日経平均は4月16日に5万9518円まで上昇し、2月末の最高値を更新
今回の地政学リスクの底値は5万686円で確定―。
前回のコラムにおいて中東情勢を巡る日経平均株価の底値は3月23日(月)のザラバ中の安値5万686円で確定したと述べた。2月28日(土)に起こった米国とイスラエルによるイランへの攻撃。有事発生からちょうど15営業日目だった。下落幅は8164円、下落率13.9%。しかも、4月16日(木)には5万9518円まで上昇し、2月27日(金)の5万8850円の水準を回復しつつ過去最高値を大きく更新した。わずか1カ月半の出来事だ。
株式市場における地政学リスクは過去に何度も経験してきたことであり「イベント発生後にマーケットはどう織り込むか?」についてはパターン化されている。すでに皆さんに解説した。①有事発生から底値までの期間は15日程度、②株価下落率は大きくても15%、③株価の回復は3か月以内に元の水準を回復、という3つのポイントがあるが、今回の地政学リスクはセオリー通りの展開となった。「賢者は歴史に学ぶ」というのが私の口癖だが、過去の経験値を実践に生かすことの大切さを我々は現在進行形で学んだことになる。
米国市場も回復。ナスダック指数は13連騰、SOX指数は16連騰を記録
米国市場でも同様の動きが出ている。NYダウ、S&P500、ナスダックの主要3指数は揃って有事前の水準を回復した。とりわけナスダック指数は13連騰という1992年1月以来34年3カ月ぶりの記録となり、さらに半導体銘柄を中心に構成するSOX指数に至っては4月22日(水)に16連騰と1994年の15連騰を抜いて最高を記録した。
株式市場は戻ったものの中東情勢はまだ解決している訳ではない。早期解決が望まれるが、ホルムズ海峡の開放や原油価格の平常化にはしばらく時間がかかりそうだ。そうした中で半導体関連銘柄が人気化する現象が顕著である。社会のAI化への流れ、旺盛な設備投資、途切れぬ実需、関連企業の相次ぐ好決算…。要するにエネルギー価格高騰というマクロ的経済の影響を受けることなく、確実に着実に伸びていく企業群に投資資金が向かっている。
半導体銘柄を中心に日経平均は急上昇し、NT倍率は一時16倍まで拡大
この流れは日本でも色濃く出ている。その状況を反映しているのがNT倍率だ。NT倍率とは、日経平均株価(N)を東証株価指数であるTOPIX(T)で割った数値である。NT倍率は4月21日(火)に15.74倍と過去最高である2025年10月31日(金)の15.73倍を上回り、4月23日(木)には一時16.00倍とさらに拡大した。日経平均の算出は単純株価をベースとしている一方、TOPIXは時価総額が基準となっている。現在の日経平均の組み入れ銘柄トップは半導体大手のアドバンテスト(6857)の11.1%だが、TOPIXではトヨタ(7203)の3.7%がトップ。株価は片や2万7200円、片や3280円。時価総額は片や20.3兆円、片や50.5兆円。随分と景色が違う。現在の日経平均は3位の東京エレクトロン(8035)が7.8%、4位のソフトバンクグループ(SBG、9984)が7.0%と上位を半導体関連が占めており、しかも2位の10.0%を占めるファーストリテイリング(9983)も上方修正の好決算で上場来高値を更新中だ。日経平均の上昇力は今をときめく企業による強烈な布陣で生み出されていることがわかる。
「半導体株を持っていないと指数に勝てない」との恐怖も上昇要因の1つ
「半導体株を持っていないと指数に勝てない」との動きがファンドマネジャーたちの間で起こっている。いわゆるFOMO(Fear of Missing Out:マーケットに取り残される恐怖)の状況である。中東情勢の緊迫化ですぐさまリスク回避して「やれやれ」と思っていた投資家たちが、昨今のあまりにも早い株式市場の戻りに焦りを感じて「また買わなきゃ」と慌てて投資に走っている。米国では4月の第3週にマーケットトレンド追随型のCTA(商品投資顧問)と呼ばれるヘッジファンドたちが「7兆円もの機械的な買いを入れる」との思惑で焦る心に拍車がかかり、4月15日(水)に大いなる復活を果たした。SOX指数に加えてS&P500とナスダックが揃って最高値を更新した日である。前回のコラムですでに解説した。
日本市場の場合、先週において顕著だったのがSBGの急騰劇だ。最近のマーケットの華々しい牽引役となっていたのはキオクシア(285A)だが、SBGは昨年10月29日(水)に最高値6923円を付けて以降は4000円台割れの水準で低迷していた。だが4月23日(木)には一時6160円まで上昇して連日で日経平均寄与度ランキングのトップとなっている。傘下に多数の魅力的な半導体企業を有し、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資利益は急増中。「スターゲート計画ド真ん中」「金融相場の象徴銘柄」としての存在感を再び発揮している。日米市場とも「地政学リスクへの懸念」からいきなり「株を買え」「半導体に食らいつけ」に変化している。まさにFOMO!FOMO!FOMO!の大合唱だ。
まともなバリュー株を保有している投資家に焦りは禁物。冷静に待つも大事
2026年の年初来パフォーマンスを4月22日(水)時点で市場別に見ると、TOPIXが+9.9%、日経平均+18.4%となっており、ほぼダブルスコアの格差だ。日経平均の優位性そのものがNT倍率の拡大にダイレクトに繋がっていることがわかる。そうした中、翌日4月23日の日経平均は寄付き直後に6万13円と初の6万円台を達成した。
「日経平均は大きく上がっているのに、自分の運用資産は増えていない」
「日経平均が上がっている日に限って、自分の持っている株は下がっている」
という悩みがあちらからもこちらからも聞こえてくる。
「いっそのこと日経平均連動型ETFに集中投資してみるか」
いやいやそんな必要はない。まともなバリュー株をたくさん保有している投資家なら心配する必要はない。TOPIXにとって相対的寄与度の高い銘柄群、すなわち銀行、自動車、商社などが軟調となっているが、一時的現象と心得るべきである。NT倍率は一方的に上昇し続けるものではなく、上昇と下落を繰り返していく。目先の株価の動きにあまり神経質になると投資行動を見誤ってしまう。ここはひとつ冷静にいきたいところだ。
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さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスである。毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナーの開催やスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。
4月15日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『3月は歴史的急落、中東情勢を巡る投機的動きに惑わされるな』。今年に入って上下動の激しい株式市場で資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々にもたくさんご参加いただいた。すでにセミナーの録画動画は会員ページのアーカイブに公開済みである。
次回のWebセミナー開催は5月20日(水)20時から行う。テーマは決まり次第、皆さまにお知らせしたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能だ。毎回参加者は300名近くのビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。
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