【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 43,729.34 ▼0.59 (11/7)
NASDAQ: 19,269.46 △285.99 (11/7)
1.概況
米国市場は、高安まちまちとなりました。前日に史上最高値を更新したダウ平均は、11ドル安で取引を開始しました。特に前日に大幅上昇していた金融株や景気敏感株への利益確定売りが出て、一時88ドル安まで下落し、その日の安値を付けました。その後、米10年債利回りが下落に転じるなかで、長期金利の低下が支えとなり前日終値を挟んで一進一退の動きとなりました。そして、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利を0.25%引き下げることが決定されました。2会合連続の利下げで、金融緩和が米景気を支えるとの見方が改めて意識され、ダウ平均の下値を支えました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は記者会見で、「短期的には選挙は金融政策に影響しない」と述べ、インフレについては「かなり和らいできた」とし、米経済については「予想よりも好調」と述べました。今後の利下げ計画については、従来の「データ次第」の姿勢を維持し、概ね市場予想通りの内容であったことから、下値を支えながらも力強さには欠け、結局ダウ平均は1ドル安(0.00%)の43,729ドルとほぼ横ばいで取引を終えました。一方、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、長期金利の低下が相場を押し上げ、285ポイント高(+1.50%)の19,269ポイントで取引を終え、史上最高値を更新しました。また、S&P500株価指数も44ポイント高(+0.74%)の5,973ポイントで取引を終え、史上最高値を更新しています。
2.経済指標等
FRBは、11月6日-7日に開催したFOMCで、政策金利を市場予想通り0.25%引き下げました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比3000件増の22万1000件となりました。9月の米卸売在庫は0.2%減少し、8月の0.1%増(速報値0.2%増)から反転しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち8業種が上昇しました。特にコミュニケーション・サービスや情報技術、一般消費財・サービス、不動産が1%以上上昇しています。一方で、金融、資本財・サービス、エネルギーの3業種が下げ、特に金融は1.5%下落しました。
4.個別銘柄動向
米国市場では、ダウ平均構成銘柄のうち19銘柄が上昇しました。なかでも、インテル[INTC]は4.5%超上昇、ホームデポ[HD]、ボーイング[BA]、アップル[AAPL]は2%超上昇しました。そのほか、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]やユナイテッドヘルス・グループ[UNH]、アマゾン・ドットコム[AMZN]などが1%以上上昇しています。一方、11銘柄が下落し、昨日に大幅高となった金融株や景気敏感株の下落が目立ちました。ジェイピー・モルガン・チェース[JPM]が4%超下落したほか、アメリカン・エキスプレス[AXP]やゴールドマン・サックス[GS]、キャタピラー[CAT]は2%超下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、デジタルトランスフォーメーシ(DX)を強みとするIT企業のイーピーエーエム・システムズ[EPAM]が第3四半期決算で市場予想を上回る増収増益を達成し、通期の見通しも引き上げたことで、14.9%上昇しました。また、配車サービスのリフト[LYFT]は、第3四半期決算で、新機能の「プライス・ロック」が好調で、市場予想を上回る売上高と総予約額を達成し、22.8 %上昇しました。一方で、大統領選挙に勝利したトランプ氏が運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ[DJT]は6日に6%近く上昇したあと、7日の取引では23.0%下落しました。また、Tinderなどの出会い系アプリを運営するマッチ・グループ[MTCH]は第3四半期で減益となり、第4四半期決算の見通しを引き下げたことで、17.9%下落しました。
5.為替・金利等
長期金利は0.10%高い4.33%となりました。ドル円は、円高方向に展開し、152円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は、米国ハイテク株の上昇を受けて上昇してのスタートが予想されます。こうした状況の中、日経平均はドル円の動きをにらみながらの展開となりそうです。また、前日は米国株の大幅上昇にもかかわらず日経平均が下落したため、日本市場の地合いの弱さが意識される中で、本日上昇して取引を終えることで地合いが反転していくかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)
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