【1】今日の株式相場早わかり!
米雇用統計前に様子見ムード
日経平均株価は反落! 6日の米国市場で主要株価指数は高安まちまち。欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で予想通り利下げに踏み切った。ただ、物価見通しを上方修正したほか、今後の利下げについて明確にしなかったことで、タカ派的に受け止められ、欧米の金利はむしろ上昇。その後、雇用関連の指標の軟化を受けて金利の上昇が一服したことで、ハイテク株の一角は上昇したが、半導体株は利益確定売りに押された。今日の日経平均株価は下落してスタートした後、上昇に転じる場面もあったが、今晩の米5月雇用統計の発表を前に積極的な買いは手控えられ、その後は上値の重い展開が続いた。
肥満症治療薬の試験結果が失望された塩野義製薬が急落した一方、空売りファンドによる不正会計の疑いの指摘に対し、改めて反論したレーザーテックは大きく反発した。なお、今晩の米5月雇用統計で雇用者数と平均時給の伸びはともに4月からやや加速すると予想されている。
【日経平均】38683.93円→(-19.58円)
【グロース250】621.64↑↑(+9.11)
【NYダウ】38886.17ドル↑(+78.84ドル、6日)
【ナスダック】17173.121→(-14.784、6日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
12月期高配当株、中間配当の権利取り活発化か?
今月末は12月期決算企業の中間期末に当たる。月後半にかけては次第に配当権利取りの動きが強まりやすいと考えられ、今のうちから関連株をおさらいしておこう。
特に注目度が高いのは新NISAで人気常連でもあるJTだろう。第1四半期時点での営業利益の進捗率は33.3%と高い。需要が旺盛な新興国を中心に販売数量が拡大したほか、値上げ効果も寄与。また、加熱式たばこ「Ploom X」が好調で、国内外で着実にシェアが拡大している。もともと今期の業績計画は保守的との声も多く、好調な第1四半期決算を受け、業績および配当予想の上方修正が期待される。
時価総額が大きいところではAGCやNIPPON EXPRESSホールディングスも入った。両社ともに足元の業績は芳しくないが、ともにPBR(株価純資産倍率)1倍割れの解消に向けて意欲的な経営計画を発表している。また、AGCは配当方針として株主資本配当率(DOE)3%程度を新たに導入し、安定的な配当を目指す方針。足元で好調な半導体用EUVマスクブランクスのほか、出遅れているライフサイエンス事業の中長期的な成長期待も高く、新NISAでの長期保有とは相性が良さそうだ。
フルサト・マルカホールディングス、ニチリンは資本コストや株価を意識した経営方針を発表。また、フルサト・マルカと西本Wismettacホールディングスは株主優待を拡充し、各社がPBR1倍割れの解消に向けた努力を見せている。ピジョンは中国での少子化とうい負のイメージが強いが、コロナの影響もあって直近の中国の少子化ペースはあまりに急速だったため、株価調整が行き過ぎている面もある。昨年の中国の婚姻数が大きく回復していることもあり、株価の底入れに期待したい。なお、6月末の権利付き最終売買日は26日(水)である。
■JT株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
「新クールジャパン戦略」アニメや日本食に期待!
政府の知的財産戦略本部が4日、「新たなクールジャパン戦略」を公表した。「コンテンツ(アニメや映画・ドラマなどの実写)の世界人気が本格化」→「日本ファンの拡大・深化(体験価値の提供)」→「食の世界人気が一般化」…という好循環の回転で、日本のブランド価値を引き上げる。クールジャパン関連産業で、経済効果として2028年までに30兆円以上、2033年までに50兆円以上の規模(2023年は約19兆円)とすることを目指す。
これを受け、4日の取引ではアニメ制作のIGポートや、傘下にアニプレックスを持つソニーグループなどが強い値動きを見せた。折しも3月には、サウジアラビアで世界初となる人気アニメ『ドラゴンボール』のテーマパークが建設されるとの発表があった。広さは東京ドーム10個分にあたる約50万平方メートルにも及ぶという。東映アニメーションにとって注目材料となるだけでなく、日本アニメの人気への期待が改めて高まる出来事と言えそうだ。
また、日本の「食」は最大の来日動機になっているといい、日本ファンの拡大に向けて、日本食の体験や日本産の食品の購入を促進する。外食各社は市場拡大が見込まれる海外への店舗展開を加速しており、ラーメン店「一風堂」の力の源ホールディングスはすでに海外店舗売上が国内を上回る。こうした動きは日本食の海外発信を強めるものとして期待できそうだ。
アサヒグループホールディングス傘下のアサヒビールは、訪日外国人向けグルメプラットフォームを運営するテーブルクロスと協業(国産ウイスキーの強化について6月6日号参照)。ラウンドワンは、日本食を輸出する新事業「ラウンドワンデリシャス」の行方が注目されている。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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