【1】今日の株式相場早わかり!
マイナス金利解除見通しと報道、反動で円安・株高
日経平均株価は大幅反発! 上げ幅は1000円を超えた。15日の米国市場では主要株価指数がそろって下落。直近発表された物価指標が市場予想を上回ったことで、早期利下げへの期待が後退。金利の上昇(債券価格は下落)が続くとともに、ハイテク株を中心に売り優勢となった。一方、日銀をめぐっては週末に、18~19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除する見通しと報じられた。ただ、すでに政策修正観測が強まっていたため、報道を受けて反動的な動きが広がったようだ。為替相場は一時1ドル=149円台へと円安に振れ、日経平均株価は上げ幅を大きく広げる展開となった。ホンダとEV(電気自動車)での提携を検討すると正式発表した日産自動車、それに半導体関連株などが買われた。
日銀会合の結果は明日昼ごろに伝わる見通し。また、今週19~20日には米国でも連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、「中銀ウィーク」といった様相だ。決定内容や市場の反応を注視したい。
【日経平均】39740.44円↑↑(+1032.80円)
【グロース250】740.45↑↑(+18.97)
【NYダウ】38714.77ドル↓(-190.89ドル、15日)
【ナスダック】15973.174↓(-155.356、15日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
「資本コスト」って何? 好事例の企業は株価良好!
東証が2月1日に「投資者の視点を踏まえた『資本コストや株価を意識した経営』のポイントと事例」を公表してから、およそ1カ月半が経った。東証の要請は日本企業の経営改善を後押しするものと期待されているが、実際に好事例として紹介された企業は市場からの評価が高いのか、この機会に株価パフォーマンスで確認しておこう。また、事例集にこそ挙がっておらずとも、どういった取組みを行っている企業が有望かを考える一助となるだろう。
そもそもキーワードとして頻出する「資本コスト」だが、これは簡単に言えば「株主として会社にお金を預ける以上、最低限求めたい見返り」のことだ。その代表的な指標としては、株主から預かったお金でいかに効率的にもうけたかを示す「自己資本利益率(ROE=当期利益÷自己資本×100)」が用いられ、一般的な要求水準は「8%」とされる。もっとも、事業の不確実性が高いなどの理由があれば、株主はより大きな見返りを求める(=資本コストが上がる一方、株価が下がる)ため、ROE8%というのも一般的な水準に過ぎない。
取組み例の記載は専門用語が多く難しいが、上記の説明を踏まえて表中の赤字のポイントを見てもらえれば、より理解が深まるだろう。持続可能な成長施策、持つべきお金の適正水準の把握や余剰分の還元、リスクの丁寧な説明などが資本コストを抑制し、株価の安定的な上昇につながるわけだ。実際、業況や市場の物色トレンドの影響もあるだろうが、好事例としてよく挙がる荏原製作所や出光興産は年初来の株価パフォーマンスが良好。IR(投資家向け広報)への評価が急上昇しているコンコルディア・フィナンシャルグループにも注目だ。
※東証「投資者の視点を踏まえた『資本コストや株価を意識した経営』のポイントと事例」はこちら
■荏原製作所株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
日米金融政策イベント、通過後は円安・株高か
先週の日経平均株価は-981.30円(-2.47%)。米雇用統計の結果がドル売り材料とされ、円相場が一時1ドル=146円台まで上昇したことで、週初から幅広い銘柄に売りが広がった。日銀による金融政策の正常化観測が高まる中、その後も上値の重い展開が続いた。
今週は18日(月)から19日(火)にかけて日銀の金融政策決定会合が開催されている。事前に観測報道が相次いだことで、マイナス金利の解除だけでなく、上場投資信託(ETF)の買い入れやイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)などの撤廃も大方織り込まれたと思われる。一方、植田日銀総裁は「不連続的な政策運営は避ける」としており、緩和的な金融環境は今後も継続する見込み。会見でさらなる政策修正を示唆するような発言は出にくいと考えられ、会合後は材料出尽くしによる円安・株高が予想される。
19日から20日(水)は米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、政策金利見通し(ドットチャート)が公表される。直近の経済指標でインフレの粘着性が確認され、連邦準備理事会(FRB)の想定する年内の利下げ回数が3回から2回に減る可能性が浮上している。ただ、こうした見方は概ね織り込まれつつあることに加え、パウエルFRB議長はもともと「インフレ率の鈍化は一直線ではない」ことを前提としている。利下げ時期が多少後ずれすることはあっても、今後の政策の方向性が利下げへの転換であることは現時点で変わりない。パウエル議長の会見が過度にタカ派的になることは想定しにくく、イベント後は安心感から株価の上昇が期待できそうだ。
今週も配当権利取りの動きが下値を支えることが予想され、高配当株やバリュー(割安)株を中心に底堅い動きに期待したい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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