【1】今日の株式相場早わかり!
けん引役だった半導体株を中心に大幅安
日経平均株価は大幅反落! 25日の米国市場でS&P500指数は5日連続で過去最高値を更新した。10~12月期実質GDP(国内総生産)速報値が予想を上回り、経済のソフトランディング(軟着陸)期待が高まった。一方、日経平均株価は下落してスタート。取引終了後に決算を発表した米インテルが時間外取引で急落し、半導体株を中心に幅広い銘柄に売りが広がった。主力企業の決算発表を控える中、利益確定売りが優勢となり、日経平均株価は節目の3万6000円を割り込んだ。
アドバンテストなどの半導体株が軒並み下落し、日立製作所とNECが持ち株を全て売却すると伝わったルネサスエレクトロニクスは急落。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるほかに、レーザーテックや米マイクロソフトなど日米で注目企業の決算発表が相次ぐ。なお、取引終了後には信越化学工業が2024年3月期第3四半期(4~12月)決算を発表。営業利益は前年同期比30.8%減の5595億円と市場予想を下回った。
【日経平均】35751.07円↓↓(-485.40円)
【グロース250】714.12↓(-4.73)
【NYダウ】38049.13ドル↑(+242.74ドル、25日)
【ナスダック】15510.496→(+28.578、25日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
資金余力が余る個人の買いに期待、新興株!
日経平均株価に騰勢一服感が漂う一方、東証グロース市場250指数が他指数を上回るパフォーマンスを見せた。投資部門別売買動向によると、日経平均株価が急伸した1月第2~3週(9~19日)に、個人投資家は現物株を1兆2550億円売り越しており、資金余力は相応にあると想定される。主力大型株に対する高値警戒感がくすぶっていることもあり、目先は出遅れ感の強い新興株への循環物色が期待できそうだ。
中でも時価総額が大きい銘柄は機関投資家からの買いも期待できそうだ。時価総額トップでVTuber(バーチャルユーチューバー)プロダクションを運営するカバーは、先日、外資系証券によるカバレッジも確認され、注目度の高さが窺える。業績は非常に好調で、認知度が高まる中、動画配信収入だけでなく企業のプロモーションを支援するライセンス収入なども順調に拡大している。同業のANYCOLORが東証プライムへ移行したことで同社にも同様の展開を期待したい。
新NISAによる恩恵が期待されるウェルスナビにも注目だ。楽天証券の楠雄治社長が14日、2024年に入ってからの新規口座開設数が前年同期比3倍程度に拡大していると明らかにするなど、新NISAの金融業界への影響は目覚ましい。2021年末に米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が立ち上がってから為替を中心に市場の変動率が高まった結果、先行き不透明感が増したことで同社サービスの拡大ペースが鈍化する時期があった。しかし、昨年からは同社開催のセミナーで為替よりも新NISAに関する質問が多くなるなど環境は好転してきているもよう。実際、新NISA対応のために経営資源を集中させた結果、22日には2023年12月期業績予想を大幅に上方修正した。2024年12月期の業績見通しも期待できそうだ。
■カバー株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『IPO株ココだけの話』」
市場に利益もたらした「2023年ベストIPO」決定!
前年と同様、当コラム独自の「2023年ベストIPO」を決めたい(「2022年ベストIPO」は昨年1月20日号参照)。選定基準は「市場にもたらした利益の大きさ」とし、上場時に販売した公開株全体の価値が現時点でどれだけ増加したかを算出した(算出方法は下表欄外の注釈を参照)。
トップは10月25日上場のKOKUSAI ELECTRIC。公開価格1840円で、公募・売出規模は1245.2億円だった。一方、現値3785円で算出した公開株全体の現在の価値は2561.5億円となり、1316.3億円も増加した。それだけ幅広い投資家に恩恵をもたらしたと言えるだろう。同社は半導体製造の前工程で、数十枚以上のシリコンウエハーを一括処理できる「バッチ成膜装置」などに強く、半導体の複雑化や3D化(3次元積層)で活躍が期待される。2022年のソシオネクストに続き、半導体関連企業がトップとなった。
KOKUSAIに加え、2位の楽天銀行、3位のカバーと、上位には初値後も株価を大きく伸ばしている銘柄が多い。これらは大型IPOで意識されやすい、株式需給(売りと買いのバランス)への懸念を打ち返した「実力銘柄」だ(公募・売出規模が大きい=公開株が多いほど換金売りが出やすい)。
初値対比で現値の値上がり率が特に高いのは、7位のジェイ・イー・ティ(+154.1%)や6位のGENDA(+100.1%)。アミューズメント施設運営のGENDAはM&A(合併・買収)を活用して急拡大中だ。また、8位のQPS研究所は公募・売出規模が約40億円とさほど大きくなかったにもかかわらずランクインしてきた。同社は4位のispaceとともに宇宙関連ベンチャーのIPOとして話題になった。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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