らんでいる人は、自分の投資手法が間違っている。そういう投資家にならないよう、くれぐれもご注意いただきたい。

 ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ。日本の5大総合商社株の買い増しが判明し、揃って過去最高値を更新中である。現在8%超の保有比率だが、9.9%まで高める方針は変わらないようだ。東証プライムの売買代金は連日で4兆円近くの大商いが続いており、相場の力強さを感じる。「日経平均3万円は通過点に過ぎないだろう」「今はまだ逆業績相場であるが、来たるべき金融相場になれば過去最高値の日経平均3万8957円をも超える可能性がある」と私は言ったが、このシナリオの実現に向けて着実に動き出していると思う。

7月5日にWebセミナー開催。来たるべき金融相場に向けた投資戦略を解説

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週も日々ベースでの過去最高値を更新し、年初来高値も12銘柄と好調だった。先週のマーケットは国内年金基金やグローバルファンドによる月末にかけてのリバランス(資産再配分)に伴う売りで需給悪化が懸念される中、株価指数先物に手仕舞い売りが出て幅広く売られた。日経平均は週間で925円下落。今週もその余波が続く可能性がある。

 7月5日(水)に毎月恒例のWebセミナーを20時より開催する。テーマは『金融相場に向けて着々と準備中』。すでに来たるべき金融相場に向けての投資戦略に着手している。今後大きな上昇が期待される注目銘柄についても詳しく解説。セミナー後半では皆さまからのすべてのご質問にお答えする形で進めていく。会員限定だが、10日間無料お試し期間中でも参加可能。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。毎回大きな盛り上がりを見せているが、今回も多くの皆さまのご参加をお待ちしております。誰でも参加できるので、興味のある方はぜひ一度顔を出していただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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