11月のNYダウは+8.8%の高い上昇率で、年初来高値を一気に更新!
先週木曜日、NYダウは520ドル高の3万5950ドルとなり、8月1日に付けた年初来高値3万5630ドルを更新した。11月のNYダウは+8.8%と2022年10月以来の高い上昇率となり、ナスダック市場も+10.7%と大きく上昇した。だが、8月から10月までは3ヶ月続落だった。NYダウは3万5559ドルから3万3052ドルへ2507ドル下落の-7.1%、ナスダックは14346から12851へ1495ポイント下落の-10.4%。「米国の株式市場はリセッション入りの可能性が高い」と言われていた状況をたった1ヶ月でひっくり返したことになる。凄まじい挽回力だ。
その要因はひとえに「金利」だ。「株式市場の方向を決めるのは景気ではなく金利」と私は繰り返し述べてきたが、米長期金利が直近高値の5.00%の水準から12月1日は4.19%に低下。11月だけを見ても0.54%も低下しており、2011年8月以来となる12年ぶりの下げ幅となった。
FRBのタカ派的牽制が強くなかったこともリスクオンに傾いた要因
「米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面は終了」とのコンセンサスができつつあったところに、先週火曜日にタカ派として知られるFRBのウォラー理事が「インフレ率が一段と低下すれば、利下げを始められる」と語ったことで、市場は一気にリスクオンに傾いた。注目されていたパウエル議長の大学での講演も「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早」「必要があればさらなる金融引き締めの用意がある」と繰り返す一方で「現在の政策金利はかなり抑制的な水準」と述べた。タカ派的牽制は思ったほど強くはない、とマーケットは受け止めた形だ。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウオッチ」で、2024年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が現在の水準を下回る確率は6割強に上昇している。
だが、パウエル議長は難しい立場に立たされていると思う。なぜなら、ゼロ金利から一気に5.25%も引き上げた政策金利を、実際にインフレや経済に与えている影響を十分に検証できていないまま政策金利を下げるという金融緩和をおこなえば、インフレや経済が再び過熱するリスクがあるからだ。そのあたりの舵取りについては今のところまだ分からない、というのが本音ではないだろうか。
日本市場も反発。日経平均は+8.5%、東証グロース市場250は+10.5%
一方、11月の日本市場も大きく反発して終えた。日経平均は+8.5%と今年6月以来の高い上昇率となり、東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)は+10.5%とグロース株も大きく上昇した。これはひとえに米長期金利の低下による米国市場の株価上昇と連動する形となったからだ。
ところで、10月にイールド・スプレッドの話をした。米国株式の益回りは10月6日時点で5.22%(S&P500)、そして2年金利は5.06%とほとんど同じになっていた。もちろん、通常は株式の益回りが債券の利回りを上回りイールド・スプレッドが開いて「株は割安、国債は割高」の状況にあるのだが、10月時点ではイールド・スプレッドが著しく縮小して「株は割高、国債は割安」という事態が起きていたのである。早い話が米国人にとってリスク資産である株式と安全資産とされる国債の利回りが同じになり、「利回りが同じなら、株を売って国債を買う方がいいよね」という状況になっていた。
「株式と国債の利回りが同じだから株式を売って国債を買う、のは短期的には有利な判断かもしれないが、長期的には不利な判断になる」「これから国債の利回りは低下し、株式の益回りは現水準あるいはさらに高水準になっていく」「イールド・スプレッドが再び拡大することになる」と私は述べていたが、その状況に早くも戻っている。これが本来の姿である。
師走相場に突入。NYダウに続き、日経平均の年初来高値更新も期待!
金利が低下すれば、低PERのバリュー株や大型株よりも高PERのグロース株や小型株の方が優位になる。なぜなら、高PER株の方が相対的割安感が一段と意識されるからだ。しかし、米国のナスダック市場、日本のグロース市場ともに年初来高値を超えておらず、今週の動きを見るとどちらも株価は非常に鈍い。本来ならもっと力強い動きをしてもおかしくないが、まだ金融相場的な買いが見られない。これはいまだに株式市場が投資対象の「質」を重視していることの表れである。株式市場とはトレードオフの関係にあるはずのゴールドが12月1日のニューヨーク市場において1トロイオンス2095.7ドルを付け、2020年8月の最高値を更新した。金が上昇を続けるのは「質への逃避」という側面が出ている証左である。
いよいよ師走相場に入った。NYダウが年初来高値を更新したことで日経平均にも期待がかかる。日経平均の今年の高値は7月3日の3万3753円。12月1日の終値は3万3431円。すなわち、あと322円、1%上昇すれば年初来高値を塗り替えることになる。
有終の美を飾るべく「勝者のポートフォリオ」も年内の一段の飛躍目指す
11月に株式市場を牽引したのは値がさの半導体株だった。東京エレクトロン、アドバンテストといったお馴染の銘柄に加えて、ひときわ目立ったのがレーザーテックである。今や1銘柄で東証プライム市場の売買代金の10分の1を占めており、機関投資家にも個人投資家にも大人気の銘柄となっている。確かに業績拡大の期待値が高いが、それを遥かに上回る株価上昇スピードとなっており、物凄い過熱感が出てきている。
一方、中間配当の支払いが先週より本格化しており、配当利回りの高いバリュー株も買われている。株価の動きとしてはいったん「休憩」モードに入ったような様相を見せていたが、海外投資家の買いが活発になってきており、再び物色対象として期待される。
明日12月6日WEBセミナー開催。年末ラリーに向けマーケットを総点検
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」だが、今年はすでにかなり高いパフォーマンスを実現しているが、その集大成となるべく来年に向けてもう一段飛躍したいと思う。また「テンバガー(10倍株)」のスペシャル講義となる全13本の講義動画が完成し公開中である。来たるべき「金融相場」に向けて着々と準備を進めている。
12月6日(水)20時より今年最後となるWebセミナーを開催する。今回のテーマは『年末ラリーに向けてマーケットを総点検』。平日にもかかわらず毎回300人以上が視聴しているセミナーだ。このコラムでは個別銘柄の話はできないが、セミナーでは今後大きく株価上昇が期待できる注目銘柄も存分にお話する予定だ。会員限定だが10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能である。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。資産運用で大きく躍進されたい方々の積極的なご参加をお待ちしている。なお、有料会員の方々は後日アーカイブでの視聴ならびにプレゼンテーションPDFもご覧いただけるので見逃さないでほしい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる
「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!
老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス。週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!