今週の金曜日(5月9日)は、私の50歳の誕生日です。50歳になると、人生の半分以上が過ぎていることになり、資産運用について再点検を行う時期でもあります。
子どもの頃は1年が長く感じられ、大人になると短く感じられるのはなぜなのか?
まず、この時期になると、時間に対する考え方が変わってきます。
年齢を重ねるにつれて、時間の経過が早く感じられる現象は、多くの人が経験するものです。
子どもの頃は1年がとても長く感じられますが、大人になると同じ1年が一瞬で過ぎていくように感じます。これは「時間の比率理論(proportional theory)」として知られており、自分の人生全体に対するある期間の割合が小さくなるためと考えられています。
たとえば、5歳の子どもにとっての1年は人生の20%に相当しますが、50歳の大人にとっての1年はわずか2%にすぎません。
また、日々の経験の新鮮さや密度も、時間感覚に大きく影響を与えます。若い頃は新しい体験や発見が多く、脳がそれらを強く記憶に残すため、時間が豊かに感じられます。
一方、年齢とともに日常生活がルーティン化し、新鮮な刺激が減ることで、脳の記憶密度は薄くなります。それによって、時間が短く感じられるようになるのです。
このため、年齢を問わず、意識的に新しいことに挑戦し、経験を増やすことが、時間を「長く」感じるための1つの方法になります。
年齢による時間感覚の変化は投資にも影響を与える
このような時間感覚の変化は、投資にも影響を与えます。
時間が長く感じられると、自然と長期的な視点で投資しやすくなると言えるでしょう。若い投資家は将来が長く感じられるため、長期的なリスクを取りやすく、成長性のある資産へ投資しやすい傾向があります。
一方、年齢を重ねると「残された時間が短い」と感じるため、保守的になりがちで、投資判断も短期志向になりやすいのではないかと思います。
さらに、残り時間が短くなると、複利の力を活かす余地も少なくなります。
これらの理由から、年を取ると、短期的な成果を求める傾向が強まる可能性があります。しかし、株式市場などへの投資において、特に個人投資家の場合、短期運用では負ける確率が高くなる傾向があります。
たとえ50歳を過ぎていても、ある程度、長期的な視点で投資を行ってほしいと私は思います。少なくとも、5~10年先のトレンドを見据えながら投資するべきです。
長期投資のスゴさ! 1965年にバークシャー・ハサウェイに1万ドル投資していれば、それは現在、5億ドルになっている
最近では、バークシャー・ハサウェイ(ティッカー:BRK.AまたはBRK.B)の会長兼CEOだったウォーレン・バフェット氏がCEOを退任し、経営の最前線から退くという報道がありました。
もし、1965年にバークシャー・ハサウェイに1万ドルを投資していれば、現在、それは実に5億ドルにもなっています。

このことからもわかるように、正しい投資戦略と「時間」の組み合わせに勝るものはないのです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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