最近、私はグーグルの最新AIビデオツール「Veo 3」を試してみました。予想以上に高品質なビデオが簡単に作れて、本当に驚きました。
そして、この体験をきっかけに、2人の友人と以前、交わした会話を思い出したのです。彼らはAIの未来について、まったく異なる見方を持っていました。
1人の友人は「AGI(汎用人工知能)」の登場は時間の問題と見ている。「ターミネーターの世界」は遠い未来の話ではない
1人の友人はデイブといいます。メタでAI関連のハードウェアを開発しているエンジニアです。「私たちは今、人間の知性そのものを再現しようとしている」と彼は断言していました。
以前、私がこの連載で述べたように、彼も「AGI(汎用人工知能)」の登場は時間の問題だと見ています。
[AGI(汎用人工知能)に関する参考記事]
●2030年までの実現可能性50%。人間と同じかそれ以上の知的能力を持つAGI(汎用人工知能)の登場迫る。知的労働がAIで代替可能になる時、社会はどうなる?
●トランプは任期内のAGI(汎用人工知能)登場を確信し、製造業を国内回帰へ。知的産業で稼ぎづらくなる前に、本物のテック株を安く買えるチャンスが到来!
そして、AIの進化はソフトウェアの分野にとどまらず、ハードウェアの進歩によって、人間と同様のことができるロボットが作られると彼は信じています。要するに、「ターミネーターの世界」は遠い未来の話ではなく、もはや、それが実現するタイミングの問題になってきているというのです。
もう1人の友人は現在のAIに懐疑的で、「AIの用途はごく限られるのでは?」と考えている
一方で、もう1人の友人、スティーブンはAIについて異なる見方をしていました。
彼は不動産関連のプライベート・エクイティ・ファンドのパートナーで、テクノロジー業界の人間ではありませんが、インターネット黎明期から、インターネットの可能性に注目していた人物です。
そんな彼でも、現在のAIには懐疑的です。
たとえば、コールセンターではAIが音声認識しても、複雑でないリクエストさえ処理できない場面が多く、自動運転車もまだ一般化していない状況を見ると、「AIの用途はごく限られるのでは?」と考えているようです。
AI懐疑派が一定数いること自体、AIというテーマがまだ“成熟しきっていない”ことの証拠
スティーブンのような懐疑派が一定数いること自体、AIというテーマがまだ“成熟しきっていない”ことの証拠だと私はとらえています。つまり、AIの本当の可能性は、まだこれから開けてくるのです。
単なるメール添削や文書の要約にとどまらず、創薬、映像制作、広告開発、新製品の設計といったクリエイティブかつ知的な作業も、AIはどんどん得意になっていくでしょう。
実際、最近、私は自分のヨットの清水システム(真水を供給するためのシステム)を消毒する際、適切な漂白剤、酢、QAC(第4級アンモニウム化合物)の使用量や必要な浸漬時間・リンス時間をAIに計算させました。かなり複雑な条件を含んだ作業でしたが、AIは正確かつスムーズにガイドしてくれたのです。
AIの活用範囲はまさに“無限”。「知性」への需要は本質的に無限だからだ
AIの活用範囲はまさに“無限”です。それは「知性」への需要は本質的に無限だからです。私たちが今まだ想像すらしていない活用シーンが、今後、次々に現れてくると確信しています。
最近発表されたエヌビディア(ティッカー:NVDA)の決算も好調で、カンファレンスコールを読む限り、イノベーションは今も加速中です。

AIというテーマはまだ始まったばかり。次のイノベーションがすでに足元に迫ってきているのかもしれません。
[AIの発展段階に関する参考記事]
●アメリカでAIのトレンドはまだまだ続く! 今はかなり初期段階で、本格化すればドラえもんができちゃう!? 日本はスタグフレーションになる可能性が高い
●DeepSeekの登場はスプートニクショック! AIの発展はまだ初期段階。アメリカのエンジニアはさらに強いモデルを作る可能性も
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう」を配信中。
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