「勝者のゲーム」と資産運用入門

日経平均株価6万円超えでもバブルにあらず。
企業収益から見たバリュエーションは適正値太田忠の勝者のポートフォリオ 第242回

2026年5月26日公開
太田 忠
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5月22日の日経平均株価は6万3339円。1週間ぶりに最高値を更新

 NYダウは3カ月ぶりに最高値、日経平均株価も1週間ぶりに最高値を更新―。

 5月21日(木)の米国市場。NYダウは276ドル高の5万285ドルと2月10日(火)の5万188ドルを抜いて3カ月ぶりに最高値を更新。翌日22日(金)の東京市場では前日の1879円高に続いて1654円高と急伸した日経平均が6万3339円と5月13日(水)の6万3272円を抜いて最高値となった。わずか3日前の20日(水)には5万9804円と3週間ぶりの6万円割れとなっていた状況からはウソのような展開だ。

 2月の終わりに起きた米国・イスラエルによるイラン攻撃。3月は世界市場を揺るがす形で一気に株安が進んでいたが、4月に入り急速に反発。そして先週は米国・イランの交渉がトランプ米大統領の「最終段階にある」との発言を受けて戦闘終結への期待が高まり株式市場への支援材料となった。地政学リスクはまだ解決に至っていないものの、有事前の水準を回復したことで株式市場では終了宣言となっている。日経平均の底値は3月23日(月)の5万686円。株価は2月27日(金)5万8850円から13.9%下落したが、4月16日(木)に有事前の水準を回復し、5月22日(金)には6万3339円となった。底値から実に25.0%も上昇したことになる。まさに私がいつも口にするところの「ピンチはチャンス」だったわけだ。システマティックリスクはいつも「美味しい買い場」を提供してくれる。

日経平均6万円超えの今の状況がバブルなのかを検証する

 さて、今回のテーマは「バブル」である。今の日経平均6万円超えの状況は果たしてバブルなのかを数字できっちり検証してみたい。

 まず、改めてバブルとは何かを認識しておく必要がある。英語の意味するところのバブルは「泡」。そこから「泡のように消えやすく不確実なもの」という意味で経済用語では使われる。バブル経済とは株式や不動産などの資産価格が投機によって高騰し実態よりも好景気を生み出すことだが、株式市場におけるバブルとは「ファンダメンタルズでは説明できない株価」のことを指す。

 経済や企業実態を超えた株価形成はいずれ崩壊する。皆さんもよくご存知の通りである。ここで大事なのが単なる株価上昇は「バブル」ではない、ということだ。株価は収益力を反映したものであり、それを計測するのがバリュエーションである。最も広く使われているのがPER(株価収益率:利益に対して株価が何倍に買われているか)という指標だ。PERが高ければ割高、低ければ割安になる。

株価チャートだけでバブルかどうかを判断するのは禁物

 1989年12月30日の大納会に日経平均が3万8915円という当時の最高値を付け、その後はバブル崩壊で暴落した経験を持つ日本市場。「日経平均が4万円を超えたからバブル」「5万円を超えたらさらにバブル」「6万円超えなら正真正銘のバブル」という単純な話には決してならない。株価チャートだけで判断するのは禁物である。

 過去の日経平均をバリュエーションで見るとマーケットの実像が見えてくる。1980年代~バブル高値(1989年)~バブル崩壊(2000年)は「間違った株価形成の時代」であり、PERは最大62倍まで達してバブル崩壊でも20倍の水準だった。そして、2001年~リーマン・ショック(2008年)~現在(2026年)は「正しい株価形成の時代」でありPERは15倍前後で動いている。この状況から判断して「太田流バリュエーション解釈」では相場全体のPERは日経平均において「15倍が適正基準値であり、20倍を超えればバブル発生」と定義している。

5月22日のPERは18倍。株価上昇より利益成長が上回りバブルではない

 ところが、有事前2月27日(金)の5万8850円においてPERは20.9倍の水準だった。要するにバブル基準の20倍を超える状況となったのだ。「もはやバブルではないか」との疑問が湧いてくるが妥当な株価水準である。なぜなら今後の利益増加を前提に株価の方が先行して上昇する現象だったからだ。日経平均のEPS推移を見ると昨年12月末時点で2650円。2月末2815円。そして4月末に2920円、5月22日(金)現在で3513円まで増加している。要するに2026年3月期の上方修正を見越していたこと、さらには2027年3月期の利益増加を織り込みにいっていたのだ。5月22日のPERは18.0倍であり20倍を割っている。日経平均は6万3339円と5万8850円を大きく超えているが、株価上昇よりも利益成長の方がスピードは速くなっている。それがPERの低下をもたらしている。

 株式市場の盛り上がりで連日最高値更新の状況になればメディアはこぞって「バブルだ」「これから暴落する」という話題で持ちきりになるが、惑わされてはいけない。2024年の8月5日(月)に令和のブラックマンデーが起こり日経平均は4451円安と過去最大の下げを記録して3万1458円となった。この時、経済アナリストの故森永卓郎氏が「今は人類史上最大のバブル」「日経平均は2024年末に1万円割れ」「最終的には3000円」「株式投資なんて指1本触れてはいけない」と連日のようにテレビで持論を喋りまくり、世間を不安に陥れようとしていたのをよく覚えている方もいるはずだ。

ロジカルに考えることでマーケットに対する冷静な判断が可能になる

 だが、そんな極論が起こるはずがない。2024年7月の当時の最高値4万2426円におけるPERは17倍、8月の令和のブラックマンデーが起きた後の安値水準でのPERは13倍だった。要するに令和のブラックマンデー前の水準においても、起こった後の水準においても「決してバブルではない」ということである。

 現在、過去最高値の6万3339円におけるPERは18.0倍、EPSは3513円。この水準をもとに今後のバリュエーションはどれくらい拡大するか、すなわち日経平均はいくらまで上昇するか。皆さまにも考えていただきたい。ロジカルに考えることでマーケットに対する冷静な判断が可能になる。雰囲気や感情でマーケットを考えようとしても明確な答えは見いだせない。

設定来推移で日経平均を上回る勝者のポートフォリオの最高値更新も目前

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。2021年10月にサービスを開始して以来5年目に突入し、2026年5月7日時点の累計パフォーマンスは+184.4%。3月はマーケット全体の下落の影響を受けたが4月からは大きく反発。2月に記録した最高値+186.1%を再びうかがう展開となってきた。1昨年来+125.5%、昨年来+68.5%といずれの期間でもマーケット指標を圧倒している。私の運用する「勝者のポートフォリオ」連動型個人ファンドも6億8533万円(昨年来+3億3510万円、+96%)となり、年初来でもすでに1億3369万円増(+24%)という凄まじさだ。「高市政権で日経平均は7万円を達成する」というのが私の見方だが、目標の自由億(10億円)はすでに射程圏内にある。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

セミナー動画を見て、日本株のバリエーションの現在と未来を検証しよう

 直近のWebセミナーは5月20日(水)20時から開催。テーマは『日経平均6万円達成。日本株はバブルなのか? 現在と将来のバリュエーションを検証する』。すでに会員ページにセミナー動画をアップしているので参考にしていただきたい。

 次回のWebセミナーは6月17日(水)20時より開催予定である。テーマについては決まり次第、皆さまにお知らせしたい。投資戦略だけでなく、個別銘柄の話やすべての質問にお答えするQ&Aコーナーもあり盛りだくさん。投資のヒントが満載である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能である。毎回参加者は300名近くのビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。

 また、スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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