米株軟調。S&P500は直近高値から10%下落し、弱気相場入りを示唆?
3月13日の米国市場。NYダウは4日続落して537ドル安の4万813ドルとなった。2024年12月4日に最高値4万5014ドルを付け、2025年1月28日にもほぼ同水準のレベルまで上昇したが、3月に入ってから下落が激しくなっている。高値から4201ドル安となり下落率は9.3%にもなる。
多くの機関投資家がベンチマークとしているS&P500に至っては2月19日の最高値6144から623ポイント安の5521まで売られて下落率は10.1%となった。「直近高値から10%安は弱気相場入り」と言われるが、まさにその状況が起こっている。ハイテク企業の宝庫であるナスダック指数も悲惨な状況で昨年12月16日の最高値2万173から2870ポイント安の1万7303まで売られて下落率は14.2%。主要銘柄はどれもこれも大幅安だ。主要3指数揃って昨年9月以来の安値水準に沈んでいる。
日本市場も冴えない。日経平均はボックス圏を割り、3万7000円台を停滞
そして我らが日本市場。日経平均株価の最高値は昨年7月11日の4万2224円。3月13日時点で5434円安の3万6790円まで売られて下落率は12.9%。昨年9月以来の安値水準だ。昨年9月は株式市場にとってターニング・ポイントの月だった。米連邦準備理事会(FRB)が4年半ぶりに利下げを行ったことで「金融相場」に入った。株式市場の行方を決めるのは世界で最も重要な中央銀行である米国のFRBだ。金利低下の局面は株式市場が最も上昇する状況を作り出し、金融緩和による株価上昇を演出することから「金融相場」と呼ばれる。
日本市場は金融相場入り直後こそ急騰を演じたものの、昨年10月以降の日経平均は3万8000円~4万円で完全なるボックス圏を推移し、金融相場の高揚感は感じられない。それどころか、2月28日のザラ場中に一時1416円安の3万6840円まで下落し、ボックス圏を完全に底割れした。日米市場ともに下落が続く要因は、トランプ関税の本格的発動と貿易摩擦が経済に与える悪影響、エヌビディアの急落がもたらすハイテク企業の成長懸念という米国発の2つの要因だ。さらに日本市場には急速に進展する円高・ドル安という要因も加わる。
メディアの論調「景気悪化の本格化で株式市場に悪影響」は間違いだ!
「米国市場が…」「トランプ関税が…」「景気が…」などという理由でマーケットが一喜一憂する中、トランプ大統領の関税政策におけるヒートアップは凄まじくなっている。3月13日には自身のSNSで「欧州連合(EU)による米国ウイスキーへの50%の関税が撤廃されなければ、米国はフランスやEUからのワイン、シャンパン、すべてのアルコール品に対して200%の関税を課す!」と投稿する始末。もはや関税政策かビジネス交渉かどうかすら分からなくなっている状況だ。
最近のメディアの論調は「景気悪化の本格化で株式市場に悪影響」である。いつも私は言っているが、その見方は間違いだ。「景気悪化は株式市場に好影響」なのである。なぜか? それは今、滞っているFRBの金融緩和政策が再び働きだして金融相場が鮮明になるからだ。一般的な社会常識では「好景気=株価上昇」「景気悪化=株価下落」だと思うが、実際のマーケットはそう単純ではない。景気や企業業績の悪化により利下げや量的緩和が行われると株式市場に大量のマネーが流れ込み株価は上昇する。直近の「金融相場」は2020年のコロナ相場である。世界的なコロナ禍により経済活動や企業活動が停止し大不況が襲った。もちろん企業業績も急激に悪化し赤字企業が続出した。株式市場は下落しただろうか? 大きく上昇したのだ。ウソだと思うのなら、2020年4月からの株価チャートを見ていただきたい。日米市場とも急騰した。その理由は、FRBが一気にゼロ金利政策を導入したからである。
景気減速が鮮明になればFRBは利下げを加速し、株式市場にプラスに働く
FRBはその後、インフレ対策で急激に金利を引き上げた。米国景気はそれでも力強い状況を保っている。毎月の経済指標の上下はあるものの、傾向としては好景気の状態が続いている。今の冴えない株式市場にとって望むべきは景気減速だ。それが鮮明になってくれば、昨年12月でいったん利下げを停止したFRBは再び利下げモードになり、株式市場にとってプラスに働く。懸念すべき点があるとすればスタグフレーションだ。景気悪化とインフレが同時に進む現象である。インフレの要因はトランプ関税だ。だが、以前に指摘したように第1次トランプ政権において米中貿易戦争による関税合戦がインフレに与えた影響は軽微であったし、今回も大きな影響を与えるとは思えない。我々が6年前に既に学んだことだ。ビギナー投資家にとっては未知のことかもしれないが、ベテラン投資家にとっては経験値だ。今のマーケットにビクビクする必要はないし、ビクビクしてはいけない。びくびくする姿は、私からすれば滑稽にすら見える。
「勝者のポートフォリオ」は絶好調。3月14日に最高値+75.1%を更新!
さて、先週のコラム『短期トレードは儲からず、「勝者のポートフォリオ」が圧勝するワケ』で述べたように、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチがコラボレーションして行う個人投資家向けの投資助言サービス「勝者のポートフォリオ」のパフォーマンスは絶好調だ。3月14日に過去最高値となる+75.1%を記録。それに対してTOPIX+44.5%、日経平均+34.0%、東証グロース250指数-41.0%(いずれも配当込み)。昨年来で見ると「勝者のポートフォリオ」+36.9%、TOPIX+17.5%、日経平均+12.8%、東証グロース250指数-6.3%である。要するに一貫してマーケットに対してアウトパフォームしているのだ。
勝因は短期トレードを一切行わず、マーケットの変動によって株価は翻弄されながらも、長期の株価形成に最も重要なファンダメンタルズが強い銘柄を持っているからだ。「活躍する選手(銘柄)の給料を増やし、活躍しない選手の給料を減らす、あるいはクビ(完全売却)にする」という采配が奏功している。「勝者のポートフォリオ」では活躍する選手ほど寄与度が高く、活躍しない選手のウェートはほとんどない。一方、多くの個人投資家は「少しの利益が出たら売り」「損失を抱えてもすぐには売らない」という投資行動に陥りがちで「利小損大」になりやすい。このような投資スタンスを改めなければ、資産運用で成果は上がらない。
3月6日開催のセミナー動画を見て、チャンス満載の日本株に投資しよう
「勝者のポートフォリオ」では毎週のメルマガ配信による運用指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。
3月6日(木)20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『モタモタする日本株にこそ勝機あり、ボックス圏の動きはチャンス満載』。平日の夜にもかかわらず241名が参加し、22時30分に終了した。録画した動画は会員ページにアップ済みだ。次回は4月9日(水)20時より開催予定である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能。オープンな開催はしていないのでご注意願いたい。
動画によるスペシャル講義ではいよいよアンシステマティックリスク、すなわち個別銘柄リスクに関する詳細な講義をスタートした。2月は『大型株・中型株・小型株の定義と株価属性』『グロース株 vs バリュー株』の2本立て。皆さんは「きちんと決算短信を読めますか?」「財務分析できますか?」「業績予想に込められた企業の思惑を推測できますか?」。そして「個別銘柄にまつわる信用取引の状況を解読できますか?」。おそらく、そういう力が圧倒的に不足していると思う。そのための講義を今後も行っていきたい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一木曜夜は、生配信セミナーを開催。
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