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男は黙って成長株の長期投資! 回転率が高いファンドマネージャーはパフォーマンスが悪い。ファンダメンタルズに変化ない限り保有せよ!

2023年8月10日公開(2023年8月10日更新)
ポール・サイ
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欧州旅行を終えたポールさん。今度はなぜか、カリブ海のグレナダから映像付きで経済番組に生出演!

 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 前回の放送では、欧州各国への旅行を続けているポールさんが、フランスのパリから生電話出演。アメリカのハイテクセクターや、銀行の決算について総括しつつ、欧州の歴史を振り返り、これからの欧州や世界の強国がどうなっていくのかを推測してくれた。
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 そして、今回の放送では、欧州旅行を終えたポールさんが今度はなぜか、カリブ海のグレナダから映像付きで生出演! 上昇が続いている米国の株式市場や、米国の不動産業界の話を交えながら、世界を転々とするポールさんが自身のポートフォリオをどのように管理しているのか、詳しく語ってくれたのでさっそくチェックしていこう。

カリブ海のグレナダに泊めてある、ヨットのコックピットから生出演

 前回の放送で、ポールさんの欧州旅行が終盤に差し掛かり、フランスのパリからイギリスのロンドンに移動して、ポールさんが在住するシアトルに帰るという流れが紹介されたことから、今回はシアトルからの出演になると、記者はてっきり思い込んでいた。
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 ところが、蓋を開けてみると、なにやら船の上からポールさんのまぶしい笑顔と、キラキラした海が生中継されているではないか。

(出所:WORLD MARKETZ) 左はアシスタントの木村カレンさん

 以前の放送で、ポールさんはカリブ海のグレナダにヨットを泊めていて、そこからカリブ海の島々を航海したという回があったが、今回もグレナダのヨットのコックピットから、映像付きで出演してくれたようだ。
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 以下は、今回の放送で紹介されなかったものの、ポールさんが提供してくれたグレナダの写真だ。カリブ海のリゾート地の雰囲気がビンビン伝わってくる。

陸上げした船をトラクターで海に移動
プリクリー・ベイという停泊地を見ながら食事
船を海に降ろした後、マリーナのレストランで食事

市場の織り込みに反して、大きなリセッションが起きず、米国の株式市場は中長期で心配することがかなり減ってきた

 ここで、番組MCの渡部一実さんから、「ヨットの上で無粋ながら」との前置きが入りつつ、米国の株式市場が高い背景について、どう見ているのか質問が飛んだ。

 ポールさんはまず、米国の利上げペースや金利の高さが史上最高に近く、市場は今まで大きなリセッションを織り込んでいたけれど、実際にはそうはならなかったと指摘。現在の市場は、NVIDIAなどAIの革命が起こる可能性を織り込みに行っているようだ。

 市場の織り込みに反して、大きなリセッションがなぜ起きなかったのか。それは、コロナ禍で政府が個人に富の移転を行ったことが関係しているという。

 給付金などを個人へばらまいたことで、政府と中銀のバランスシートは悪くなっったけれど、個人のバランスシートが思ったより健全になり、個人の需要が下支えして、景気も思ったより悪くならなかったようだ。

 また、インフレも落ち着いてきており、FRBのさらなる利上げがあったとしても、数%というより、強すぎる景気に対する微調整の利上げとなるため、米国の株式市場は中長期で心配することがかなり減ってきた、とポールさんは教えてくれた。

 ムーディーズが最近、商業用不動産のリスク増大などで、米中小銀行10行を格下げしたということはあったものの、それは3カ月、4カ月前からわかっていた話で、株式市場自体は大丈夫という方向になっているそうだ。

悪かったオフィスビルのトレンドに変化の兆しアリ!

 続いては、米国の不動産業界の話に。

 米国が利上げすると、住宅ローンを借りている人たちは困るけれど、その人たちは低金利の時代に、固定ローンに切り替えていたのかということが、渡部さんは気になるようだ。

 ポールさん曰く、個人で見ると、持ち家の人は低金利のときに借り換えをした人が多かったとのこと。さらに、リーマンショックのような投機的な動きも最近はなかったため、今回のFRBの利上げが個人にもたらした影響は特になかったという。 

 そして、利上げの影響が出たのは、どちらかというと、個人よりも商業用不動産、オフィスビル、アパートだそうだ。

 オフィスビルがこれまで悪かった理由は、利上げの影響に加えて、コロナでリモートワークに移ったこと。ただ、ポールさんは、オフィスビルのトレンドに変化があるかもしれないと注目し始めている

 というのも、働く人がオフィスにいないと、チームとして成り立ちにくいし、若い人の教育もリモートワークだとやりづらいから、企業からオフィスに戻りなさいという話が出始めてきているというのだ。

 また、最近、雇用が少し弱くなっており、リモートワークで働きたい人の抵抗力も減ってきたという。

 エコノミストなども新聞の記事で、リモートワークに対して批判的な話を展開することが増えてきていることから、もしかしてオフィスビルの入居率は改善するのでは、とポールさんは思うようになり始めたのだった。

 商業用不動産、アパート、ロジスティクス、オフィスビルなどが含まれるETFの、XLRE(不動産セレクト・セクター)を見ると、ある程度叩かれており、オフィスビルの空室率改善をきっかけに、上昇してくる可能性があって、実際に少しリバウンドし始めたので、そこにはポールさんも注目しているそうだ。

XLRE 日足 (出所:TradingView)

回転率が高いファンドマネージャーは、パフォーマンスが悪くなる傾向。人間に勝ち目があるやり方は、中長期の投資しかない!

 最後は、世界を転々とするポールさんが、自身のポートフォリオをどう管理しているかの話題に。

 まず、ポールさんが世界を飛び回っていても、今はスターリンクのおかげで、世界中どこでもハイスピードのインターネットができるようになったため、自宅のシアトルでトレードする環境とそんなに変わりがないという。
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 仮に、スターリンクがなくても、携帯で相場は追えるし、フィデリティで働いていたころは、世界のいろいろな会社に出張していて、その時もポジション、ニュース、情報管理はノートパソコンと携帯でやっていたため、今も昔もやっていることはそんなに変わりがないそうだ。

 もう1つ、ポールさんがポートフォリオを管理する上で重要なのが、ポートフォリオをコロコロ回転するスタイルではないことだ。

 ポールさんはフィデリティに長くいた経験から、ファンドマネージャーをいろいろ見てきており、回転率が高いファンドマネージャーは、全員ではないものの、パフォーマンスが悪くなる傾向があるという。

 フィデリティでは、回転率の高さは注目されるところで、すごく回転率が高いとCIOから注意されるそう。

 回転率が高くても、パフォーマンスが出せる人はいるものの、そういう人はなにか特別なスキルを持っているし、高い回転率で稼ぐやり方は、スーパーパソコンや金融工学の人を相手にしているようだ。

 一般的に、人間の脳は、短期のトレンドや大量の数値を処理するのは不得意で、電卓より計算できる人はなかなかいないとポールさん。

 逆に、パソコンは長期トレンドは掴みづらく、不確定要素があるデータを取り込んでしまったり、いいデータだけを選別して取り込むことはできないという。

 そして、人間に勝ち目のあるやり方は、中長期の投資しかないとポールさんは断言した。

 AIはインターネットからたくさんの情報を取ってきて、ゴミも取り込むけれど、人間はある程度情報を選別できて、そこから大きなトレンドを抽出できるところが優っているようだ。

 そういう意味で、ポールさんは毎日ニュースは見ているけれど、毎分毎秒パソコンの前にはいないし、1分、5分、1時間以内のチャンスを取るよりは、中長期のチャンスを取ることに徹している。

無駄な課税を避けるためにも、成長株は保有し続けろ! 

 そんなポールさんが、ポートフォリオを入れ替えるのはいつかというと、四半期ごとに必ず入れ替えるわけではなく、ファンダメンタルズのトレンドが変化があるときだという。

 人間は心理的に、下がると売りたくなる、上がると買いたくなるけれど、そういう心理に負けると、損をするとポールさん。

 できるだけ、自分が何の理由で株を買ったのかを決めておき、その理由がまだ正しいかどうかを判断し、値段の動きだけを見ないで、トレンドが思いどおりに動いていれば、特に成長株は保有し続けるそうだ。

 それは、ウォーレン・バフェットにも言えることで、もともとはバリュー投資家だったけれど、今はバリュー株と成長株を混合していて、成長株は基本的に株価が上がったからといって売らないのだという。

 成長株を保有し続ける、もう1つの考え方は税金だ。

 株価が2~3倍になって売ると、税金を払う必要があるが、売らなければ無税で成長していくため、無駄な課税を避けるためにも、短期で動くより、長期保有のほうが、複利の効果が効いてくるとポールさんは力説。大きなトレンドの変化がない限り、短期の売買は行わないという方針を貫いているのだった。

 ここまで、8月8日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

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●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中

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