「勝者のゲーム」と資産運用入門

日経平均4万円達成も、3月マイナス金利解除が浮上。
GPIFリバランス含めて調整あるも押し目買いの好機。
海外投資家の買い意欲旺盛で、先高感の強い展開続く太田忠の勝者のポートフォリオ 第127回

2024年3月12日公開(2024年3月11日更新)
太田 忠
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日経平均株価は最高値更新からわずか6営業日で初の4万円台乗せ!

 日経平均株価は初の4万円台乗せ。史上最高値からわずか6営業日で達成―。

 先週3月4日の月曜日。日経平均株価は198円高の4万109円にて取引を終えた。取引時間中としても終値としても初の4万円台乗せである。先週のコラムにおいて「すでに金曜日夜間の先物取引において4万190円まで上昇したため、月曜日の寄り付きから4万円台に突入する」と私はコメントしていたが、本当に現実のものとなった。2月22日に3万9098円の史上最高値を付けてからわずか6営業日というスピードでの大台達成である。

 夢の4万円台。たった2.5%の株価上昇で日経平均が1000円も上昇する世界であり、5万円達成などあっと言う間に来そうだ。日経平均自体が値がさ株になったと言える。私がFM軽井沢で自分のラジオ番組『軽井沢発!太田忠の経済・金融“縦横無尽”』がスタートしたのが2014年12月7日。今からおよそ10年前のことだ。当時の日経平均は1万7920円。私の証券人生は1988年4月にスタートし、翌年の1989年12月29日の最高値3万8915円をピークに右肩下がりだったこともあり、日経平均に対するイメージは2万円程度というのが正直なところだ。だから3万円台になっても今一つピンとこなかったが、今や4万円になったのだ。「時代は変わった」という現実をまざまざと見せつけられている。そう言えば、過去のバブル時代の高値をリアルに経験していない人がゴロゴロしていることにも戸惑うのだが…。

日経平均が4万円台と2万円台では同じ1000円下落の意味はかなり異なる

 日経平均が4万円の大台に乗せて3日後の3月7日には492円安の3万9598円まで下落。前日の米国高の流れを引き継いで一時は381円高となる4万472円まで買われていたが、一転して大量の売りが出て492円安となった。高値と終値の差は873円にもなる。

 「最高値から1000円急落!」とテレビニュースで取り上げられているのを見てビックリした。専門家と称する人が「非常に大きく下げましたね。かなり大きな日本発のマイナス材料が出てきました」とインタビューに答えているのを見てさらにビックリした。873円は2.1%の下落幅である。873円という絶対値で見るから「急落」との印象を受けるが、下落率で見れば大したことのないレベルである。日経平均自体が「値がさ化」していることによる「まやかし」のようなものだ。日経平均が2万円であれば1000円の下落は大きいが、4万円の今は下落の意味がかなり違う。メディアはおそらく今後「今日の日経平均は1000円高!」「1000円安!」という大げさな切り口で煽ってくると思うので、皆さんは冷静に判断して欲しい。

 さて、専門家と称する人が答えていた「かなり大きな日本発のマイナス材料が出てきた」とは一体何を指すのだろうか? それは日銀によるマイナス金利解除が4月ではなく3月の金融政策決定会合でおこなわれるのではないか、との市場観測が急に高まったことを指している。

米利下げは6月頃に遅れる一方、マイナス金利解除は前倒し3月に現実味

 第118回のコラムで私は次のように述べた「今年のポイントは何と言っても日米の中央銀行の金融政策転換が最重要」「すなわち、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めから金融緩和への転換、そして日銀のマイナス金利から金融正常化への転換である」と。FRBの利下げは当初は3月頃と見られていたが、後ずれする形で6月頃というのが今のマーケット参加者の見方となっている。一方、日銀の金融正常化の動きは当初は4月頃という予想が支配的だったが、こちらは3月に前倒しされるという見方が急速に高まっているのだ。

 実は3月7日は、日銀の中川順子審議委員が島根県金融経済懇談会で「賃金と物価の好循環が展望できる」と発言。これを受けて3月の金融政策決定会合(18日~19日の2日間開催、19日に金融政策の結果発表)でマイナス金利を解除するとの見方が強まり、これまで株高を牽引してきた半導体株が大きく値下がりし、相場全体に売りが波及した。

マイナス金利解除でも市場への逆風は一時的。むしろ押し目買いの好機

 過去17年間一度も利上げされたことがない日本。17年ぶりに利上げされるとなると、相場の大きなクラッシュを避けるため、手の込んだ伏線を張る必要がある。2月29日の滋賀県金融経済懇談会で高田創審議委員が「2%の物価安定目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」と述べた日銀幹部の発言が大きく注目されたが、今回の中川氏の発言もその地ならしと言える。それからもっと重要なのが、植田和男総裁の重要発言だ。2月22日の衆議院予算委員会で「日本経済はデフレではなくインフレの状態にある」と述べたのだ。日銀総裁が対外的にインフレ発言したのは初めてである。これはまさに「マイナス金利解除」の条件が整っていることを示唆したものだ。

 日銀が金融正常化に向けた政策変更を行なえば「利下げを視野に入れ始めた欧米と逆行し、日本株には逆風ではないか」と誤解する向きが多いが、私は次のようにコメントしてきた。「日銀が金融正常化を行なえば当然、日本の金利は上昇するため株式市場には逆風」「だが、それはあくまでも一時的なこと」「日本株も含めて世界の株式市場の方向性を決めるのは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策であり、日銀はFRBのような急速な金融引き締め政策は行わない」「日本の場合はあくまでもマイナス金利からの脱却、すなわち金融正常化に向けたステップを踏むだけであり日本経済にはプラスになる」と。結論は、FRBが利下げを行い日銀が金融正常化すれば、日本株は上昇するのだ。とても重要な点だ。

下落トレンドは考えにくい。海外投資家の積極的な買い意欲は今後も続く

 今年は干支のベストパフォーマー辰年。私が還暦を迎える年でもある。アノマリー通り昨年末の3万3464円から「昇龍の如く」上昇して4万円台乗せとなった。だが、一方通行的な上昇相場はさすがに疲れる。「なかなか押し目がなくて、買えません…」という個人投資家からの悲鳴もたくさん届いている。「3万7000円台くらいまで突っ込むと面白いな」と個人的には考えている。そのほうがいろいろとチャンスが増えると思う。

 3月は日銀のマイナス金利解除とGPIFのリバランス売りがマーケットを下落させるネガティブ要因として考慮すべきイベントだ。でも、これらは所詮一過性のものでマーケットを下落トレンドに導く要因にはならない。引き続き先高観の強い相場展開が予想される。その最大の原動力が海外投資家による積極的な買いだ。2月の現物株の買越額は9725億円で、年初から3兆419億円もの買い越しとなっている。経営効率の改善、堅調な企業収益、割安感、コーポレートガバナンス変革などが注目されている。何よりも世界の主要株式市場で最もパフォーマンスが好調なのが日本市場であり「日本株を買え!」の流れとなっている。グローバル投資家において、日本株の組み入れ比率はいまだにアンダーウェートとなっており、まだまだ日本市場への資金流入は途切れそうにない。

先日開催のWebセミナー参加者は過去最多。次回4月3日開催を見逃すな!

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をしている「勝者のポートフォリオ」。9週連続で過去最高値を更新した。投資戦略が的確に決まっており好調だ。

 先週の水曜日、3月6日20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『日経平均史上最高値更新後の投資戦略』。平日夜にもかかわらず319名もの参加となり過去最多だった。Q&Aも含めて22時半に終了。すでに会員ページのアーカイブでWebセミナー動画をアップ済だ。毎回、セミナーの冒頭で人生を豊かにするためのお話をしているが、今回は「お金は使えば使うほど増える」。「何だ、それは?」と思われるかもしれない。多くの人が気づいていないお金の法則だと思う。どうすればこのようになれるのか? その肝となるポイントもお話させていただいた。すべて実体験に基づいたリアルな内容である。こういう話はWebセミナーでしか聞けない。次回は4月3日(水)20時からの開催予定である。

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。

 

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