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AI株が反発したのは、アメリカの司法と民主主義が壊れていないから。トランプ関税は法廷闘争となり、TACOと言われても景気を悪くする政策は敏感に修正する

2025年6月6日公開
ポール・サイ
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 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 今回の放送は、トランプ関税を受けて下落したエヌビディア株が戻ってきたのはなぜなのかを探る回となった。AIのトレンドが続いていることに加え、これまでアメリカの成功を導いてきた司法と民主主義というシステムが壊れておらず、トランプ大統領もそれを信じているようなので、さっそくチェックしていこう。

AIのトレンドが続くなか、政治や地政学の問題で下落したエヌビディア株は戻してきた

 番組は、暴落したエヌビディア株が戻してきたことをポールさんがどう見ているのか、番組アシスタントの新宮志保さんが質問するところから始まった。

エヌビディア 日足 (出所:TradingView)

 AIのトレンドは続いていていろんな業界がAI関係の投資を行うなか、エヌビディア株が下落した理由は地政学や政治の問題だったとポールさん。

 産業革命を振り返ると、政治的な理由で機械を止めようとしたことがあったものの、結果的には産業革命がそのまま進み、現在は車が走っているため、地政学や政治が原因の下落は一時的なことかもしれないとのことだった。
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 すると、番組MCの渡部一実さんが、「人類の技術的な進化は大きな長期トレンド」とポールさんが主張し続けていることに触れ、トランプ関税で4月の頭に下げたところが結局底だったため、もしエヌビディア株を持っていた場合、政治に右往左往せず持ち続ければいいという認識で合っているのか、ポールさんに確認した。

 ポールさん曰く、それは政治が壊れているかどうかによるとのこと。例えば、成功している国のシステムが内戦などで壊れた場合、その国の株を買ってはいけないそう。アメリカもいつも正しい方針を取れるわけではなく、現在も模索している最中だけれど、司法と民主主義というシステムは壊れていないし、エヌビディアの製品は不可欠で競合より強いため、下がったところは買ってもいいようだ。

 そして、株を買う際に重視すべきなのは株価でなく、株安の背景と国や会社のシステムの健全さなのだという。

トランプ関税の是非が内戦でなく、法廷闘争であるうちは健全。TACOとからかわれても、大統領は経済に悪影響がある政策は敏感に修正する

 これに対して渡部さんは、トランプ大統領によってアメリカが壊れているかという点で、トランプ関税が法廷闘争になっているけれど、内戦でなく法廷闘争であること自体、アメリカが健全である証拠のようなものと考えていいのか、ポールさんに質問した。

 人類の歴史で考えると、軍の人が作った国が多いのに対し、弁護士が作ったような国であるアメリカは、大きな例外だとポールさん。

 例えば、ドイツやフランスでは暗黙の了解や共通の認識が存在するため、そこまで矛盾が起きないけれど、いろいろな人がいて矛盾が多いアメリカでは、司法システムが健全でないと内戦になったり、平和に物事を解決できなくなってしまうため、司法はすごく重要なようだ。

 そのようなアメリカで、トランプが法律に従わない可能性をメディアは大げさに騒いでいるけれど、そもそもアメリカはイギリスの王様に反発して作った国で、二度と王様が出ないような法律になっているし、トランプがいくら王様に見えても、アメリカファーストと言うくらいトランプはアメリカのシステムを信じていて、法廷闘争が行われているうちは健全だと言えるようだ。

 トランプが最初に高い関税をかけたけれど、最後には妥協するため、TACO(Trump Always Chickens Out、トランプはいつもビビってやめる)とからかわれていることについてはどうなのかと、渡部さんが切り出すと、「これもまたアメリカのシステムの健全なところ」とポールさんは返した。

 民主主義であるアメリカは、民間人が重要視する経済に敏感なシステムで、トランプも他の大統領も、株安や金利上昇など、経済に悪影響がある政策は敏感に修正するそう。TACOとからかわれても、変な政策がずっと走るシステムではないところが、投資先としてアメリカが優れているポイントのようだ。

グーグルの「Veo」は簡単にリアルな動画を精度よく作れる。人間がいらなくなるのも時間の問題かも

 ここで、渡部さんが話題を長期的なAIのトレンドに戻し、ポールさんが最近注目している技術としてグーグルの「Veo」というものがあると紹介した。

グーグルの「Veo」

 ポールさんがグーグルの「Veo」で遊んでみたら面白かったようで、近所のAI好きの友達も、弟さんの誕生日のビデオメッセージを「Veo」で作ったそう。バンドの演奏をバックに、弟さんの名前と「誕生日おめでとう」という言葉を、有名人の顔で使って、かなりリアルに言わせることが簡単にできたとのこと。

 また、メタがAIを利用した広告をもっと作成するというニュースがあったり、昔だと何日もかけなければできなかった動画が一瞬で精度よく作れたりと、AIの進化は止まらないようだ。

 AIでビデオがあっという間にできるようになると、システム系エンジニアの人は仕事がなくなってくるかもしれないと、渡部さんが心配すると、ポールさんの近所に住んでいるマイクロソフトのエンジニアも最近、解雇されたという出来事があったそう。

 AIは今のところ、人間とのやりとりで利用する形になっていて、人間は必要なツールになっているけれど、そのうちターミネーターみたいなものが出てきて、人間がいらなくなるのも時間の問題かもしれないとポールさんは感じている。

 AIの登場で知的労働者がこれからお金を稼げなくなる一方、お金を持っている人はAIを使って人を雇わずにもっとお金を稼ぐようになると考えると、これからAIが社会にもたらす、まだ想像できない意外な影響が出る可能性もありそうとのことだった。
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 ここまで、6月3日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。また、動画配信も予定しているので、こちらも注目だ。

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。


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