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「トランプ2.0」が進める政策により、世界は
NATOとBRICSという2グループへの分断が加速
米国では、11月13日に共和党が大統領職と議会上下両院の多数派を制する「トリプルレッド」を達成したことで、「トランプ2.0(第2次トランプ政権)」における減税や規制緩和などの選挙公約の実現可能性が一段と高まっています。
トランプ2.0は、足元でも強い米国経済を一段と強化する見込みですが、同時にインフレを再燃させるリスクもあります。例えば、不法移民1100万人を強制送還させる政策は、労働力の供給面からの賃金上昇圧力につながり、物価上昇要因となります。また、米国内の製造業や雇用を守るため、外国から輸入される製品に一律で10〜20%の関税をかけるなどとしているため、貿易相手国も米国からの輸入品に報復関税をかける可能性があります。
さらにトランプ2.0の政策は、ブロック経済化を加速させる可能性があります。ロシア軍が2022年2月24日にウクライナへの全面的な侵攻を開始して以降、世界はNATO(北大西洋条約機構)を中心とする欧米諸国と、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア)を中心とするグループとに、二分されている感じがします。
そのBRICSは10月23日、ロシアで首脳会議の全体会合を開きました。ロシアのプーチン大統領は会合で、食料価格の安定に向けた穀物取引所の創設を提唱したとのことです。今後、穀物だけでなく原油や貴金属など多種多様な商品を取り扱う取引所が創設されるようだと、BRICS経済圏は順調に拡大・発展していくかもしれません。
米国株式市場は、長期金利の上昇が主な要因となって
「トランプ・ラリー」が一服し、調整局面に突入!
米国市場ですが、11月18日のNYダウは3日続落し、前週末比55.39ドル(0.13%)安の4万3389.60ドルでした。一方、ナスダック総合株価指数は同111.69ポイント(0.60%)高の1万8791.81ポイントと5営業日ぶりに反発したものの、こちらも弱い動きが続いています。
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米国株については、どうやら「トランプ・ラリー」が一服し、調整局面入りしたようです。その主な要因は、米国の長期金利の上昇でしょう。
11月18日の米国10年債利回りは前日比0.03%低い4.41%で終えましたが、先週末の15日には一時は4.50%と6月以来の高水準をつける場面がありました。
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11月15日に関しては、10月の米・小売売上高が前月比0.4%増と市場予想の0.3%増を上回り、さらに9月分についても上方修正されたことが長期金利上昇のきっかけとなりました。堅調な個人消費でインフレが鎮静化せず、FRBの利下げが市場の想定よりも緩やかになるとの見方が強まったのです。
ちなみに、パウエルFRB議長は11月14日、講演テキストで「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」としています。
12月の日銀金融政策決定会合での利上げの確度が上がったことで、
株式市場において金融株への関心が高まる可能性が!
米国の長期金利の上昇を受け、為替市場では11月15日に一時1ドル=156円75銭をつけるなど、円の下落圧力が強い状況です。現在の円安について輸入物価への影響が大きいと日銀が判断した場合、12月18~19日開催の金融政策決定会合、または来年1月23~24日開催の金融政策決定会合で利上げが実施される見通しです。
ちなみに、11月15日に発表された2024年7-9月期実質GDP速報値は、前期比で年率0.9%増と市場予想の0.7%増を上回りました。これは「日本の景気は緩やかに回復している」という日銀の判断と一致しています。
なお、日銀は11月15日、公式サイトで「展望レポート・ハイライト(2024年10月)」を更新。そこでは「金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であるが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています」としています。
また、植田和男日銀総裁は11月18日、名古屋市内での記者会見において「10月会合から追加で得られたデータ、情報をベースに見通しやリスクを修正し、その時点で適切に判断する」とし、12月に利上げする可能性を排除しませんでした。つまり、政策金利を引き上げる姿勢を崩していません。このため、12月会合での利上げの確度は高まっていると認識しており、株式市場では会合が近づくにつれて金融株への関心が高まる可能性があります。
9月中間決算で今期の業績見通しが冴えなかった製造業や
中国向けの売上比率の高い銘柄は避けたほうが賢明
ところで、11月15日、時事ドットコムが「上場企業の業績に不透明感が漂っている。2024年9月中間決算は、車の認証不正や中国経済の弱さなどが製造業の重しとなり、純利益は全体で前年同期比4.9%減の19兆9021億円と、コロナ禍を経て続いてきた増益基調から一転、4年ぶりの減益となった」と報じています。つまり、円安メリットに対して中国経済のデメリットが勝っているため、製造業の苦戦が顕著なのです。
このため、発表済みの9月の中間決算において今期の業績見通しが冴えない製造業の銘柄に関しては、来期以降の回復が見通せるまで“アンタッチャブル”と考えています。また、中国向けの売上比率の高い銘柄に関しても、中国景気の先行きに明るさが見えてくるまでは避けたほうがよさそうです。
よって、今後の物色については、外部環境の影響を受けにくい内需関連株が中心になると見ています。具体的には、不動産、建設、倉庫、電鉄、そして金融業などです。
また、米国の長期金利が上昇し、国内でも金利上昇圧力が強まっているので、グロース系小型株は避け、低PER・低PBR・高配当利回りの条件を満たすバリュー系大型株を狙った方がよさそうです。
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そして、米国株が短期的な調整局面に入っている可能性が高いため、「米国がくしゃみをすると、日本が風邪をひく」という状況になっても大丈夫なように、資金管理を通常モードよりも厳しくすることを忘れないでください。
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