ウォーレン・バフェットの右腕として知られるチャーリー・マンガー氏が11月末に亡くなりました。
優秀な投資家は世の中にたくさんいますが、マンガー氏のように、深みのある投資哲学を持ち、その秘訣をわかりやすく、かつ簡潔に説明できる人は他にいませんでした。
大きな利益を得るには、頻繁に売買するのではなく、待つことが大切
マンガー氏は投資に関するたくさんの名言を残していますが、私にとって一番印象的で、自分の投資に最も影響を与えていると感じているのは、これからご紹介する2つの名言です。
大きな利益は買いと売りにあるのではなく、待つことにある。
マンガー氏のこの言葉は複利の力を指しています。頻繁に買ったり売ったりする人は結局大きな利益を上げられません。
人間の心理として、価格が下がると売りたくなり、価格が上がると買いたくなるものです。これは我々の脳の働きに基づいています。そして、高くなったものを買い、安くなったものを売るこのパターンを繰り返すと、損をすることは必然です。
さらに、短期的な取引の相手は進化し続けるAIやスーパーコンピューターになっています。それらの相手と短期で競うことは至難の業です。
これは株だけでなく、為替や他の投資資産にも当てはまると思います。
複利効果は、購入してから長期保有することで享受できます。ただし、成功するためには初めから正しい投資戦略を採用し、それを堅持し続けることが必要です。
正しい投資戦略とは何か?
これは人生にもたとえられます。
人生は一度きりです。自己投資、たとえば教育や仕事、起業、あるいはパートナー選びなどは、その選択をした時点でそれが正しいかどうか確信することは難しいです。けれど、人生のそれぞれの時期においてそれらのことには挑戦するしかありません。そして、同じ年齢で別の選択をやり直すことはできません。さらに、選択したことの効果が明らかになるまでには長い期間が必要なことが多いです。
では、正しい投資戦略とは何でしょうか?
一般的には、まず、資産を分散させることが必要でしょう。あるいは自分の強みに基づいた賭けをすることです。
たとえば、まったく予測がつかず、うまくいくかどうか50/50のようなリスクある対象に大金を賭けるのは賢明ではありません。ポジションは自分の確信に準じて取っていくのがいいでしょう。投資する際は十分に調査して、その確信の裏付けをとっておくことが大切です。
以上のような形でやっていくのが良い投資戦略だと考えます。
危機は投資のチャンス! “お買い得”な状況になった時に大量に購入するのが成功の鍵
投資成功の鍵は、何年も、何十年も何もせず、お得なチャンスがついに訪れた時に「非常に積極的に」買いを入れるのを待つことだった。
投資の大チャンスはいつも訪れるわけではありません。しかし、一般的なファンドマネージャーはほぼ常に資金を100%投資していなければならない状況にあります。一方、個人投資家にはそのような制約はなく、一定のコントロールが可能であり、投資のタイミングを選ぶことができます。
何かの危機が起きて市場が大きく下落し、“お買い得”な状況になった時に大量に購入することは、良いリターンを得るために必要不可欠な行動です。
私自身が最も利益を得たのは、9.11同時多発テロ、リーマンショック、3.11東日本大震災、そしてコロナ禍の時でした。これらのことが起きた時に暴落した市場は、その後、回復しました。タイミングを捉えることが重要であることは言うまでもありません。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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