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対中国の高関税を大幅引下げ! それはトランプの著書やTV番組に示されていた交渉戦略の通りだった。バフェットの格言「アメリカに逆らうな」はやはり正しい

2025年5月14日公開
ポール・サイ
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大きく下落した株式市場は回復傾向。この展開はトランプの著書やトランプ出演テレビ番組で示されていた彼の考え方を体現している

 4月に入って大きく下落した株式市場は、そこから回復傾向にあります。

 この展開は、ある意味でトランプの著書『Trump: The Art of the Deal』で示された哲学や、テレビ番組『The Apprentice』で示された考え方を体現しているとも言えるでしょう。

 『Trump: The Art of the Deal』は1987年にトランプがジャーナリストと共著で出版し、ベストセラーとなった書籍です。これはトランプの自伝ですが、ビジネス指南書の要素を含んでいます。邦訳された書籍のタイトルは『トランプ自伝:アメリカを変える男』となっていますが、これ以降、この書籍タイトルは『取引の極意』(The Art of the Deal)と記載したいと思います。

 また、「apprentice」という言葉は「見習い」という意味です。そして、『The Apprentice』は本連載でも紹介した、トランプと彼に強い影響を与えたロイ・コーンの関係を描いた最近の映画のタイトルでもありますが、元々は2000年代にトランプが出演し、テレビで放映されていたリアリティ番組のタイトルです。この番組はこれ以降、『アプレンティス』と記載します。

[参考記事]
若きトランプに悪名高き弁護士ロイ・コーンはどう影響を与えたか? 映画『アプレンティス』を見れば予測不能と言われるトランプの行動が予測できるように…

トランプが示す取引の極意。それは「強気で大胆な姿勢」と「結果重視」の二本柱に基づく

 書籍『取引の極意』において、ドナルド・トランプの交渉戦略は「強気で大胆な姿勢」と「結果重視」の二本柱に基づくと書かれています。

 彼はまず、交渉の出発点として野心的で大胆な目標を掲げ、自信満々に主張します。「ビッグ・ディールを狙う」という信念を貫き、初期段階から相手に心理的プレッシャーをかける戦略で臨みます。

 また、「まず相手に夢を見せることが大事だ」とトランプは語り、自らのビジョンを積極的に示すことで、相手を引き込む力にも長けています。

 さらに彼は「情報の非対称性」を活用し、相手よりも多くの情報を持つことで主導権を握ろうとします。

 劣勢に見えても「強気のポーカーフェイス」を崩さず、常に勝者のように振る舞います。「最悪の結果も受け入れる覚悟があれば、交渉の主導権は失われない」というのが彼の信念です。

 また、『取引の極意』では「譲歩するのではなく、常に交換条件として提示せよ」と述べ、取引の価値を最大化する姿勢を貫いています。

Trump: The Art of the Deal『Trump: The Art of the Deal』公式ページ 出所:Random House Publishing Group公式サイト

「You're Fired!(君はクビだ!)」という有名な決めゼリフは、明確な責任と結果を重んじるトランプの交渉観の一端を示している

 テレビ番組『アプレンティス』では、こういったトランプの哲学が実践的に展開されていました。

 参加者たちはチームでビジネス課題に挑戦し、トランプは常に「成果」と「リーダーシップの明確さ」を重視します。

 トランプは敗者チームの中で誰が最も責任を負うべきかを見極め、曖昧な態度を取った者には容赦なく「You're Fired!(君はクビだ!)」と告げます。この有名な決めゼリフは、明確な責任と結果を重んじるトランプの交渉観の一端を示しています。

The Apprentice『The Apprentice』公式ページより 出所:NBC公式サイト

トランプ政権が当初巻き起こした混乱は収束へ。バフェットの格言「Never bet against America(アメリカに逆らうな)」は今回の騒動を経て、改めてその正しさを証明した

 今回の関税交渉において、最初に過大な要求を突きつけ、あとから現実的な水準に落とし込む手法は、まさに彼の戦略に合致しています。これは「アンカリング・バイアス」(※)を巧みに活用した例でもあります。

(※編集部注:「アンカリング・バイアス」とは、最初に提示された情報が基準となって、その後の評価や判断が左右される傾向のこと)

 トランプ政権は市場の反応を気にしているはずです。中間選挙も徐々に近づいてきており、政治的資本(Political Capital)は時間とともに消耗していきます。

 トランプ政権が当初巻き起こした混乱は今後、次第に収束へと向かっていくはずです。政権発足時に混乱が起きるのは、決して想定外のことではありません。

 ウォーレン・バフェットが繰り返し述べてきた「Never bet against America(アメリカに逆らうな)」という格言は、今回の騒動を経て、改めてその正しさを証明したと言えるでしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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