・パウエルFRB議長の発言前に日経平均は一進一退、中国人向けビザ緩和で百貨店株が急伸!
・年初来高値の良品計画など小売株の月次売上を分析
・投資の疑問は「なぜ企業は株価を気にする?」
【1】今日の株式相場早わかり!
パウエル発言控え様子見、百貨店株が大幅高
日経平均株価は小幅ながら3日続伸! 3日の米国市場で主要株価指数はもみ合いとなったが、ナスダック総合指数とS&P500指数は連日で最高値を更新した。10月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回った一方、4日に控えるパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言機会を前に様子見ムードが優勢だった。今日の日経平均株価は上昇スタート。ただ、前日に大きく上昇した反動や、今晩のパウエルFRB議長の発言を前にした様子見姿勢から、その後は一進一退となった。韓国での「非常戒厳」事態を受け、円相場は対ドルで昨晩、一時148円台まで上昇したが、戒厳令が解除されたことで今日の日中は再び150円前後まで戻し、相場の混乱には至らなかった。
前日の急伸の反動や為替の円高を背景に半導体株やハイテク株が売られた一方、三菱重工業などの防衛関連株が買われた。また、「政府が中国人向けビザの発給要件を緩和する方向で調整」と伝わったことで、百貨店株が午後から大きく上昇した。
【日経平均】39276.39円→(+27.53円)
【グロース250】638.08↓↓(-8.67)
【NYダウ】44705.53ドル→(-76.47ドル、3日)
【ナスダック】19480.911↑(+76.963、3日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
小売の月次売上が好調、個人消費に明るさ!
百貨店に続き、小売各社が11月の既存店売上高を発表した。前日に紹介した百貨店と同様、やはり11月中旬以降の気温低下に伴い、秋冬向けの季節用品が伸びた。またセール期間が重なった影響も大きかったようだ。一方、そうした外部環境の追い風や特殊要因を除いても、各社の売上は総じて好調で、米国対比で見劣りがちな日本の個人消費にも明るい兆候がみられる。
「無印良品」で有名な良品計画の11月既存店売上高は前年同月比+19.2%と、10月の+18.6%に続き非常に高い伸び。会員向けセール期間は前年同月比で10月は2日多かった一方、11月は2日少なかったにも関わらず、伸びは加速した。また、セール期間の終了後も売上は好調だったという。テレビやSNSを通じた口コミ拡大が奏功した上、前期まで課題だった在庫管理も上手くできているようだ。新たに婦人服で手応えも得ているようで、今後の成長性に改めて期待。
「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングのほか、ニトリホールディングス、エービーシー・マートなども2ケタ台の伸びで好調さが確認された。セレクトショップ「STUDIOS」などを運営するTOKYO BASEは7カ月ぶりの増収に転換。今日は、株価指数が前日の急伸の反動で伸び悩んだ一方、小売各社では大きく上昇したところが多く、良品計画は年初来高値を更新。エービーシー・マートも取引時間中の高値では年初来高値を更新した。
小売各社は自社サービスなど、日常生活で使い勝手のよい株主優待を実施しているところも多い。賃上げなどを背景に国内の個人消費を巡る環境が持続的に改善していけば、小売企業の中長期的な業績・株価動向にも期待が持てる。優待を楽しみながら関連銘柄を長期で保有するのも一考に値しよう。
■良品計画株価チャート/日足・6カ月
【3】水曜連載「投資の疑問に答えます」
なぜ企業は株価を気にする? 切実な事情とは…
(ご質問)
株価が上昇しても企業の財務には直接関係ないのに、なぜ企業は株価を気にするのでしょうか?
(答え)
株価を上げて株主に報いるため…というだけではない、切実な事情があるのです。
企業にとって株価上昇のメリットが大きいのは、新株を発行して資金調達する「増資」を行う時です。増資では市場価格をもとに新株の発行価格を決めているため、株価が高いほど調達できる資金は多くなります。
もっとも資金調達の予定がなくても、昨今は企業にとって株価低迷を是正しなければならない切実な事情があるのです。株価の低迷は「株主から預かった資金で効率的にもうけられていない(=資本効率が悪い)」ことに起因します。それに、株価が低迷していれば「まとまった株の持ち分を取得したり、その企業を丸ごと買収したりするのに必要な資金が少なくてすむ」とも言えます。東証が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を要請していることなどを追い風に、「物言う株主(アクティビスト)」がこうした企業の株を積極的に買い入れているのは当メルマガでもたびたびお知らせしている通りです(10月11日号などを参照)。
また、経済産業省が2023年8月に「企業買収における行動指針」を策定し、“企業の同意を得ない”TOB(株式公開買付け)実施や買収提案も散見されるようになりました。カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)がセブン&アイ・ホールディングスに買収提案し、創業家も対抗案を提示しているのは周知の通り。ACTは市場価格にプレミアムを乗せて買収しても、十分にうまみがあると判断したわけです。株式市場での評価を高め、株価低迷を是正することが買収防衛につながるということができます。
(ザイアナリスト 小林大純)
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