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移民を巡りロサンゼルスで抗議活動激化! 州兵2000人派遣のトランプ大統領は独裁者か? ニューサム知事は政治的ミスを犯した可能性? 投資家は冷静な判断を

2025年6月11日公開
ポール・サイ
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 ロサンゼルスでは、ICE(米移民・関税執行局)に対する抵抗として、抗議活動や暴動が発生しています。これはいったいどういうことなのでしょうか? そして、この出来事を私たちはどのように解釈すればいいのでしょうか?

移民を巡るロサンゼルスの騒動はどのような経過をたどってきたのか

 ロサンゼルスでの抗議は、2025年6月6日に市内で行われたICE(米移民・関税執行局)の強制捜査をきっかけとして始まりました。

 その日、複数の場所で移民が拘束され、44人以上が逮捕されました。これに反発した市民や活動家が抗議のために集まったのですが、夕方に警察が「不法な集会」と宣言して群衆を解散させようとしたところ、衝突が発生したのです。

 翌日には、パラマウントなどロサンゼルス南部の町にも抗議の動きが拡大し、SNSで広まった新たな強制捜査のウワサがさらに緊張を高めました。抗議者による投石や花火に対して、警察は催涙ガスやフラッシュバン(閃光手榴弾)で応戦しました。

 6月7日の夜、トランプ大統領は州兵(National Guard)2000人の派遣を命じましたが、抗議活動はロサンゼルス全域に広がりを見せました。

トランプ大統領が2000人の派遣を命じたのは州兵。その州兵と米軍はどう異なるのか?

 州兵と米軍は、役割や指揮系統において大きく異なります。

 州兵は通常は各州の知事の指揮下にあり、非常時に災害対応や暴動の鎮圧など、国内の治安維持・支援活動を担う準軍事組織です。ただし、連邦政府が必要と判断した場合は、大統領の命令で連邦任務に動員されることもあります。

 一方、米軍(アメリカ陸・海・空軍、海兵隊、宇宙軍)は連邦政府直轄の正規軍で、主に国外での防衛や戦闘任務を担います。米軍は原則として国内の治安維持には関与しません。これは民警団法(Posse Comitatus Act)という法律によって、制限されているからです。

 つまり、州兵は国内任務を主としながらも、必要に応じて軍のような役割を果たす存在ですが、本来の軍隊とは異なる存在なのです。

連邦政府に非協力と見えるカリフォルニア州のニューサム知事は政治的ミスを犯したかも

 カリフォルニア州のニューサム知事は民主党所属です。そのニューサム知事はトランプ大統領による州兵の連邦化(国の指揮下への移行)に強く反対しています。知事はこの命令が州の同意なしに一方的に行われたもので、州の主権を侵害していると主張しています。

 また、ロサンゼルスではすでに地元警察が秩序を保っており、州兵の派遣は不要で、むしろ状況を悪化させる可能性があると警告しています。知事側は、命令の即時撤回と州兵の指揮権を州へ返還することを求めています。

カルフォルニア州政府公式サイトカリフォルニア州政府公式サイト(テキストは日本語に自動翻訳) 写真はニューサム知事 出所:カリフォルニア州政府公式サイト

 しかし、現地の様子は混乱しており、ニューサム知事は連邦政府と協力していないように見えます。

 一部の抗議者はメキシコの国旗を振りながら暴動を起こしており、これが一般のアメリカ市民にとっては「侵略」のように映ってしまうのです。

ホワイトハウス公式サイトホワイトハウス公式サイトに掲載されたロサンゼルスの騒動を伝える動画より 出所:ホワイトハウス公式サイト

 トランプ大統領は、戦略的に州兵を送り込むことで、ニューサム知事を反アメリカ的に見せ、一般市民の支持を得ようとしているように見えます。これはニューサム知事にとって政治的ミスだったかもしれません。

アメリカでは国内政治の二極化が進行。民主党側はいまだに方向性を見失ったままに見える

 これは1つの事件に過ぎませんが、アメリカ建国以来続く「州と連邦政府のパワーバランス」という根本的な論点がまた再び浮き彫りになったとも言えます。

 今回の件によって、連邦政府の権限は一層強化される可能性があります。また、厳しい移民政策への国民の支持も増すかもしれません。

 アメリカでは国内政治の二極化が進行しており、民主党側はいまだに方向性を見失ったままのように見えます。

州兵を動員したトランプ大統領を「独裁者」とするのはセンセーショナルな解釈であり、本質を見失っている

 投資家としての視点から言えば、この一連の出来事はアメリカが持つ政治システムの一環として行われたことであって、アメリカの政治システムが「壊れている」とまでは言えないことを認識しておきたいところです。

 トランプ大統領が州兵を動員したことで、彼を「独裁者」と非難する声もありますが、それはセンセーショナルな解釈であり、本質を見失っています。

 投資家としては、このような事件に心を乱されるのではなく、アメリカの経済や社会の活力がこれによって失われているわけではないという冷静な視点を持つことも重要です。

 アメリカは建国以来、こうした抗議活動や小規模な暴動を通じて、システムの矛盾や意見の相違を乗り越えてきた国なのです。それと、アメリカの夏は特に暴動・抗議活動が起こりやすい季節ということも最後に言い添えておきましょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ『米国株&世界の株に投資しよう』を配信中。

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