【1】今日の株式相場早わかり!
景気敏感株に売り、日経平均は一時4万円割れ
日経平均株価は3日続落! 18日の米国市場で主要株価指数はそろって下落。週間の新規失業保険申請件数が労働市場の悪化を示唆し、景気減速懸念が強まったことで、足元で強かった景気敏感株や中小型株に利益確定売りが広がった。米国株安を受けて日経平均株価は4万円を割り込んでスタート。景気敏感株が幅広く売られる中、一時は下げ幅を300円超に広げたが、4万円割れでは押し目買いも入り、前日比プラス圏に転じる場面もあった。一方、主要企業の4~6月期決算の発表などを前に積極的な買いは手控えられ、その後は節目の4万円を挟んだもみ合いが続いた。
本日朝方に発表された6月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコア指数が前年同月比+2.6%と日銀の物価目標である+2%を27カ月連続で上回ったが、市場予想(+2.7%)は下回った。個別では、決算が市場の期待値を下回ったディスコのほか、女川原子力発電所2号機の再稼働時期の延期を発表した東北電力が大きく下落した。
【日経平均】40063.79円→(-62.56円)
【グロース250】675.73↓↓(-14.44)
【NYダウ】40665.02ドル↓↓(-533.06ドル、18日)
【ナスダック】17871.223↓(-125.702、18日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
急落で話題の半導体株、今後の動向を考察
日経平均株価は史上最高値を付けた11日から2000円以上下落した。バイデン米政権による新たな対中規制強化方針などから、半導体株が崩れたことが一つの要因だ。足元で動きの激しい半導体株だが、前日は国内外で注目企業の決算発表があった。内容を精査しつつ、今後の動向を考察してみよう。
台湾積体電路製造(TSMC)の4~6月の売上高と純利益はともに過去最高を記録。7~9月の売上高計画は市場予想を上回り、通期の売上高計画や設備投資計画は上方修正された。一方、発表後の18日の米国市場での同社株価は小幅高にとどまった。ディスコの2025年3月期第1四半期(4~6月)営業利益は96.7%増の333億円と市場予想並み。売上高は第1四半期としては過去最高を記録した。一方、上期(4~9月)の営業利益計画は46.6%増の660億円と市場予想を下回った。為替前提を含めていつも通り保守的で、過度な懸念は不要だろうが、前日までに大きく下落していた株価は、今日は一段と下落した。
両社ともに生成AI(人工知能)向けの需要の旺盛さが確認できたが、決算後の株価反応は芳しくなかった。しかし、対中規制は依然から度々話題に上がっていたことで、売り材料とされるのは今更感もある。世界的な半導体供給網に中国企業が組み込まれていることを踏まえれば、米国も自国企業を苦しめるような貿易戦争に陥ることは避けたいはず。米6月消費者物価指数(CPI)の発表以降からすでに物色の変化が起きていたため、対中規制の話は利益確定売りの口実にされたに過ぎないともいえる。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は4日、2024年度から2026年度までの日本製半導体装置の販売は前年比2ケタ増が続く見通しを示した。物色の変化が落ち着きを見せれば、半導体株は再び盛り返すことが期待できそうだ。
■ディスコ株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
半導体から新興ITへ物色シフト? AI関連株
これまで株式相場の上昇をけん引してきた半導体関連株だが、足元で急失速している。バイデン米政権が対中半導体規制の強化を検討していると報じられ、東京エレクトロンなどへの影響は大きいとされている。また、米大統領選で再選観測が強まるトランプ前大統領が台湾の半導体産業への批判を展開し、先行き不透明感は当面ぬぐいづらそうだ。一方、日米で主要ハイテク企業の失速とともに中小型株が大きく上昇する場面も出てきて、この1週間ほど市場のキーワードは「ローテーション」となった。
AI(人工知能)普及を見越した投資も、主要半導体株から新興IT株へと徐々にシフトしていく可能性がありそうだ。日銀の6月の全国企業短期経済観測調査(短観)によれば、企業の2024年度のソフトウェア投資額は前年度比で14.4%増える計画だ。人手不足などを背景に、IT・デジタル技術を活用する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」需要は旺盛と考えられる。
一方、新興IT株はグロース(成長)株としての位置づけが強く、米国の利上げ転換が意識され出した2021年末ごろから、PER(株価収益率)の高さがネックとなって株価低迷が続いてきた。米国で利下げ期待が高まるとは逆に、日本では追加利上げ観測がくすぶるため、「新興株の上昇は一時的」との見方もある。ただ、長期にわたる株価低迷でPER水準が大きく低下した高成長株も多く、見直しの余地は十分にあるだろう。下表ではAI関連の新興IT株を挙げたが、特にSREホールディングスやPKSHA Technology、Appier Groupはアナリストからの高評価が多い。SREHDは今年に入り株価が大きく上昇しており、PKSHAやAppierも復調に期待したい。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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