【1】今日の株式相場早わかり!
続落、取引時間中の最高値を付けるも失速
日経平均株価は続落! 祝日明けとなった5日の米国市場で主要株価指数はそろって上昇し、ナスダック総合指数とS&P500指数は最高値を更新した。6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が予想以上に増加したが、4~5月分は下方修正された。さらに失業率が予想外に上昇し、平均時給の伸びも鈍化したことから、利下げへの期待が高まった。ただ、今日の日経平均株価はもみ合う展開。後場の取引開始後には一時4万1112.24円(+199.87円)まで上昇し、取引時間中の最高値を付けたが、終値では3ケタの下落となった。先週までの大幅上昇で過熱感が意識されたほか、10日にかけて上場投資信託(ETF)の分配金捻出を目的とした売りが発生するとの観測も相場の重石となった。
売買代金上位では三菱重工業やソフトバンクグループが上昇したが、その他は全般軟調。川崎汽船など海運株の下げが目立った。米国では今週も金融政策の見通しを左右するイベントがあり、この後のコラムコーナーで確認しておこう。
【日経平均】40780.70円↓(-131.67円)
【グロース250】658.93↑(+1.48)
【NYダウ】39375.87ドル→(+67.87ドル、5日)
【ナスダック】18352.759↑(+164.457、5日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
注目決算の安川電機が下落、上昇した銘柄は…
先週末5日に安川電機が2025年2月期の第1四半期(3~5月)決算を発表。主力輸出企業の前哨戦に位置付けられる同社を中心に、5日に発表された決算と株価反応を点検しよう。今週は3~5月期の決算発表がピークを迎え、今月下旬からは4~6月期の決算発表が本格化する。日本株は年初来、大幅に上昇しているため、決算が株価を一段と押し上げる材料となるか探っていきたい。
安川電機の第1四半期営業利益は前年同期比32.4%減の111億円となり、市場予想(150億円あまり)を下回った。受注は前年同期比で1%減る一方、前四半期比では23%増加。産業用ロボットや工作機械に用いられるサーボモータは、半導体市場の回復が大きかったようだ。ただ、中国向けの回復が鈍いとされた上、ロボット事業でも利益率が低下するなど、全体として強弱入り混じる内容だった。決算を受け、今日の株価は-4.39%と軟調。ファナックも-2.61%と連れ安しており、中国の設備投資の影響を受ける企業は決算発表に向けて警戒感が先行するかもしれない。
同じく株価下落が目立ったのは、中華料理店「日高屋」のハイデイ日高。こちらは来店客の増加や営業時間の延長で売上が伸び、市場予想を上回る増益となった。それでも大幅な株価下落を強いられ、決算に対する期待のハードルは高そうだ。一方、医療機器のマニーや不動産のトーセイの株価は上昇した。マニーは白内障手術で使用される眼科ナイフや縫合用のアイレス針が好調。トーセイは通期業績予想に対する進捗率の高さが好印象だ。
なお、今日の取引終了後に決算発表したウエルシアホールディングスは、2025年2月期の第1四半期(3~5月)営業利益が前年同期比25.5%減の54億円となった。
■安川電機株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米CPIで利下げ期待さらに高まるか、決算発表もはじまる
先週の日経平均株価は+1329.29円(+3.36%)。米大統領選を巡ってトランプ前大統領の政権復帰の見方が強まる中、日米長期金利の上昇や円安が進み、景気敏感株やバリュー(割安)株を買う動きが加速した。4日には日経平均株価は3月に付けた史上最高値(4万888.43円)を更新。TOPIX(東証株価指数)も1989年12月に付けた史上最高値(2884.80)を約35年ぶりに更新した。
先週末に発表された米6月雇用統計では、平均時給の伸びが予想通りに鈍化。一方、失業率が予想外に上昇したほか、4月および5月分の雇用者数の伸びは大きく下方修正され、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ期待を高めた。今週はパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言がある。雇用統計の結果を受けてハト派的な発言が出れば相場の追い風になろう。また、米6月消費者物価指数(CPI)にも注目。全体では前年同月比+3.1%と5月(+3.3%)からの鈍化が見込まれており、予想通りとなれば利下げ期待がさらに高まりそうだ。
他方、週末には米国でJPモルガン・チェースなど主要金融機関の決算発表が始まる上、国内でも今月下旬からは主要製造企業の4~6月期決算の発表が本格化する。日米ともに株価指数が最高値圏にある中、これらの材料を確認する前に一段と上昇する可能性は低く、目先は様子見ムードが強まりそうだ。国内では今週、ファーストリテイリングなどの小売企業の3~5月期決算が一足先に発表される。株価指数が最高値圏にある一方、内需系銘柄の出遅れ感は強く、決算を受けてこうしたセクターにも買いが広がるかが注目される。また、今週は指数連動型ETF(上場投資信託)の分配金捻出に伴う売り需要が発生するが、事前に織り込み済みで影響は大きくないと思われる。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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