【1】今日の株式相場早わかり!
米株高を受けて反発も、懸念くすぶり伸び悩み
日経平均株価は反発! 5日の米国市場ではNYダウが5日ぶりに反発した。3月の雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回り、利下げ観測の後退に伴い金利が大幅に上昇(債券価格は下落)。しかし、平均時給の伸びは予想並みとなり、株式市場では賃金インフレへの懸念が和らいだようだ。週明けの日経平均株価も米株高の流れを引き継いで反発スタートすると、上げ幅は一時600円を超えた。ただ、引き続き中東情勢や原油価格、それに米国の経済指標や金利の動向に対する懸念がくすぶっている。10日には米国の3月消費者物価指数(CPI)の発表も控えているため、買いが一巡すると様子見ムードが広がり、日経平均株価は上げ幅を縮めた。
売買代金上位ではソシオネクストや三井E&Sが大幅高となり、その他も全般堅調だったが、アドバンテストは軟調だった。決算発表した銘柄の動向はこの後の注目株コーナーで、今週の予定はコラムコーナーで確認してほしい。
【日経平均】39347.04円↑(+354.96円)
【グロース250】697.26↑(+6.22)
【NYダウ】38904.04ドル↑(+307.06ドル、5日)
【ナスダック】16248.520↑↑(+199.438、5日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
注目決算の安川電機が伸び悩み、キユーピー急伸!
先週末5日に安川電機が2024年2月期の決算を発表。今月下旬から3月期決算発表が本格化するが、安川電機は主力輸出企業の前哨戦との位置付けが強い。また、5日の決算発表銘柄ではキユーピーなどの株価も大きく動いており、これらの内容を確認しておこう。
安川電機の2024年2月期の営業利益は662億円(前の期比で3.0%減)となった。従来予想(700億円)を下回るも、想定線との声が多かった。業績の先行指標として注目される12~2月の受注高は、前年同期比で13%減った。一方、2025年2月期はロボット需要の回復などから、営業利益700億円(5.7%増)を見込む。もっとも、今日の株価は朝方に一時3%超上昇するも、その後マイナスに転じた。中国での景況感の改善などを受けて、決算発表前から株価が上昇していた上、業績予想の達成には不透明感が残るとみられているようだ。輸出企業の決算に対するハードルの高さを感じさせる株価動向となった。
株価が急伸したのはキユーピー。2024年11月期の営業利益予想を従来の255億円から310億円(57.4%増)に上方修正した。主原料である鶏卵価格の下落という追い風頼みでなく、価格改定による収益性の改善や海外での成長が高く評価された。株主優待の人気が高いだけに、市場での評価が向上したのはうれしい。また、沖縄の小売大手であるサンエーや不動産のトーセイも決算を好感した買いが入った。
なお、今日の取引終了後に決算発表したウエルシアホールディングスは、2024年2月期の営業利益が432億円(5.3%減)となり、従来予想(480億円)を下回った。2025年2月期は470億円(8.7%増)となる見通しだ。
■安川電機株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
物価指標と金利動向を注視
先週の日経平均株価は-1377.36円(-3.41%)。米国の景気・雇用関連の指標の上振れや原油市況の上昇を背景に、米長期金利が上昇したことが重石になった。また、国内では含み益のある保有株を売却する、期初特有の機関投資家による「益出し」も上値抑制要因となった。
米物価指標の大幅な上振れや地政学リスクを通じた原油市況の一段の高まりには注意が必要だが、相場は徐々に落ち着きを取り戻すと予想する。今週は米国で10日(水)に3月消費者物価指数(CPI)が発表される。連邦準備理事会(FRB)が重視する食品・エネルギーを除いたコアCPIは、前年同月比および前月比ともに2月から伸びが鈍化する見込み。予想通りの結果となれば、長期金利の低下に伴い株式市場に安心感が広がり、出遅れ感のあるグロース(成長)株などにも買いが入りそうだ。
10日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(3月開催分)、11日(木)には欧州中央銀行(ECB)定例理事会も予定されている。3月FOMCで示された政策金利見通しでは年3回の利下げ計画が維持され、利下げ観測の後退に対する過度な懸念が緩和。こうした経緯を踏まえれば、議事録は相場にポジティブなハト派的な内容が予想される。また、ECB定例理事会は、3月のユーロ圏CPIが予想以上に減速していることから、6月からの利下げ開始に向けた議論が進展すると予想され、こちらも金利低下を通じて株式市場を下支えしそうだ。
国内ではファーストリテイリングやセブン&アイ・ホールディングスなどの小売企業の決算が発表される。歴史的な賃上げによるデフレ脱却が期待される一方、物価上昇率を考慮した実質賃金のマイナス傾向は続いている。小売決算を通して国内経済の実態を確認したい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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