【1】今日の株式相場早わかり!
反落、取引時間中のバブル後高値更新も達成感?
日経平均株価は反落! 17日の米国市場では主要株価指数が小幅に上昇した。一部の連邦準備理事会(FRB)高官が追加利上げの可能性に言及するも、利上げ終了への期待は根強く残った。また、日本株をめぐっては堅調な企業業績や米投資会社バークシャー・ハサウェイによる追加投資への期待があり、日経平均株価は朝方に一時3万3853.46円まで上昇。取引時間中のバブル崩壊後の高値を更新した。ただ、その後は達成感が意識されたか失速し、後場になると200円超下落する場面があった。東京海上ホールディングスが決算を受けて急伸し、子会社売却が評価されたパナソニック ホールディングスは大幅続伸。一方で為替相場が円高方向に振れ、トヨタ自動車などが売られた。
日経平均株価の上値追いが期待できそうかどうか、今週の予定と相場見通しはこの後のコラムコーナーで確認しよう。今晩の米国では20年物国債の入札が予定され、需要状況と金利の動向に注目する市場関係者が多いようだ。
【日経平均】33388.03円↓(-197.17円)
【グロース250】710.52↑↑(+16.15)
【NYダウ】34947.28ドル→(+1.81ドル、17日)
【ナスダック】14125.481→(+11.808、17日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
3月期決算の「配当増額&高利回り」銘柄!
引き続き先週までに一巡した7~9月期の決算発表を振り返っていこう。今日は中間決算を発表した3月期決算企業で、配当予想の増額が大きく、かつ高利回りのものをピックアップした。株主還元に配当性向基準を導入する企業が増え、従来の保守的な業績予想を上方修正したことに伴い配当を増額した企業は多い。また、引き続き株価是正機運の高まりから株主還元を強化する企業も散見される。
従来予想比での配当増加率のトップは中国電力。従来予想は1株あたり年10円だったが、10月31日の中間決算発表時に30円(中間5円、期末25円)へ増額した。今期は燃料価格の下落に伴い燃料費調整制度の期ずれ差益が発生し、黒字転換と復配を見込んでいたが、差益が拡大する見通しだという。3位のSUBARU、4位のクレディセゾンは記念配当・特別配当の実施による増額だ(SUBARUは中間・期末とも10円の記念配当、クレセゾンは期末20円の特別配当)。
株主還元の強化では、2位のZOZOや8位のコスモエネルギーホールディングスに注目だ。ZOZOは業績予想を据え置く一方、配当性向の目安を50%から70%へ引き上げ。年間配当は71円から98円(中間・期末とも49円)に増えた。コスモエネHDは8月に下限配当を250円に引き上げたが、「中計(中期経営計画)期間中の総還元性向60%の早期実現およびPBR(株価純資産倍率)1倍の早期達成を目指す」として、今期300円(中間・期末とも150円)に増額。新予想ベースの配当利回りは5%を超える。同社に対しては旧村上ファンド系が株主還元の推進を求めており、今後の展開にも注目したい。
■コスモエネルギーホールディングス株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米エヌビディア決算や米FOMC議事録に注目
先週の日経平均株価は+1017.09円(+3.12%)。米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を下回ったことで、米金融引き締め観測が大幅に後退。日米の長期金利が大きく低下し、ハイテク株を中心に買いが入った。一方、中国の主要経済指標が予想を上回ったことに加え、米小売売上高が予想ほどには落ち込まなかったことで、景気後退に対する警戒感の緩和も支援材料になった。
今週の焦点は、生成AI(人工知能)向け半導体で強みを持つ米エヌビディアの決算だろう。前回は市場予想を大幅に上回る好決算だったにもかかわらず、高値圏にあった株価はその後軟調に推移した。今回も、先週にかけての連騰で株価は既に相応の期待を反映していると思われ、決算後の株高のハードルは決して低くないだろう。足元の相場をけん引している半導体株の動向を左右しうるため、結果は要注目だ。
一方、年末にかけて株高が起きやすい季節性、年末ラリーへの期待に加え、国内では11月下旬から始まる中間配当の再投資による相場の押し上げ効果を指摘する声もある。ただ、現在の株式市場は米連邦準備理事会(FRB)による来年末にかけての利下げと米経済のソフトランディング(軟着陸)という都合の良いシナリオを十分に織り込みつつある。また、足元の株高は短期筋による先物中心の買いによるところが大きく、長期目線の投資家による現物買いはさほど膨らんでいない。米エヌビディアの決算反応が悪ければ、相場の基調が転換する可能性がある点には注意したい。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(10月31~11月1日開催)にも注目だ。利下げに慎重なFRBの姿勢が確認されれば、金利低下が一服する可能性があるだろう。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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