極端な悲観論をはねのけ、日経平均株価は一時年初来高値を更新!
日経平均株価は一時7月3日以来の年初来高値を更新―。
先週の日経平均は4週続伸となり、一時7月3日の年初来高値3万3753円を上回り、4ヶ月半ぶりの水準まで上昇した。7月3日の日経平均は1990年3月以来となる33年8か月ぶりの水準であり、バブル崩壊後の高値にあたる。10月には3万500円を下回るレベルまで下落していたため、「もう今年の高値は終わった」だの「日経平均はダブルトップ形成でこれから下落する」だの、さらには「NYダウのチャートの形状がヤバイ、ブラックマンデーのような暴落が来るぞ!」といった極端な悲観論すら個人投資家の間で囁かれていた。
「あなたはヘタレ? それとも泰然自若?」と私は皆さんに問いかけてきたが、私の言っていた通り「泰然自若」の勝利である。私は何もカンで予想しているわけではない。「逆業績相場の最終局面では相場がガタガタするのはいつも見てきた景色」「逆業績相場の後は金融緩和を伴った金融相場が来るので心配無用」との明確なシナリオをずっと持っていたことも、すでに何度も申し上げてきた通りである。
米国の利上げは終了し、来年3月から利下げに転じるとの見方が強まる
ところで、市場関係者の間では米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする欧米の中央銀行が、来年に利下げを行うとの見方が強まってきている。
まずFRBであるが、金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)において、9月に続いて11月も政策金利を据え置いた。パウエル議長は記者会見で「今後は経済データに基づいて注意深く金融政策を行う」「必要があれば利上げをまだ行う可能性はある」という従来通りのコメントを繰り返した。利上げの含みを残してはいるものの、現在のフェッドウオッチ(シカゴ・マーカンタイル取引所グループが算出する利上げ予想確率)では、12月および来年1月の利上げ確率はゼロとなり、逆に3月の利下げ確率が34%、5月は67%、6月は88%まで上昇している。
要するに現在の5.25%~5.50%の政策金利が、今回の利上げのピークとのコンセンサスが強まってきた。一時は9%を超えていた消費者物価指数(CPI)は現在3%台まで低下しており、FRBの利上げによりインフレ退治が着実に進んでいることを示している。また、懸念だった過熱気味の景気も徐々に減速感が現れている。これを受けて、米国の長期金利は10月半ばの5%ちょうどの水準から4.4%台にまで低下している。
賃金上昇率が高い欧州だが、更なるインフレ加速を市場は想定せず
また欧州中央銀行(ECB)も10月理事会で利上げ見送りを決定。2022年7月の利上げ開始から実に11会合ぶりの政策金利据え置きとなった。現在のECBの政策金利は4.50%。それに対して物価上昇率は4.30%(前年同月比)となっている。公表された声明文では「インフレ率は依然として高すぎる状態にあり、今後も長くとどまると予想される」「現在の政策金利を引き続き長い間にわたって維持する」とあり、最終的な物価目標である2%の達成を目指す姿勢を崩していない。ラガルド総裁は記者会見で「再び利上げしないと言っているわけではない」と追加利上げの可能性について触れ、利上げ停止宣言はまだ行わない、との用意周到さを残した。
ECBの場合、FRBとは置かれている状況がやや異なる。それは賃金インフレがいまだくすぶり続けており、インフレ圧力への警戒はやまない点だ。ちなみにユーロ圏では賃金上昇率が9月の時点で6%となっており、年初時点の5%台半ばからやや加速している。とは言え、ドイツの長期金利を見ると3%ちょうどのレベルから現在は2.6%台に下がっており、さらなるインフレ再燃というシナリオは想定していないことがわかる。
2024年は株式市場によって最も好ましい経済状況が訪れる?
2022年春に始まった急速な引き締め局面は一巡し、2024年は利下げサイクルに入るとの見方が市場では大勢になってきた。インフレが沈静化しつつ、景気がソフトランディング(軟着陸)するというのが株式市場にとって最も好ましい状況だ。10月のマーケットは景気の強さが災いして「長期金利は上昇、株式市場は下落」という構図だった。
10月のコラムで「今や株式市場は『景気の悪い話』を求めている」と私は述べたが、11月に入りその兆候が出始めたことで「長期金利は低下、株式市場は上昇」に転換したのである。何度も言うように「景気が良くなると株式市場は上昇」「景気が悪くなると株式市場は下落」という先入観を持ってはいけない。株式市場の方向性を決めるのは景況感ではなく金利水準なのだ。
「景気が強すぎるから容易に金利を引き下げられず、株式市場に逆風」という状況から「景気が鈍化すれば金利を引き下げやすくなり、株式市場に追い風」に変わった。今後期待できるのは「景気減速懸念が強まり、株式市場は買われる」というシナリオである。一般的な解説で目にする「景気減速懸念が強まり、株式市場は売られる」ではない。このロジックを理解しておかないと株式市場のことがわからなくなる、という点についてもすでに指摘した。
金利低下を受け、成長株が多いナスダック市場や東証グロース市場も反発
さて、このところ目立つのがナスダック市場の堅調な上昇と、東証グロース市場(旧東証マザーズ市場)の反発である。10月26日には1万2543ポイントまで売られていたナスダック指数は先週金曜日に1万4250ポイントまで回復、東証グロース250指数は10月24日の618ポイントから先週金曜日には717ポイントまで回復した。
特に高PERの成長株は大型株以上に金利動向の影響を受けやすく、金利低下が株価上昇のエンジンとなる。要するに金融緩和すれば大きな恩恵を受ける分野である。6月21日に直近高値の871ポイントをつけ、「東証マザーズに注目!」と私は述べていたが、その後失速という厳しい現実があった。それがようやく底入れの兆候が出てきている。非常に注目すべきポイントである。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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