2025年7月1日(火)、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した。

今回の放送では、日々の政治で市場が過度に反応するところを、うまく利用してポジションを作るのが投資手法の1つだという話題に。トランプ政権によるインフレや低金利の方向性が変わらないなか、現金を持ち続けると損する時代に入ってきたそうなので、さっそくチェックしていこう。
企業は関税の有無にかかわらず成長する。政治で下がった時は買いのチャンス!
番組は、アシスタントの木村カレンさんが、もはや番組の恒例行事ともなっている、ポールさんのヨットからの電話出演を紹介するところから始まった。
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ポールさんは番組出演時点で、在住するシアトルから近いベインブリッジ島に滞在しており、ヨットでアナコーテスという港町に向かう途中だそう。そこで、独立記念日を祝う花火やパレードといったイベントが開催され、友人と交流する予定のようだ。
番組MCの渡部一実さんが、1年のうち1カ月以上はヨットの上にいるというポールさんの話を聞き、「さすが海の男です」と褒めつつ、マーケットの話題を切り出す。S&P500が足もとで非常に強い動きを見せていることをどう見ているのか、ポールさんに質問した。
「中東情勢が穏やかになり、停戦合意も維持できていることが、市場に安定感を与えている」とポールさん。トランプ政権が関税に少し慎重な姿勢を見せていること、AI関連株の回復、悪くない企業決算、強い労働市場、ミシガン大消費者信頼感指数の半年ぶりの大きな改善などのプラス要因に加え、減税法案が刺激策となり、株式市場を支えているようだ。
すると渡部さんが、トランプ政権の関税発動で2月以降、株価は下がったけれど、結局、年初以上に回復してきており、関税など「政治で下がった時は買い」という方法が効いた半年だったと振り返った。

関税は長期の視点で見ると一時的である一方、企業は関税の有無にかかわらず成長するため、政治で下がった時は買いのチャンスなのだとポールさんは解説してくれた。
また、トランプの減税法案については、インフレや低金利に持っていきたいというこれまでの方向性と変わらないため、あまり気にする必要がないそう。
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中国が台湾を攻めたり、第三次世界大戦になりそうであれば、大きな変化になるものの、そのような変化は頻繁に起きないし、日々の政治で市場が過度に反応するところを、うまく利用してポジションを作るというのが投資手法の1つとのことだった。
時間をかけたインフレで貨幣価値を引き下げるのが、財政赤字への対処の1つ。現金を持っていると損する時代に入ってきた
次は、FRB議長人事の話題に。
トランプ政権は金利を下げる方向性を出したいため、パウエルFRB議長の後任の名前を出し始めていることをポールさんはどう見ているか、渡部さんが聞いた。
トランプ大統領はパウエルFRB議長の悪口を結構言っていて、残りの任期11カ月間のパワーを奪うため「早ければ9月に後任発表も」という報道をポールさんは耳にしている。
トランプ大統領は、住宅ローンが6%ほどで割と高いから、短期金利を下げても害はなく、インフレが10%、20%くらいになっても、金利を上げれば解決するから問題ないと考えていて、パウエルFRB議長はもっと慎重な見方だそう。
世界の基軸通貨ドルを作れるアメリカは、インフレによるデフォルトはしないため、時間をかけたインフレで、貨幣の価値を引き下げるのが、財政赤字に対する対処の1つになるようだ。
これらのことからわかるのは、投資をしなければいけないことだとポールさん。日本は20数年デフレの間、現金を持っていればよかったけれど、今は潮の流れが大きく変化するところに来ていて、現金を持っていると損をする時代に入ってきているとのことだった。
AIは実際の世界で収益を伴うツールとして浸透し始めている
最後はAIの話題に。
最近のAI関連でなにか注目していることはあるか、渡部さんが質問すると、ポールさんはペプシコーラがAIを活用していることを話し始めた。
ペプシコーラはAIを使って需要の予測、工場設備のメンテナンス計画、物流ロボットなどを効率化しているほか、アマゾンでも倉庫のロボットの数が人間を超えたそう。
AIは遊びや文字だけに使われるものではなく、実際の世界で収益を伴うツールとして浸透し始めているようだ。
ここで、渡部さんが「ポールさんは投資判断のリサーチのためにAIを使っていますか?」と切り込んだ。
ポールさんは「AIは結構使っています」とのこと。ポールさんのリサーチは読むことで情報吸収し、考えて投資判断するため、読むことが一番重要だけれど、アメリカ企業の決算説明会や証券会社のカンファレンスは議事録が簡単に手に入るため、AIを使って議事録のポイントをまとめてもらったり、自分が注目しているポイントを抽出したり、結構役立っているとのことだった。
ここまで、7月1日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。また、動画配信も予定しているので、こちらも注目だ。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。