成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

トランプ氏が米大統領選に勝利! 注目度が高まるトランプ次期大統領の関税政策。関税を上げれば、アメリカ経済は良くなるのか?

2024年11月13日公開(2024年11月18日更新)
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 トランプ氏の大統領選勝利により、彼の関税政策への注目度が高まっています。

 関税を上げることは、アメリカ経済にとって良い政策なのでしょうか? そのことを検討するために、まず、世界貿易とグローバリゼーションの関係について考えてみましょう。

グローバリゼーションによって、企業は低コストで効率的な生産地を求めるようになっている

 世界貿易とグローバリゼーションの関係を理解するには、製品がどのようにして国境を越えて移動するかを知ることが大切です。

 グローバリゼーションによって、企業は低コストで効率的な生産地を求め、製品は最も費用対効果が高い地域で生産される傾向があります。

 こうした地域では、低コストだけでなく、クラスター化などの利点も享受でき、地域全体で効率と生産性が向上するのです。経済学者ポール・クルーグマンも指摘するように、特定の産業が一箇所に集まることで相乗効果が生まれ、コスト削減以上の利点が得られるとされています。

企業の低コストで効率的な生産地を求める動きによって、高コスト地域の労働者が職を失う結果になることも少なくない

 企業が低コストの地域に生産を移す理由は明確です。

 安価な労働力や効率的なサプライチェーンにより、コストを最小限に抑えることができ、消費者に低価格で製品を提供できるからです。

失業イラスト:いらすとや

 しかし、これによって高コスト地域の労働者が職を失う結果になることも少なくありません。

 たとえば、アメリカの製造業が中国や他の地域にシフトした例が挙げられますが、これはそれらの地域がより低コストな生産地だったために、そうなったのです。

 これによって、アメリカの製造業で失業した労働者が仕事を取り戻すのは非常に難しいでしょう。なぜなら、彼らはもはや最もコスト効果の高い生産者ではないからです。

 労働者がこういった社会的変化に対応するためには、単に関税を上げることを求めるのではなく、バリューチェーンの上位に移行し、より高い生産性を追求する必要があります。

 つまり、労働者はより付加価値の高い仕事に従事できるよう、教育や職業訓練を通じてスキルを向上させていく必要があるのです。

トランプ政権が計画している関税の導入は、アメリカ経済の長期的な利益に貢献するものとは考えにくい

 関税は一時的に国内産業を保護する効果があるかもしれませんが、それは長期的な問題解決策にはならないのです。

 そのため、トランプ政権が計画している関税の導入は、アメリカ経済の長期的な利益に貢献するものとは考えにくいです。

 関税によって、短期的には特定の産業を保護することができても、それはグローバル市場での競争力を根本的に高めるものではありません。クルーグマンも指摘しているように、グローバリゼーションの流れを完全に止めることは不可能であり、関税はその力を抑える一時的な手段に過ぎません。

 特に、グローバルな競争力が鍵となる時代において、企業は依然として低コスト地域を生産地として選び続けます。この現象は市場原理に基づくものであり、関税ではその根本的な流れを変えることはできません。消費者は安い価格を求め、企業はその需要に応えるための最適な方法を模索し続けるからです。

短期的な投資では、関税の影響を見極めてリターンを狙うことも可能だが、長期的な投資で関税の影響は限定的

 投資家にとっては、関税が短期的に特定の企業や産業に与える影響を見極めて取引を行うことも1つの戦略かもしれません。どの企業が関税の悪影響を受け、どの企業が関税の恩恵を受けるかを見極め、短期的なリターンを狙うことが可能です。

 しかし、長期的な投資においては、関税の影響は限定的であることを理解することが重要です。むしろ、関税の有無に関わらず、最も優れた企業に投資する方が、長期的なリターンを期待できるやり方でしょう。

 最終的に、グローバリゼーションの力に対抗するためには、関税ではなく、教育や技術訓練に投資することが必要です。こうして生産性と競争力を高めることこそが、持続的な経済成長を支える唯一の手段なのです。

※11/18(月)に初のYoutubeライブセミナーを開催します。メルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」の概要欄から参加可能です。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人で中国語、英語、日本語堪能。外資系資産運用会社・フィデリティ投信では中国株調査部長、日本株調査部長、ファンドマネジャーを歴任。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。米国株などで資産運用を助言するメルマガを配信中。

11月18日(月)20時~ ポール・サイ氏初のWEBライブセミナー開催!

テーマは『米大統領選後の米国&日本の株マーケットはどうなる?』。無料でどなたも参加できますが会員登録(月額7700円税込)すると後日アーカイブ視聴(登録後11日目から)可能です。


今日の注目株&相場見通し!!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

「株」全予測
人気株500激辛診断
優待年末年始

2月号12月20日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎新春特別企画
2024年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年

2025年も全力優待ライフ
◎第1特集
2年目NISAの必勝法!
112人のプロに聞いた!
2025年「株」全予測&儲け方

●日経平均は5万円へ!日本株の高値・安値予測
●生成AIブームも半導体は苦戦!
上がる株・下がる株
●国内利上げで銀行・金融が有望!
上がる業種&テーマ
●中央銀行の買いが継続!金(ゴールド)
●トランプ政権下でも下落傾向!原油
●ドル円は年後半に140円台に!為替
●オルカンの次に買う1本も!投資信託

◎第2特集
買っていい10万円株は97銘柄!
<2025新春>人気の株500+
Jリート14激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!》トヨタ自動車、ホンダ…など
強気に転換!》ソニーグループ…など
●儲かる株の見つけ方[1]旬の3大テーマ
通期で上ブレ期待/AI関連で恩恵他
●儲かる株の見つけ方[2]5大ランキング
PBRが低く改善に期待の株/アナリストが強気な株/配当利回りが高い株
●2025年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

【別冊付録】
増益割安株は1178銘柄
上場全3916社の最新理論株価

◎第3特集
トランプ政権下でどうなる!?
人気の米国株150診断
●S&P500指数をプロが大予測

●Big8を定点観測!GAFAM+αを分析!
●買いのオススメ株
トランプ株/高配当株
●人気の124銘柄を徹底診断
ナスダック/ニューヨーク証券取引所

◎第4特集
ザイクラブ拡大版!2024年はどうだった?
ザイ読者の悲喜こもごも&2025年の投資戦略
ザイ編集部員のプチ反省&自慢大会も!


◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報