日経平均株価は過去最高値をあっさり更新し、4万円の時代に突入
日経平均株価は744円高となり、4万円台乗せ間近に―。
先週のコラムにおいて、日経平均は1989年12月29日に付けた3万8915円を抜き、過去最高値を更新して3万9098円となり、「2024年2月22日にとうとう歴史的瞬間の日が来た」と述べた。実に34年2カ月もの長い長い時間を要して「私にとって右肩下がりの証券人生にピリオドを打つ瞬間」でもあった。先週金曜日には744円高となり終値は3万9910円。わずか1週間で4万円台乗せ間近のところまで来た。凄まじい躍進ぶりである。
金曜日夜間の先物取引ですでに4万190円まで上昇したため、今週の寄り付きから4万円台に突入することになる。夢の4万円時代。わずか2.5%の株価上昇で日経平均は1000円も上昇する世界。5万円達成もあっと言う間に来そうだ。日経平均自体が値がさ株と言える。
GPIFの2023年の収益は34兆3077億円。年間ベースで過去最高を記録
さて、今回のテーマは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。2023年の収益が34兆3077億円のプラスとなり、年間ベースとしては過去最高を記録した。2022年末に189兆円だった運用資産額は2023年末に224兆円となり1年間で約2割増加した。資産別の増加額は外国株式が14兆2973億円と最も多く、次に国内株式が12兆8773億円と続く。円安・ドル高による外貨建て資産の評価額も上昇した。
GPIFは将来世代のための年金積立金を運用している。高齢者への公的年金給付の財源は勤労者からの保険料収入と国庫負担で9割が賄われている。そして残りの1割が年金積立金から賄われる。年金財政の補完的な役割との位置づけだが、運用収益の積み上がりは年金財政基盤の安定につながる。
GPIFの運用方針転換が奏功し、運用資産額、収益力とも世界トップクラス
GPIFは従来、安全重視で国内債券を中心とした資産配分で運用を行ってきた。だが、国債利回りが極端に低下し「年金財政上必要な運用利回りを確保できない」との結論を下し、アセットアロケーションを「国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に25%ずつ均等に投資する」とのスタイルに改められた。これが奏功して大きなリターンを叩き出せるようになった。
世界の年金基金におけるGPIFの地位は堂々の第1位である。2番手がノルウェーのGovernment Pension Fund(政府年金基金)、3番手が韓国のNational Pension(国民年金公団)である。先ほど述べたように2023年末のGPIFの運用資産額は224兆円で年間リターンは34兆円。年率で19%ものリターンを出し34兆円も稼いでいる年金基金は他にない。世界で一番稼ぐ年金基金、それが日本のGPIFである。2001年からスタートした累積運用収益は132兆円に達している。もの凄い金額だ。
残念なメディアの偏向報道。四半期成績が少しマイナスで責任論を大騒ぎ
運用成績は四半期ごとに開示されるが、わずか3カ月の運用成績が少しでもマイナスだと「GPIFの運用がマイナス」などと大々的に報道し、「年金支給額が減らされる!」「何でマイナスの運用なんかしているんだ!」「責任者出てこい!」との世論が毎度起こるが、2023年のような順調な成績だと小さく報道されるだけである。メディアは国民の不満や不安を煽ることばかりに躍起で、バイアスをかけずもっと公平な報道ができないものだろうか。私はいつもそう思う。
ここから重要な話になるが、GPIFは「国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に25%ずつ均等に投資する」というルールで運用していることは述べた。4つの金融商品はそれぞれ違う動きをするため、ほったらかしていると投資比率が25%から次第に乖離してバラつきが生じる。それを是正するのがリバランスという元のウェートに戻す作業だ。毎四半期ごとに丁寧に行われる。
GPIFの大規模なリバランス売りが実行されると、株価は暴落する?
「私が投資を始めてから起きた大規模なリバランス(去年の6月末と9月末)の際は、太田先生からリバランス売りだと教えていただくまで理由が分からず、不安になった経緯があります」とのコメントが会員から寄せられた。2つの質問を受けたので、皆さんとも共有したい。
①リバランスの規模はどこかのサイトで事前に公開されるのでしょうか?
②今年に入ってから日経平均は約17%上昇、米国株は約3.4%の上昇なので、この状態のままだと3月末のリバランスでは日本株が売却されると思っていますが、先生はどうお考えですか?
まず①については事前に公開されることはない。機関投資家が「これから○兆円売りますよ」などと対外的に手の内を明かすことなどありえない。
3月末から4月初めにリバランス売りが想定されるが、市場への影響は軽微
②については3月末から4月初めに行われる可能性が高い。直近の運用資産割合(2023年12月末)は国内債券58.3兆円(25.77%)外国債券55.3兆円(24.44%)、国内株式55.8兆円(24.66%)、外国株式56.9兆円(25.14%)となっている。各プロダクトのリターンを考慮してリバランスさせると、国内株式は2兆円程度の売りが必要と試算される。
「2兆円は大きい!」と思うかもしれないが、直近では1兆5000億円前後の売りを出しており、今回もほぼ同じレベルである。もちろん1日で売り切ることはなく、市場へのインパクトを考慮しながら売却する。最近は相場が活況だ。東証プライム市場の日々の売買代金は5兆円を超え、仮に5日間で売却すれば1日あたり4000億円。全体の売買代金の10分の1程度で収まるため市場への影響は軽微だと考えている。
マーケット参加者の心得としては、このような売りに気を取られることなく、淡々と企業に向き合って株式投資を考えていただきたい。GPIFのリバランスはあくまでテクニカル的な売り圧力の一部に過ぎず、これによってマーケット動向が決まるわけではないからだ。
8週連続最高値の「勝者のポートフォリオ」。極意を6日セミナーで伝授
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」は8週連続で過去最高値を更新した。投資戦略が的確に決まっており好調だ。
3月6日(水)20時より毎月恒例のWebセミナーを開催する。テーマは「日経平均史上最高値更新後の投資戦略」。投資戦略だけでなく本コラムではお話できない個別銘柄やテンバガー(10倍株)などの話も満載。会員限定だが10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加できる。締め切りはWebセミナー当日の14時まで。15時にセミナーのURLを配信する。毎回300名を超えるビッグイベントであるが、太田流『新NISA活用法』のスペシャル講義も完結し、このところ本当に多くのお申し込みを頂いている。資産運用になかなか踏み出せていない読者も多くいると思う。ぜひ「勝者のポートフォリオ」を活用し、大事な第一歩を踏み出していただきたい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる
「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!
老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス。週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!