「勝者のゲーム」と資産運用入門

賃上げ春闘炸裂、3月のマイナス金利解除が確実視。デフレ脱却しインフレ時代へ。株式相場の好調続く太田忠の勝者のポートフォリオ 第128回

2024年3月19日公開
太田 忠
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日本製鉄の14%を筆頭に労組要求を上回る賃上げ回答が大手企業で続出

 日本製鉄は労組要求を上回る14%の賃上げを発表―。

 先週3月13日の水曜日、2024年の春季労使交渉の集中回答日を迎えた。デフレ脱却からの鍵を握る賃上げ交渉は大きな注目を集めていたが、トヨタ自動車など大手の主要製造業の8割が労働組合側の賃上げ要求に対して満額回答やそれを上回る回答をした。中でも耳目を引いたのが日本製鉄の賃上げである。要求の3万円に対して、5000円上回る3万5000円を回答。賃上げ率は14.2%となった。「今後の生産性向上を前提とした将来に向けた人への投資だ」と会社側は説明。初任給も引き上げ、大学卒で4万1000円増の26万5000円、高卒で3万円増の21万円に引き上げた。重厚長大企業がここまで賃上げするとは驚きである。

 トヨタ、日産、川崎重工業、日立製作所、パナソニックHD、信越化学工業など、日本を代表する多くの製造業が連合の掲げる賃上げ率の要求方針「5%以上」を超える回答をした。コロナ禍後の経済正常化で人手不足感の強い外食でも高水準の回答が相次いでおり、王将フードサービスは要求を大きく上回る11.5%で妥結、ゼンショーHDも12.2%で妥結した。32年ぶりの高水準となった2023年春季交渉を超える勢いである。2023年の賃上げ率は1000人以上の企業で3.6%だったが、物価高が持続し賃金の伸びが追いていないのが現状だ。実質賃金は2024年1月まで22カ月連続で前年同月を下回っている。2024年の力強い賃上げで実質賃金がプラスになるかどうかが今後の注目点である。

中小企業の賃上げ率も4.4%と高水準。パート時給なども引き上げの動き

 この記事をちょうど書いていた時に連合の2024年春季労使交渉の第1回回答の集計が出た。賃上げ率は平均5.28%と33年ぶりの高水準、注目の中小企業の賃上げ率も4.42%と32年ぶりの高い水準に達した。賃上げは定期昇給(年齢で定期的に昇給する分)とベースアップ(新たに引き上げられる分)を合計した数字だが、ベースアップも3.70%に達した。これは非常に喜ばしい結果である。パートやアルバイトの時給も昨今、大幅引き上げの動きが出ている。

 過去30年の日本は物価も賃金も上がらず、「成長なし」「現状維持」「希望なし」という冬の時代であった。私たちの仕事や暮らしぶりは骨抜き状態に甘んじていた。だからこそ、日本の国際的な地位がどんどん低下する結果を招いた。当然と言えば当然である。

 ところが、今回のコロナ禍での経済活動停止からコロナ禍後の経済活動再開による欧米のインフレ状況が日本にも波及し、円安というマイナス面をもたらしつつも日本がデフレから脱却し、インフレの世の中になるという構造転換が起きている。「賃金上昇→消費増→値上げ→企業収益アップ→賃金上昇→消費増→値上げ→企業収益アップ…」という好循環が始まったと言える。これは日本経済が活性化して「成長」「現状打破」「大いなる希望」の世の中になることを意味する。賃上げできる企業が生き残り、能力の高い人がどんどん稼ぎ、それが社会全体に好影響を及ぼす世界に変わる。

3月19日開催の日銀金融政策決定会合で金融政策変更は確実な情勢

 だが、こうした好循環は米国をはじめとする先進国では普通に起きていることだ。日本だってかつてはそうだった。高度成長期には大きな賃上げが起こり、消費は増え、値上げが起こり、企業収益が拡大した。むしろデフレ時代の日本ほうが世界的な歴史で見ても特殊だったと言える。

 さて、今週は日銀の金融政策決定会合が開催される。結果は3月19日火曜のお昼頃に発表され、夕方には植田和男総裁の会見が開かれる。これまで見てきたように、大きな賃上げによって日銀が目指す「2%の物価目標」を持続的・安定的に達成できる環境は整った。かねてより日銀は今年の春闘における賃上げ動向を重視し、植田総裁は「大規模緩和策の修正を判断する上で賃金と物価の好循環を確認する必要がある」「春闘の動向が大きなポイントになる」との考えを示してきた。3月19日に金融政策の変更がなされるのが確実な情勢だ。

 最大のポイントはマイナス金利の解除である。現在の短期の政策金利はマイナス0.1%。世界で唯一のマイナス金利政策を取っているのが日本である。「マイナス金利なら銀行にお金を預けると利息をもらうのではなく、預金者が金利を払うことになるのではないか?」と思う方がいるかもしれない。でも実際は違う。日銀のマイナス金利政策は金融機関が日銀に預ける当座預金の一部に対してマイナス0.1%の金利を適用する仕組みであり、我々預金者を対象としているわけではない。あくまで金融緩和政策の一環だ。そのマイナス0.1%の金利が修正されて0.0%になる案が有力である。日銀が政策金利を引き上げるのは2007年2月以来、実に17年ぶりだ。日本の金融政策はようやく正常化され「金利ある世界」に転換する。インフレ時代において大規模金融緩和はインフレを加速させる間違った金融政策だ。

マイナス金利解除とあわせてYCCやETFの買い入れなども撤廃か

 そして、マイナス金利解除とあわせて大規模緩和の柱となってきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃されると思う。現在は長期金利の上限のメドを1%としているがもはや意味がない。ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れも終わることになるだろう。

 先週のコラムで「3月は日銀のマイナス金利解除とGPIFのリバランス売りがマーケットを下落させるネガティブ要因として考慮すべきイベントである」とコメントした。3月14日木曜あたりから機関投資家によるリバランス売りが出始めているとの観測がなされている。テクニカル的な動きには惑わされないようにしていただきたい。あくまで一過性のものであり、マーケットを下落トレンドに導く要因にはならない。4月からは引き続き、先高観の強い相場展開が予想される。

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週は10週ぶりに連続での過去最高値を更新とはならなかったが、投資戦略が年初から的確に決まっており好調だ。

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

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