【1】今日の株式相場早わかり!
半導体株や商社株の上昇がけん引
日経平均株価は大幅続伸! 8日の米国市場で主要株価指数は高安まちまち。利下げ観測の後退を背景とした長期金利の上昇が重石になった。一方、前週に大きく下げた反動で景気敏感株の一角に押し目買いが入った。地政学リスクに対する警戒感がやや後退したほか、為替の円安なども追い風に今日の日経平均株価は上昇して始まった。また、米政府が台湾積体電路製造(TSMC)に対して工場建設を後押しする補助金を提供するとの報道を受け、半導体株の上昇が全体をけん引。米3月消費者物価指数(CPI)の発表を明日に控える中、積極的な買いは手控えられたが、午後に植田日銀総裁の「緩和的な金融環境を維持していくことが大切」との発言が伝わると、上げ幅を広げた。
個別では、レーザーテックなどの半導体株のほか、住友金属鉱山などの非鉄金属が大きく上昇。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイによる円建て社債の発行計画が伝わったことで、買い増しへの思惑から三井物産などの商社株も上昇した。
【日経平均】39773.13円↑↑(+426.09円)
【グロース250】701.55↑(+4.29)
【NYダウ】38892.80ドル→(-11.24ドル、8日)
【ナスダック】16253.955→(+5.435、8日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
4月の高配当株、ノバックやナレルグループなど
足元の株式市場は下値が固い一方、米国の物価指標や日米の企業決算の発表を前に様子見ムードが広がっている。動きづらさが意識される中、配当利回りの高さやPBR(株価純資産倍率)からみた割安感などは引き続き重要なファクターとなりそうだ。そこで、今日は4月末に配当を実施する高配当株に着目してみたい。
建築土木工事のノバックは配当利回りが4%を超える。建設資材価格などの高騰で2024年4月期の業績は厳しいが、1株あたり配当金は記念配当(40円)を含めた160円と前期比40円の増配を計画。現預金が豊富かつ自己資本が非常に厚いため、今後の株主還元強化に対する期待も高い。理科学機器などを手掛けるヤガミは2024年4月期の減収・営業減益に伴い今期は減配も、配当利回りは4%程度を誇る。同社も現預金と自己資本が非常に厚く、大幅な減配への懸念は乏しい。また、期末一括配当のため、配当権利取りの動きが強まりやすいだろう。
10月期決算で中間配当を実施する企業では、技術者派遣のナレルグループに注目。ここ数年、増収・営業増益が続き、自由に使えるフリーキャッシュフロー(純現金収支)も拡大中。健全な財務と好調な業績を背景にさらなる増配や自社株買いが期待される。
建築工事用の足場施工サービスのダイサンと産業機器メーカーのナ・デックスは共に3月に業績予想を下方修正しているが、PBRが1倍未満かつ自己資本比率が高いため、PBR改善を目的とした株主還元強化に期待したい。特にナ・デックスは3月に中期経営計画を発表し、2030年度ROE(自己資本利益率)10%以上などの数値目標を掲げる。戸建住宅開発会社のファースト住建や塗料メーカーのナトコもPBR1倍割れだが、自己資本比率が高い上、現預金も豊富なため、株主還元の強化に期待だ。
■ナレルグループ株価チャート/日足・6カ月
【3】火曜連載「ザイ編集部発! 週イチ『投資信託ニュース』」
投資信託の分配金「受取」と「再投資」どっちがいい?
投資信託には、「分配金を受取る」コースと「分配金を再投資する」コースを選択できるものがある(コース名は販売会社によって異なる)。どちらを選ぶのがいいだろうか。
これは、投資の目的による。小遣いのように定期的な収入を得るためなら、受取コースがいい。毎月分配型や隔月分配型を買う人は、その目的が多いだろう。しかし資産の成長を狙うなら、再投資コースを選ぶべきだ。文字通り、投資信託の運用で稼いだ利益が再投資され、複利効果で運用資産が雪だるま式に増えていくからだ。一方、受取コースは利益を分配金として払い出すので、運用資産の増え方は緩やかになる。投資信託によっては元本を取崩して分配金に回すものもあり、運用資産が減ることも。
再投資のデメリットは、いったん分配金を受取る扱いになるため、約20%の税金が引かれること。実際に再投資される額が目減りするのだ。したがって資産の成長を目指す場合は、分配金を出さない、または分配(決算)回数がより少ない投資信託のほうが有利だ。NISAでは分配金も非課税なので、このデメリットはない。ただし、再投資分も非課税投資枠を消費するので注意しよう。
もう一つ気を付けたいのは、購入したあとの受取コースと再投資コースの変更に関して、金融機関により対応が違う点。たとえばSBI証券は原則として自由に変更できるが、楽天証券はNISA口座では不可。またマネックス証券は「分配金受取コース」を選ぶと変更ができず、「分配金再投資コース」だと“再投資の停止”という形で分配金の受取も選択可能になる。auカブコム証券は変更自体が不可だ。変更が可能な金融機関でも、投資信託による違いがあるので買う前に確認を。
河野拓郎
ダイヤモンド・ザイ編集部 副編集長
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