【1】今日の株式相場早わかり!
買い先行も政治懸念などで伸び悩み、今晩は米CPI
日経平均株価は小幅続伸! 11日の米国市場では主要株価指数が連日で年初来高値を更新した。12日に発表される11月の消費者物価指数(CPI)や、12~13日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとのムードもあった。ただ、政策の後押し期待が高まった半導体関連株などに買いが入り、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+3.40%となった。また、日銀が今月の会合で政策修正を急ぐ必要はないとの報道から、為替相場は引き続き円安方向に戻しており、今日の日経平均株価は3万3000円台を回復してスタート。朝方には上げ幅を380円まで広げる場面があったが、戻り待ちの売りが出たほか、政治資金問題への懸念の声もあり伸び悩んだ。
米半導体株高を引き継いでルネサスエレクトロニクスなどが堅調。このところにぎわっていた東京電力ホールディングスは5日ぶりに大幅反落した。今晩の米国では11月CPIに注目したい。事前予想などは12月11日号コラムで確認しよう。
【日経平均】32843.70円→(+51.90円)
【グロース250】663.43↓↓(-13.81)
【NYダウ】36404.93ドル↑(+157.06ドル、11日)
【ナスダック】14432.486→(+28.513、11日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
景気・為替に左右されにくいデジタル化投資関連
11日に発表された10~12月期法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数(BSI)は+4.8と、3四半期連続のプラスだった。BSIは自社の景況が前の四半期より「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた数値である。2023年も残すところ僅かとなったが、来年の景気・株式市場を巡っては、米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待が根強く残る一方、景気減速を懸念する声もある。景気や為替について投資家の見方が分かれる中、これらの要因に左右されにくい内需系の非製造業において投資機会を見出すことが重要になってきそうだ。
大企業非製造業の中で、10~12月期から2024年1~3月期にかけてBSIの改善が見込まれる業種の1つは情報通信業であり、+2.6から+9.3に改善する予想。生産性の改善やコスト削減を目的としたデジタル化投資は旺盛な状況が続いていることから、関連株の好業績が今後も期待できそうだ。
マネーフォワードは法人向けを中心に競合対比で高い売上成長が続いている。自社ホームページへの「インボイス」キーワードによる9月月間平均流入数が、8月と比較して9倍に急増したことに加え、制度関連のセミナー申込も昨年比で2倍に増加しているもようで、今後も高い成長が期待できそうだ。ラクスやSansanも高い売上成長が続いている上、同様のインボイス制度を追い風に先行きに期待が持てる。大塚商会はオフィス周りの業務効率化を丸ごと頼める網羅性を強みに着実な成長を続けている。2025年10月には「Windows10」のサポートが終了するため、今後はパソコン買い替えサイクルに伴う特需も期待され、当面の業績は良さそうだ。
■マネーフォワード株価チャート/日足・6カ月
【3】火曜連載「ザイ編集部発! 週イチ『投資信託ニュース』」
楽天が信託報酬引き下げ! 最新低コスト投資信託
インデックス投資信託は、2023年も熾烈な低コスト競争が繰り広げられた。それも、ひと段落ついたと思いきや、12月1日に楽天投信がさらに信託報酬を引き下げた。ここで、2024年1月から始まる新NISAのつみたて投資枠の各タイプの最安投資信託を改めて整理してみよう。
今回、楽天投信が信託報酬を引き下げたのは2本。2023年10月末に設定されたばかりの、全世界株に投資する「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」と、米国株(S&P500)に投資する「楽天・S&P500インデックス・ファンド」だ。それぞれ0.561%と0.770%に引き下げた。いずれも楽天証券のみで販売する投信だ。
米国株(S&P500)型については、「つみたてiシェアーズ米国株式(S&P500)インデックス・ファンド」(販売はマネックス証券のみ)が0.0586%で最安だが、この信託報酬水準は2026年5月7日まで。それ以降は0.09072%になる。3年以上積み立てるなら楽天投信の楽天・S&P500インデックス・ファンドが最安となる。
さらに楽天投信は12月22日から、先進国株型の「楽天・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド」を信託報酬0.880%で、日本株型の「楽天・日経225インデックス・ファンド」を信託報酬0.132%で設定し、こちらも楽天証券のみで販売する。そしてこの2本を楽天証券は残高に応じてポイントが貯まる「投信残高ポイントプログラム」の対象に追加すると発表した。
ちなみに、信託報酬0%(2031年1月以降は0.11%)の「野村スリーゼロ先進国株式投信」も、販売は野村證券のみ。信託報酬の引き下げは、グループ会社全体の“顧客の囲い込み”という新たな局面を迎えている。
熊谷久美子
ダイヤモンド・ザイ編集部 副編集長
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